ネバダ州
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/03 05:28 UTC 版)
法律及び行政
2021年時点のネバダ州知事は民主党のスティーブ・シソラックである。ネバダ州知事は州憲法によって、2期8年間までしか務めることができない。これは選挙や継承に拠らず終身適用される規定である。ネバダ州選出のアメリカ合衆国上院議員は2021年時点で、民主党のキャサリン・コルテス・マストとジャッキー・ローゼンである。アメリカ合衆国下院議員では4議席を与えられており、2021年時点で民主党が3議席、共和党が1議席となっている。
議会
ネバダ州議会は上院と下院の両院制である。上院議員の任期は4年間、下院議員の任期は2年間である。2010年から両院ともに任期制限が設けられ、1つの院での任期は最大12年間となった。この憲法に規定する条項はネバダ州最高裁判所で全会一致(7対0)で支持され、2010年より有効となった。議会の会期は奇数年に120日間開催されることを憲法で規定しており、知事が要求すれば延長も可能である。2021年時点で上院は民主党多数(12対9)、下院も民主党多数(26対16)である。
司法
ネバダ州は中間の控訴裁判所が無い司法体系をもつ数少ない州の1つである。司法体系の上位はネバダ州最高裁判所である。第一審は地区裁判所(一般的管轄権付き)および治安裁判所と地方裁判所(どちらも限定付き管轄権)に分けられている。
リバタリアン法
1900年、初期開拓者にとって「むき出しの砂漠」に住むことの難しさが銀という魅力に勝っていたので、ネバダ州の人口は全州の中で最小かつ減少していた。歴史家のローレンス・フリードマンはその次に起こったことを次のように説明していた。
ネバダ州は創造力の爆発の中でその主権を行使することで経済を造り上げた。その戦略はカリフォルニア州で不法であること全てを合法化することであり、...離婚を容易にした後は容易な婚姻とカジノのギャンブルがきた。ネバダ州では売春ですら合法であり、どの郡でもそれを許可することを判断できる。かなりの数の郡がそういう判断をした[23]。
夏季に空調を用いることとネバダ州南部の温暖な冬があることで、アリゾナ州と同様に州の運命は転換を始め、国内でも最も成長速度の高い州になった。
売春法
アメリカ合衆国で売春が合法化されている(免許制ブロテル)のはネバダ州だけである。
ネバダ州の比較的大きな司法権の中、すなわちクラーク郡(ラスベガス市を含む)、ワショー郡(リノ市を含む)およびカーソンシティ独立市においては、州法によって売春が違法である。実際に売春を認めることを住民投票で決めた他の郡では合法である。
離婚法
「離婚天国」というネバダ州の評判は、1970年代に無過失離婚が認められるようになる以前、アメリカ合衆国では離婚が非常に難しかったという事実から上がってきたものだった。ネバダ州はこのとき既にギャンブルと売春を合法化しており、国内でも最もリベラルな離婚法を採用することで、その特徴をアピールすることを続けた。その結果、「ウィリアムズ対ノースカロライナ州事件」が起こり、アメリカ合衆国最高裁判所はノースカロライナ州がネバダ州における離婚を尊重すべきという裁定を下した。
税法
ネバダ州の税法も新しい住人や事業を惹き付けるものである。個人や法人の所得税が無い[24]。
ネバダ州の消費税率は6.85%である。郡は住民投票あるいは議会の承認によって税率を上げることができる。このために消費税率は最低の6.85%からクラーク郡の8.1%まで変化している。
ラスベガス市を含むクラーク郡は、洪水制御のために0.25%、公共交通のために0.50%、ネバダ州南部水管理機関の資金として0.25%、警官数を増加させるために0.25%を消費税に上乗せしている。リノ市を含むワショー郡の消費税率は7.725%であり、洪水制御、ReTRAC列車計画、公共輸送、および1991年地方政府税法の下に認められる付加税率が上乗せされている[25]。
クラーク郡のラスベガス・ストリップなど未編入領域において宿泊税は12%となっている。ラスベガス市やヘンダーソン市域内では13%である。
法人化法
ネバダ州は法人の結成について友好的な環境を提供しており、特にカリフォルニア州など多くの事業家がネバダ州法の恩恵を活かすためにネバダ州内で事業を起ち上げてきた。ネバダ州の法人関連法では取締役会に大きな柔軟性を担保し、他州では経営者の負担になるような多くの規制を単純化し、あるいは回避できる。
財務制度
アメリカ合衆国の多くの州では貸し主が課することのできる利子額を制限する利率法があるが、連邦法では法人が元の州からこれらの法を「輸入」することを認めている。
ドラッグおよびアルコール法
非アルコール・ドラッグ法はネバダ州の自由原則に対する大きな例外である。国内で薬物法違反者に対しては厳しい罰則が適用されている。ネバダ州は大麻の所持に対して強制的最低刑罰ガイドラインを使うことでは唯一の州であり続けている。しかし現在では1オンス未満の所有については軽罪であり、また21歳以上の者に限られている。2006年、ネバダ州は個人用に1オンスの大麻を所有することが刑法に触れないとする案を住民投票に掛けたが、55%対45%で否決された。また医療用の大麻使用を認める州の1つでもある(連邦法下では違法)。
アルコールについては大変リベラルである。酒場は24時間営業を認められ、「ラストオーダー」が無い。酒販店、コンビニエンスストアおよびスーパーマーケットも24時間酒類を販売でき、その多くはビール、ワインおよびスピリットを販売している。
喫煙
ネバダ州民は2006年11月に喫煙を規制する法(ネバダ州屋内清浄空気法)を採択し、同年12月8日に執行となった。この法では職場や公共の場所大半での喫煙を禁じている。酒場では許されるが、食事を提供しない酒場であるか、大型のカジノの中にある場合に限られている。カジノ、ホテル客室、タバコ店および売春宿では喫煙が認められている[26]。しかし企業によってはこの法に従わないものがあり、州政府も強制しない傾向にある[27]。これまでに1件「ビルボズ」と呼ばれる組織を告発したことがあったが、裁判は中断されたままである[28]。
犯罪
ネバダ州は5年間連続して最も危険な州と評価されてきた[29]。2006年の犯罪率は全国平均よりも約24%高い。犯罪の中で窃盗犯が84.6%を占めており、全国平均より21%高い。残りの犯罪の20.3%は暴力犯であり、これも他州より約45%高い。2008年では殺人率で第3位、強盗と自動車窃盗の率では第1位だった[29]。これら統計値の多くはその全てがネバダ州民に帰せられるものではなく、一部は州に出入りする者によることは注意すべきである。ネバダ州は21歳以上であることを証明できればアメリカ人・外国人を問わず、その場で誰でも拳銃を購入することが出来、即日持ち帰りが可能なため、アメリカ国内で最も拳銃の入手が容易である。アメリカ国内で最も治安が悪いと評価されるのは、こういった事情が絡んでいるためとみられる。 特殊な事件として、2018年に成年後見制度を悪用した詐欺事件が州内で起きており、家庭裁判所判事、弁護士、後見人らが逮捕されており、さらに医療関係者や役所の職員もこの事件に関わっているとされる[30][31]。これはネバダ州法に基づく後見制度の不備を衝いて起こったものであり、同様の事件は法改正されない限り今後も発生するとみられる[32]。
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