ハンガリー狂詩曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/04 04:37 UTC 版)
概要
最初の15曲は1853年に出版された。16番以降の4曲は1882年から1885年までに追加された。のちに一部は管弦楽編曲も行われ(後述)、また第14番を元に、ピアノとオーケストラのための『ハンガリー幻想曲』が編曲された。現在では、リストの全盛期に書かれた第15番までが出版・演奏されることが多く、晩年に書かれた残りの4曲は書法も簡素となっており、知名度は低い。
これらの曲の大きな構造は、ハンガリー舞曲の形式のひとつヴェルブンコシュ(チャールダーシュの前身で、異なるテンポをもった複数の楽節からなる)に影響されている。またリストは作曲にあたって、生まれ故郷たるハンガリー古来の民謡と思っていたテーマを取り入れた。しかし、その民謡は実際にはその時代に作曲され、ロマ(ジプシー)のバンドがよく演奏していた曲だったと考えられている。発表当時から地元ではすでに「リストは勘違いしている」と言われていたという[要出典]。4人の祖父母ともドイツ人ながらハンガリー生まれであることに愛着を抱くリストの愛国心は、後年バルトークの批判を受けるなど一面で空回りともなった。
リストは作曲家であると同時に、高度な技巧を持つ演奏家でもあったため、他の多くのリスト作品と同様、ピアノ版は演奏の難しい作品として知られる。
第2番
この曲集の中で第2番(管弦楽用の第2番)は知名度が高い。曲の終わり近くにカデンツァが指定されており、セルゲイ・ラフマニノフ、マルカンドレ・アムランなどが自作のカデンツァを演奏している。また、ウラディミール・ホロヴィッツは全体的に技巧を凝らした編曲を行っている。米国では度々アニメーション作品などに用いられており、『トムとジェリー』の「ピアノ・コンサート」がその代表として挙げられる(ディズニー映画、ルーニー・テューンズにも例がある)。
作品一覧
- 第1番 嬰ハ短調
- 第2番 嬰ハ短調
- 第3番 変ロ長調
- 第4番 変ホ長調
- 第5番 ホ短調 《悲劇的な英雄の詩》("Héroïde-élégiaque")
- 第6番 変ニ長調
- 第7番 ニ短調
- 第8番 嬰ヘ短調
- 第9番 変ホ長調 《ペシュトの謝肉祭》("Pesther Carneval")
- 第10番 ホ長調 《前奏曲》("Preludio")
- 第11番 イ短調
- 第12番 嬰ハ短調
- 第13番 イ短調
- 第14番 ヘ短調
- 第15番 イ短調 《ラーコーツィ行進曲》("Rákóczi-Marsch")
- 第16番 イ短調
- 第17番 ニ短調
- 第18番 嬰ヘ短調
- 第19番 ニ短調 《アーブラーニ・コルネールの『高雅なチャールダーシュ』による》("D'après les "Csárdás nobles" de K. Ábrányi")
- 第20番は書きかけで終わっている。
- 1 ハンガリー狂詩曲とは
- 2 ハンガリー狂詩曲の概要
- 3 管弦楽版
- 4 関連項目
ハンガリー狂詩曲と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- ハンガリー狂詩曲のページへのリンク