トロント 都市の景観

トロント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/13 07:41 UTC 版)

都市の景観

CNタワーからのトロントのパノラマ
トロント中心部
ウォーターフロント地区の高層ビル街

トロントには傑出した設計の建物が数多くある。これらの多くは世界的な建築家による設計で、その代表的な例にはフランク・ゲーリーダニエル・リベスキンドノーマン・フォスターウィル・アルソップイオ・ミン・ペイサンティアゴ・カラトラバミース・ファン・デル・ローエの他、現地企業ではクワバラ・ペイン・マッケナ・ブラムバーグ建築事務所やダイアモンド・シュミット建築事務所どが含まれる。

建築

トロントのスカイラインを象徴する最も代表的な建物はCNタワーであり、高さは553.33mである。地上建築物としては一時期世界で最も高い建物であって、トロント観光の中核を成している。また、電波塔として重要な役割をも担っている。

BCEプレイスはトロントの市街地にある複合オフィスビルで、ベイ・ウェリントン・タワーとTDカナダ・トラスト・タワーの2つの高層ビルで構成され、6階建てのアレン・ランバート・ギャラリアとつながっている。ホッケーの殿堂もBCEプレイスにある。アレン・ランバート・ギャラリアはしばしば「商業のクリスタル大聖堂」("crystal cathedral of commerce")と表され、スペイン人建築家のサンティアゴ・カラトラバによってデザインされた。トロントの金融街で最も写真が撮られる場所のひとつで、テレビや映画撮影でも背景としてよく使われる。

コマースコートは4つのオフィスビル群で金融街のキング通りとベイ通りに位置する。最初のビルは現在のコマースコート・ノースで、1930年にCIBCの本社として現在の敷地に先駆けて建設され、当時、カナダの中でも華麗な本社ビルのひとつとされた。ピアソン・ダーリング建設事務所の設計による34階建ての高層ビルで、1962年までは英連邦で最も高いビルであった。1972年に残りの3つのビル、コマースコート・ウエスト(57階建て)、コマースコート・イースト(14階建て)、コマースコート・サウス(5階建て)が完成した。イオ・ミン・ペイの設計であるコマースコート・ウエストは1972-76年までカナダで最も高い高層ビル(239m)であった。

トロント・ドミニオン・センターミース・ファン・デル・ローエによる設計で、トロント・ドミニオン・バンク・タワー(223m)を筆頭に、人目を引く黒い近代的な6つの高層ビルで構成された複合オフィスビルである。

オフィスやホテル、コンドミニアムを備えたトランプ・タワーが2012年に竣工。この超高層ビルは65階建てでアンテナの高さを含めると277mである。これは国内のオフィスビルとしてはファースト・カナディアン・プレイスに次ぐ高さに相当する(住宅、ホテルのビルとしては最も高い)。ファースト・カナディアン・プレイスは1976年に完成し、アンテナの高さを含めると355mある72階建ての超高層ビルである。

ダウンタウン以外にも多くの高層ビルが建てられており、ミッドタウントロントノースヨークヤング・ストリートに沿ったノースヨーク・シティーセンター地区、エトビコクィーンズウェイ・ハンバー・ベイ地区、スカーバロースカーバロー・シティーセンター地区にもオフィスやコンドミニアムの高層ビルが集中している。その他、人口増加による住宅不足を補うようにトロント郊外各地にも高層コンドミニアムが建設中である。

新装・新築

市内にあるロイヤルオンタリオ博物館は、ダニエル・リベスキンドの手によって再設計され拡張工事が2007年6月に完成した。通りに向かって5階建てのクリスタル風の外観が既存の建物を覆うような設計になっている。またオンタリオ美術館ではフランク・ゲーリーによる設計で内装、外観を含めて拡張工事が行われ、2008年11月に再公開された。

近年完成した建築物にウィル・アルソップの「テーブルトップ」とよばれるオンタリオ美術デザイン大学の建物がある。この大学はオンタリオ美術館の南側にあり、地上から40mの高さにある直方体の形をした2階建ての建物でカラフルな支柱によって支えられている。

2006年6月、フォーシーズンズ・センターが完成し、カナディアン・オペラ・カンパニーとカナダ国立バレエ団が本拠としている。ダイアモンド・シュミット建築事務所による設計で馬蹄形のヨーロッパ風の観客席になっている。

トロント大学でもビルの拡張や新築が行われており、ノーマン・フォスターギュンター・ベーニッシュによって設計された校舎や宿舎がある。その他、トロント王立音楽院、カナダ国立バレエ学校などの建物なども古くからの建築と新規の建築部分を組み合わせた設計が多い。

住宅

トロント住宅街にあるテラスハウス

住宅地の多くはトロントの商業地区に立ち並ぶ高層ビル群とは違う特徴を持っており、ビクトリア朝・エドワード朝時代の住宅街がローズデールやフォーレストヒル、キャベッジタウン、アネックス、ブライダルパス、ムーアパークなどに点在している。

ウィッチウッドパークにはトロント初期の頃にできた歴史的な建築物や住居が見られ、1985年にオンタリオ歴史遺産保護区に指定されている。1911年に建てられたカサ・ロマは中世ヨーロッパの古城スタイルの建物で、エレベーターや秘密の通路、ボウリングのレーンなども備え付けられている豪邸であった。邸宅や庭園があるスパダイナ博物館は19世紀に建てられたマナー・ハウスとして知られる。

地区

トロント市は地勢的に大きく6つの地域で構成されており、もともとは独立した都市であった。各都市ごとに発展してきた歴史をもつことから今でもそれぞれの地名が残り使われている。また、細かく区分すると100以上の地域に分かれる。

合併前の6つの都市:イーストヨーク | エトビコ | ノースヨーク | オールド・トロント | スカボロ | ヨーク
CNタワーから見る金融街
エトビコの高層ビル
ノースヨークの中心街

旧トロント市は一般的にダウンタウンと呼ばれる地域を網羅し、トロントの歴史的な中心を成してきた。今でも市内で最も高い人口密度をもつ。金融街が広がるベイ通り沿いには、ファースト・カナディアン・プレイストロント・ドミニオン・センター、スコシア・プラザ、ロイヤル・バンク・プラザ、コマース・コート、BCEプレイスなどカナダで最も大きな超高層ビル群が立ち並ぶ。ダウンタウンの北部周辺には歴史豊かな住宅街も点在し、ヨークビルやローズデール、アネックス、フォーレストヒル、ローレンスパーク、ムーアパーク、カサロマなどの地区を指す。これらの多くは高級コンドミニアムや富裕層向けの住宅が広がる高級住宅街である。同時にダウンタウン周辺には新しい移民や低所得層が高い比率で住んでおり、公共住宅や高層アパートなどがセントジェームズタウンやリージェントパーク、モスパーク、パークデールなどにある。ダウンタウンの東西に位置するケンジントンマーケットやレズリービル、キャベッジタウン、リバーデールなどのエリアには賑やかな商業地区と文化地区が広がっており、芸術家のスタジオなどや中産階級、富裕層に加えて、貧しい労働者や政府の生活保護を受けている貧困層が混在している。その他、市内にあるよく知られたエスニックタウンとして、2つのチャイナタウンやグリークタウン、リトルイタリー、ポルトガル・ビレッジ、リトル・ジャマイカ、リトル・インディアなどがある。

スパダイナ通り英語版にあるビルから望む西側の住宅地

トロントの内輪には合併前まで都市であったヨークイーストヨークが含まれ、伝統的に労働者階級が多く落ち着いたエリアになっている。また、クレセントタウンやソーンクリフパーク、ウエストンなどの地区には高層アパートがあり、新移民の家族が多く住んでいる。この地区の多くは民族構成が多様で近年、再開発が進んだことから、1990年代後半から人口の増加と住宅ブームが起きた。最初にこの流れに乗ったのがリーサイドとノーストロントの地区で、段階的に西部へと再開発の波が訪れている。そして、いくつかの住宅街では今、建て替えまたは改装の過程にある。

トロント北部から見る夜景

トロントの外輪には同じく合併前まで都市であったエトビコスカボロノースヨークを含み、本格的な開発は戦後に行われた。設立は早く、ミミコやニュートンブローク、ウエストヒルなどの地区では住宅ブームやメトロ政府が誕生する前、すでに急速な発展が見られた。高級住宅街として知られるノースヨークのブライドルパス(Bridle Path)やスカボロの断崖周辺のギルドウッド(Guildwood)、エトビコの中心部、ハンバーバレービレッジ(Humber Valley Village)、キングスウェイ(The Kingsway)などもまた戦後、急速に成長した地区である。郊外開発のモデルにもなったドンミルズ(Don Mills)は、都市計画に基づいて早くに開発された大きい住宅街のひとつで、タウンハウスや密度の高いアパート団地が建ち並ぶ。ヤング通り沿いのノースヨークセンターとスカボロのスカボロシティセンターはトロント・ダウンタウン中心部の外にある副都心として機能している。この地区に開発された高層の建築群がノースヨークとスカボロに独自の雰囲気をもたらしており、密度の高い交通網が発達している。

工業地区

ディスティラリー地区はトロントでも特に個性的な地域のひとつで、ビクトリア朝の産業建築が数多くある。北米では最も多くのコレクションをもち、保存状態も極めて良い。また、このエリアはトロント旧市街(Old Town Toronto)の一部を構成しており、観光名所のひとつとなっている。スカボロやエトビコには大きな工業団地が今もあるが、以前のような拡張や開発は行われていない。

公共スペースの再開発

ネイサン・フィリップス・スクエアはトロント市庁舎の南口にある市庁舎前広場で、再開発の計画が進んでいる[17]

オランダランドスケープ設計事務所ウエスト8」が2006年に行われたコンペティションで入選し、トロントの中心部を成すトロント・ウォーターフロントの新しいデザインが決まった[18][19]

ダウンズビュー公園は1999年の夏、カナダ初の国立都市公園構想を実現するべく、国際デザイン・コンテストに応募を募った。2000年5月に入選作品が決まり、ブルース・マウ・デザインOMAらを含むチームが設計した「ツリーシティ」(TREE CITY)と呼ばれるデザインが選ばれた。


  1. ^ Government of Canada, Statistics Canada (2017年2月8日). “Census Profile, 2016 Census - Toronto, City [Census subdivision, Ontario and Ontario [Province]]”. www12.statcan.gc.ca. 2020年2月21日閲覧。
  2. ^ Government of Canada, Statistics Canada (2016年2月10日). “Table 1.1Population and demographic factors of growth by census metropolitan area, Canada”. www150.statcan.gc.ca. 2020年2月21日閲覧。
  3. ^ City of Toronto |  Toronto economic overview”. 2008年5月16日閲覧。
  4. ^ Number of 150m+ Completed Buildings - The Skyscraper Center”. www.skyscrapercenter.com. 2020年2月14日閲覧。
  5. ^ 世界の安全な都市ランキング2019発表!トロントは世界6位、北米都市では1位” (日本語). lifetoronto.jp. 2020年2月21日閲覧。
  6. ^ JLL、世界の都市比較インデックスを分析「都市パフォーマンスの解読」を発表 JLL 2017年10月25日閲覧。
  7. ^ Natural Resources Canada | The real story of how Toronto got its name”. 2011年12月9日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2008年5月16日閲覧。
  8. ^ Jarvis Collegiate Institute | Fort Rouillé”. 2012年9月13日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2008年5月16日閲覧。
  9. ^ Jarvis Collegiate Institute | Toronto Purchase”. 2008年5月16日閲覧。
  10. ^ Journal of Canadian Studies | Westward ho? The shifting geography of corporate power in Canada | Winter 2002 | William K Carroll”. 2008年5月16日閲覧。
  11. ^ Laurance, Jeremy (2003年4月23日). “One family went on holiday – and made Toronto a global pariah”. The Independent. 2018年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月22日閲覧。
  12. ^ More than 1,000 people detained during G20 summit in Toronto can sue police”. The Guardian. Guardian News and Media Limited (2016年4月7日). 2016年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月15日閲覧。
  13. ^ Environment Canada | Canadian Climate Normals 1971-2000”. 2008年5月16日閲覧。
  14. ^ 1981 to 2010 Canadian Climate Normals station data TORONTO LESTER B. PEARSON INT'L A カナダ環境省”. 2014年8月7日閲覧。
  15. ^ 1961 to 1990 Canadian Climate Normals station data TORONTO PEARSON INT'L A カナダ環境省”. 2014年8月7日閲覧。
  16. ^ 1981 to 2010 Canadian Climate Normals station data TORONTO カナダ環境省”. 2014年8月7日閲覧。
  17. ^ Toronto Star.com - News | The city's new heart, Mar 09, 2007”. 2008年5月16日閲覧。
  18. ^ City of Toronto News releases | West 8 Wins Waterfront Corp. Design Competition”. 2008年5月22日閲覧。
  19. ^ du Toit Allsopp Hiller | The Multiple Waterfront”. 2008年5月16日閲覧。
  20. ^ CNE - About Us | Canadian National Exhibition”. 2008年5月16日閲覧。
  21. ^ Toronto 2015 Pan Am & Parapan Am Games (英語) (フランス語) 2016年11月16日閲覧
  22. ^ プライスウォーターハウスクーパースによる都市のGDP Archived 2011年5月13日, at the Wayback Machine.
  23. ^ Global Financial Centres Index 21 Z/Yen Group 2017年4月5日閲覧。
  24. ^ City of Toronto | Urban Development Services (pdf)”. 2008年5月16日閲覧。
  25. ^ Language used at work by mother tongue in Toronto CMA, Statistics Canada (2001).
  26. ^ Language used at work by mother tongue (City of Toronto), Statistics Canada (2001).
  27. ^ City of Toronto: Emergency Services - 9-1-1 = EMERGENCY in any language”. City of Toronto. 2007年1月5日閲覧。
  28. ^ City of Toronto  | 2006 City Budget”. 2007年2月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2008年5月16日閲覧。
  29. ^ Toronto Union Station. VIA Rail Canada
  30. ^ Toronto, ON. Amtrak. 2016年7月3日閲覧
  31. ^ Toronto Union Station GO Station. GO Transit. 2016年7月17日閲覧
  32. ^ UNION STATION. Union Pearson Express. 2016年7月17日閲覧
  33. ^ The Canadian(TORONTO-VANCOUVER). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  34. ^ The Canadian(VANCOUVER-TORONTO). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  35. ^ Corridor(Toronto-Ottawa). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  36. ^ Corridor(Ottawa-Toronto). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  37. ^ Corridor(Montreal-Toronto). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  38. ^ Corridor(Toronto-Montreal). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  39. ^ Corridor(Toronto-Windsor). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  40. ^ Corridor(Windsor-Toronto). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  41. ^ Corridor(Toronto-Sarina). VIA Rail Canada. P1. 2016年6月. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  42. ^ Maple Leaf. P2. Amtrak. 2016年4月24日. 2016年6月27日閲覧 (PDFファイル)
  43. ^ System Map. GO Transit. 2016年7月17日閲覧 (PDFファイル)
  44. ^ UP Express. 2016年6月27日閲覧
  45. ^ 日本車輌製造株式会社. 2012年7月6日. 2016年6月27日閲覧
  46. ^ Ontario Northland. 2016年7月3日閲覧
  47. ^ Toronto Discovery District FAQ | ”. 2008年5月16日閲覧。
  48. ^ Third time lucky for T.O. Games bid?, TheStar.com, 2007






トロントと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「トロント」に関係したコラム

  • 世界の株価指数一覧

    株価指数は、証券取引所に上場している銘柄を一定の基準で選出し、それらの銘柄の株価を一定の計算方法で算出したものです。例えば、日本の株価指数の日経平均株価(日経平均、日経225)は、東京証券取引所(東証...

  • 株式の取引が行われる証券取引所の一覧

    2012年6月現在の日本の証券取引所、および、世界各国の証券取引所の一覧です。▼日本東京証券取引所(東証)大阪証券取引所(大証)名古屋証券取引所(名証)福岡証券取引所(福証)札幌証券取引所(札証)TO...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トロント」の関連用語

トロントのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トロントのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのトロント (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS