ドラマツルギー (社会学) 役柄以外のコミュニケーション

ドラマツルギー (社会学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 22:53 UTC 版)

役柄以外のコミュニケーション

パフォーマーは、故意に(通常、裏舞台で)、または事故で(表舞台におけるならば)、役柄以外 (Communication out of character) で行動することがあるかもしれない。

  • 裏舞台での共通のコミュニケーションに含むもの
  1. 不在者の取り扱い (Treatment of The Absent): チームの結束力に影響するような、欠席したオーディエンスまたはパフォーマーを中傷する議論[5]
  2. 演出への談合: パフォーマンス、ゴシップの技術的側面の議論[5]
  • 役柄以外で共通の表舞台コミュニケーションは以下を含む。
  1. チーム単位の共謀 (Team collusion): パフォーマンスの間にチームメンバーの間でなされるが、それを危険にさらさないもの。例: テーブルの下で友人を蹴っているような、芝居の合図[5]
  2. 再調整行為 (Realigning Actions): 相手チームのメンバーの間での。例: 非公式な不平[5]

印象操作

印象操作 (Impression Management) は、要求された印象を維持するうえでの作業を言う。それは防御や保護する技術から構成されている。相互作用が始まる前に防御用のテクニックは使用され、以下が含まれる。

  1. 演出上の忠誠心 (Dramaturgical Loyalty): チームメンバーを、チームメンバーとそのパフォーマンスに忠実にしておくための作用。
  2. 演出上の節度 (Dramaturgical Discipline): パフォーマンスに専念しても自分自身を見失わないこと。人が適切にパートを演じられるようにさせるためのセルフ・コントロール(=リハーサル)。
  3. 演出上の周到さ (Dramaturgical Circumspection): 予期されている問題の準備をすることによってリスクを最小化する。正しいオーディエンスとパフォーマンスの長さや演じる場所を選んで、過失または潜在的な問題が起こり得る状況を避けるように注意すること。過失をカバーするために、相互作用が始まると保護する技術は使われる。例えば、聴衆が気転を使ってパフォーマーの誤りを見逃すことをあてにするような[5]

評価

ドラマツルギーは、全体組織に関与している人々を含む例にのみ応用されるべきであることが議論されている。この理論は全体の組織のためにデザインされたものであって、この理論はそれらがテストされなかった所では適用されるべきでないと幾人かの人が信じている[6]

これに加えて、ドラマツルギーが、社会の妥当性を理解する社会学のゴールには寄与しないとも言われている。それは、実証主義に基づき下図が描かれていると主張される(それは動機と合理性の両方への関心を提供するわけではない)。ジョン・ウェルシュ(John Welsh)はそれを「コモディティ(=日用品)」 ("Commodity") [7]と呼んだ。


  1. ^ "Performance"と"Audience"については、それぞれ「演技」・「観客」の訳語もあるが、前掲文献の「あとがき」(312 - 313頁)での石黒毅の方針(例えば「パフォーマンス」について、「自然主義的視角からは、道具的側面と表出的側面をもつとされ両成素は分析的に分離されない」ことにより邦訳できないという)に準拠して特に和訳せず、「パフォーマンス」・「オーディエンス」とした。
  2. ^ 「社会の中の部分であるかないか」 (to be a part or not …… in a society) という問題関心は、社会が「地下茎の複合」 (a rhizomatic conglomerate) であるという見方と等値であるとし、むしろ境界コントロールにこそゴッフマンの中心的問題関心があるという意味である。
  1. ^ Mitchell, J. N. (1978). Social Exchange, Dramaturgy and Ethnomethodology: Toward a Paradigmatic Synthesis. New York: Elsevier.
  2. ^ a b George Ritzer (2007) Contemporary Sociological Theory and Its Classical Roots: The Basics. New York, New York. McGraw-Hill.
  3. ^ Adler, P.; Adler, P.; Fontana, Andrea (1987). “Everyday Life Sociology”. Ann Rev Sociol 13: 217–35. doi:10.1146/annurev.so.13.080187.001245. 
  4. ^ Goffman, E. (1974). Frame analysis: An essay on the organization of experience. Cambridge, MA: Harvard University
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z Goffman: The Presentation of Self in Everyday Life - an analysis Archived 2007年5月20日, at the Wayback Machine.. Last accessed on 25 February 2007.
  6. ^ (2001) Contemporary Sociological Theory New York, New York. Peter Lang Publishing Inc.
  7. ^ Welsh, J. (1990) Dramaturgical Analysis and Societal Critique Piscataway, New Jersey. Transaction Publishers.
  8. ^ Benford, S.; Hunt, S. (1992). “Dramaturgy and Social Movements: The Social Construction and Communication of Power”. Sociological Inquiry 2: 1. 


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