ネオジム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 09:19 UTC 版)
名称
ギリシャ語で「新しい」を意味する neos とジジミウムを合成[2]した名称である。ジジミウムはプラセオジムとネオジムの混合物で、かつては1つの元素と考えられていた。ネオジムはプラセオジムとともに1885年にジジミウムから単離・発見され、「新しいジジミウム」を意味する名称が付された。
日本語の「ネオジム」はドイツ語の Neodym の字訳である。製品名などで「ネオジウム」「ネオジューム」の誤用もみられる。
性質
銀白色の金属で、常温、常圧で安定な結晶構造は複六方最密充填構造(ABACスタッキング)、868℃ - 1021℃の間は体心立方格子で安定する。比重は7.0、融点は1,024 摂氏 (℃)、沸点は3,027 ℃。安定な原子価は4f3 の電子配置をとる3価である。常温下の空気中では表面のみが酸化され、高温下では燃焼して淡赤紫色の酸化ネオジム(III) Nd2O3 となる。ハロゲン元素と反応してハロゲン化物 NdX3 を、熱水と徐々に反応して水素および水酸化物を、それぞれ生成する。酸に易溶で、3価の淡赤紫色の水和イオン Nd3+(aq) を生成する。
ランタノイドの中では比較的イオン半径が大きい。
単斜晶構造のリン酸塩であるモナズ石 (Ce,La,Nd,Th)PO4 に含有される。単体のネオジムは、無水塩化ネオジムを融解塩電解またはカルシウムやナトリウムで還元して得る。
用途
- 磁石
- 強い磁力を有する永久磁石に用いられる。ネオジム、鉄、ホウ素の化合物である Nd2Fe14B は、高磁力の永久磁石であるネオジム磁石となり高性能のモーターやスピーカーなど広く利用される。 金属ネオジムは主に非常に強力な永久磁石ネオジム鉄ホウ素磁石の製造に用いられ、特殊な高温合金とスパッタリングターゲットの製造にも用いられる。 [3]
- ^ Gschneidner, K. A.; Eyring, L. (1978). Handbook on the Physics and Chemistry of Rare Earths. Amsterdam: North Holland. ISBN 0444850228
- ^ a b 桜井弘『元素111の新知識』講談社、1998年、268頁。ISBN 4-06-257192-7。
- ^ “NEODYMIUM”. 2023年6月30日閲覧。
- ^ 岩波書店 岩波科学百科 1020頁
- ^ Sr-Nd 横尾頼子、同位体を用いた地圏環境研究 筑波大学アイソトープ環境動態 (PDF)
- ^ FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原勝翻訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
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