ニューモシスチス肺炎 検査

ニューモシスチス肺炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/03 14:58 UTC 版)

検査

微生物学的検査

ニューモシスチス・イロベチイは培養ができないため顕微鏡観察と遺伝子検査が主体となる。検体材料は原則としてBALF(気管支肺胞洗浄液)を用いるのが望ましい。喀痰やうがい液を用いた場合は著しく検出感度を低下させる。BALが速やかに施工できない場合は予め口腔内洗浄につとめ、可能な限り口腔内雑菌を排除してから3%高張食塩水を10分間ネブライザーで吸引し、誘発喀痰を採取または吸引痰を採取する。顕微鏡観察ではディフ・クイック(Diff-Quik)法を行う。熟練した技術者でなければ栄養体を同定するのは困難である。シストが厚く強固な細胞壁を有するためグロコット染色でもシストの観察は可能であるがグロコット染色は時間がかかるため迅速診断はできない。トルイジン青染色、メセナミン銀染色でも確認できる。またnon-HIV-PCPでは菌量が少なく観察できないこともしばしばある。遺伝子検査ではHIV-PCPでは96時間以内に採取されたBALFでPCRの感度は72~100%、特異度は86~100%であった[7]。Non-HIV-PCPのPCRは感度は87.2%、特異度92.2%であった[8]。遺伝子検査ではリアルタイムPCRやLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法が用いられることもある。

血清学的検査

β-Dグルカン(真菌症のマーカー)とKL-6(間質性肺炎のマーカー)がよく知られたマーカーである。特にβ-Dグルカンは感度92.3%、特異度86.1%であり、信頼性の高い診断ツールになる[9]。β-Dグルカンの問題点は擬陽性があること、測定法が複数あり測定法により検査値が一致しないことがあげられる。

画像検査

胸部単純レントゲン撮影

レントゲン撮影のPCPの典型的な所見は両側対称性のびまん性すりガラス陰影である。単発もしくは多発性の結節影および空洞影がみられる場合もある。空洞内の液面形成はみられない。空洞形成の機序は菌体の血管侵襲による虚血性壊死によると考えられている。

有効な治療が行われた場合は、すりガラス状陰影を中心とした陰影は7~10日以内に改善傾向を示すが、時に治療開始2~3日後に一過性の増悪を示すことがある。これは治療によって菌体成分に対する免疫応答を反映していると考えられる。しかしST合剤の大量点滴で肺水腫を反映している場合もある。

胸部CT

Grutenらの報告では胸部単純X線撮影で正常~曖昧もしくは非典型的なHIV-PCP疑い症例についてHRCTを施行した結果感度は100%、特異度は89%であった[10]。HRCTですりガラス状陰影がなければPCPはほぼ否定できると考えられる。PCPのすりガラス状陰影は肺胞腔内のフィブリンやデブリス、菌体の集簇を反映している。その密度が比較的疎であり、含気が残るために浸潤影ではなく、すりガラス陰影になると考えられる。すりガラス状陰影の分布に関しては肺門側に優位で胸膜側に正常部位を残した像、いわゆるperihilar distribution with peripheral sparing(末梢肺野がスペアされた所見)の所見や分布が均一ではなく、肺小様単位で濃淡がみられるモザイク状、もしくは地図状のすりガラス状陰影を呈することが特徴的であるといわれている。非典型的画像所見と考えられている浸潤影や結節影、空洞影も実際にはそれほどまれではない。




  1. ^ Robert F.Miller:Pneumocystis carinii in non-AIDS patients. Current Opinions in infectious diseases.1999 Aug;12(4)371-7
  2. ^ Clin Microbiol Rev. 2012 Apr;25(2):297-317. PMID 22491773
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  7. ^ JAMA. 2009 Jun 24;301(24):2578-85. PMID 19549975
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  11. ^ Immunol Allergy Clin North Am. 2004 Aug;24(3):425-43. PMID 15242719
  12. ^ MMWR Recomm Rep. 2009 Apr 10;58(RR-4):1-207. PMID 19357635
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  14. ^ J Rheumatol. 1992 Feb;19(2):265-9. PMID 1629825
  15. ^ Cochrane Database Syst Rev. 2007 Jul 18;(3). PMID 17636808
  16. ^ Arthritis Care Res (Hoboken). 2013 Feb;65(2):314-23. PMID 22972558
  17. ^ 森俊輔. 抗リウマチ薬使用時のニューモシスチス肺炎に対する予防内服. 日本医事新報 2015;4767:58-59.





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