ナイジェリア 概要

ナイジェリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/24 23:20 UTC 版)

概要

ナイジェリアは西アフリカに存在する国家である。人口は2022年現在で2億1,140万人[3]世界第7位であり、アフリカ州最大の規模でもある。さらに民主的世俗国家であることが憲法上で規定されている[4]イギリス連邦加盟国の1国でもある。行政区分は、36の州および首都アブジャ市を擁する連邦首都地区からなる。

ナイジェリアの地には過去数千年間に多数の王国部族国家が存在してきた。現在のナイジェリア連邦共和国の源流は、19世紀以来の英国による植民地支配と、1914年の南部ナイジェリア保護領英語版北部ナイジェリア保護領の合併にもとめられる。英国は行政システムと法制度を設置した上で伝統的な首長制を通じた間接統治を行った。ナイジェリアは1960年に正式に独立し、1967年から1970年にかけて内戦に陥った。以来、選挙に基づく民主政権と軍事独裁政権が交互に続いたが、1999年に安定した民主政権が成立し、2011年の大統領選挙は同国では初めて比較的自由かつ公平に行われた選挙であるとされる[5]

若年人口英語版は世界でも非常に多い[6][7]。同国は多民族国家とみなされており、500を超えるエスニック・グループを擁する。そのうち3大エスニック・グループがハウサ人イボ人ヨルバ人である。同国のエスニック・グループが用いる言語は500を超え、文化の違いも多岐にわたり、それにより互いに区別される[8][9]。ナイジェリア連邦共和国の公用語英語である。宗教はおおまかに南部のキリスト教と北部のイスラム教に二分される。少数はナイジェリア土着の宗教を信奉しており、たとえばイボ人やヨルバ人の伝統宗教などがこれにあたる。

ナイジェリアは人口と経済規模から「アフリカの巨人」と称されることが多い[10]。2015年時点でナイジェリアの経済規模は世界第20位であり、名目GDPは5,000億ドル、購買力平価は1兆ドルをそれぞれ上回る。2014年には南アフリカを抜きアフリカ最大の経済大国となった[11][12]。また、GDPに対する国債の割合は2013年で11パーセントに過ぎず、2012年にくらべても8ポイント低い[13][14]

ナイジェリアは世界銀行からエマージング・マーケットとみなされているほか[15]、アフリカ大陸における地域大国[14][16][17]、国際政治におけるミドルパワー[18][19][20][21]、世界規模でのエマージング・パワー英語版ともみなされている[22][23][24]。ナイジェリアは、広く第2のBRICsと目されるMINT英語版の1か国であり、世界最大クラスの経済大国になると考えられているネクスト11にも含まれる。ナイジェリアは英連邦創設当初からの加盟国であるほか、アフリカ連合OPEC国際連合といった国際機関のメンバーでもある。

2014年に西アフリカでエボラ出血熱が流行した際には、この伝染病はナイジェリア以外の3つの国では猛威を振るったが、ナイジェリアでは各国に先駆けて効果的に封じ込めと除去が行われた。また同国独自の保菌容疑者の追跡法は有効性を買われ、のちに各国で用いられることになった。たとえばアメリカでエボラ出血熱の感染が確認された際にもこの方法が採用されている[25][26][27]


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