トリュフ トリュフの概要

トリュフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/23 09:16 UTC 版)

黒トリュフ( Tuber melanosporum
サンミニアートの白トリュフ
サンミニアートの黒トリュフ

トリュフの中には食用として珍重されるものもある。フランスの美食家ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランは、トリュフを「キッチンのダイヤモンド」と呼んだ[3]。食用のトリュフは、フランス料理をはじめとする各国の高級料理に使用されている[4]。トリュフは自然の生息地で栽培され、収穫される。

生態

子実体は、少なくとも初期には地下(深さはおおむね5-40センチメートル程度)に形成されるが、成熟するとしばしば地上に現れる。胞子の分散には、哺乳類リスノネズミモモンガその他)やある種のハエ(たとえばAnisotoma cinnamomea Panzer[5]、あるいは俗にトリュフバエmouches à truffe と呼ばれるSuillia pallida Fallén[6][7]など)が関与しているといわれている。

少なくともTuber 属に含まれる種はすべてが外生菌根を形成し、ナラ属(Quercus)や、ブナ属(Fagus)・カバノキ属(Betula)・ ハシバミ属(Corylus)・クマシデ属(Carpinus)・ヤマナラシ属(Populus)あるいはマツ属Pinus)などの樹木の細根と共生している。また、ハンニチバナ科(Cistaceae)に属するハンニチバナ属(Helianthemum)やゴジアオイ属(Cistus)などの植物の多くもまた、Tuber 属の菌との間で外生菌根を形成する[8][9][10]

Terfezia 属についてはカヤツリグサ科ヒゲハリスゲ属(Kobresia)の一種[11]や、ハンニチバナ属のいくつかの種[12][13]との間に共生関係を持つとの報告があるが、菌根の形態は Tuber 属のものとは異なるという。

の落ちた場所ではトリュフがよく育つ事が経験的に知られているが、これは落雷による高電圧印加により窒素が固定され、生じた亜硝酸塩が養分になるからとする研究がある[14]

種類

トリュフは大まかには黒トリュフと白トリュフに分けられる[15]。特にフランス産のペリゴール・トリュフ(黒トリュフ、T. melanosporum Vitt.)とイタリア産の白トリュフ(T. magnatum Pico)が珍重され、他にも数種のヨーロッパ産セイヨウショウロが食用に採取されている。日本ではクロアミメセイヨウショウロ(T. aestivum Vitt.。ヨーロッパにも分布し、夏トリュフと呼ばれる)やイボセイヨウショウロ(T. indicum Cooke et Massee)などの近縁種が報告されている。中国産のイボセイヨウショウロは、黒トリュフや白トリュフの廉価な代用品として大量に輸出されている。

黒トリュフはほぼヨーロッパでのみ生産され、中でもフランス(生産の45%)、スペイン (35%) 、イタリア (20%) が多い。スロベニアクロアチアでも少量生産されている。1900年にはフランスでは約1,000トンの黒トリュフが生産されていた。生産は1世紀にわたり大きく減少し、現在の生産量は通常20トン前後であり、最良の年でも46トンに過ぎない。フランス産のうち80%は南東フランスの上プロヴァンス(ヴォクリューズ県およびアルプ=ド=オート=プロヴァンス県)、ドーフィネの一部(ドローム県)、ラングドックの一部(ガール県)で生産され、20%は南西フランスのケルシー(ロット県)およびペリゴールで生産される。このトリュフは子実体発生の条件が整うと、その地上部には草の生えない「ブリュレ(焼け跡)」と呼ばれる領域を生じる。これは、未解明の物質によるアレロパシー作用である。

季節により収穫できる品種が異なり、夏トリュフ(Tuber aestivum)、秋トリュフ(Tuber uncinatum)、冬トリュフ(Tuber melanosporum)などがある[15]

中国産黒トリュフは主に雲南省や四川省で収穫されるイボセイヨウショウロ (Tuber indicum)という品種のものである[15]。世界中に輸出されている[15]

白トリュフ

白トリュフ(Tuber magnatum)は北および中央イタリアに見られ、Tuber borchii (whitish truffle) はトスカーナ州ロマーニャ地方、マルケ州で見られる。

黒トリュフに比べて産地が限られ、生産量も少ない[16]。白トリュフは黒トリュフよりも香りが高いとされ、そのままスライスしたものが料理に用いられる[15]

日本にも、白トリュフであるホンセイヨウショウロ(Tuber japonicum)、ウスキセイヨウショウロ(Tuber flavidosporum)などが存在し、その他セイヨウショウロが20種以上存在するとされる[17]


  1. ^ Læssøe, Thomas; Hansen, Karen (September 2007). “Truffle trouble: what happened to the Tuberales?”. Mycological Research 111 (9): 1075–1099. doi:10.1016/j.mycres.2007.08.004. ISSN 0953-7562. PMID 18022534. 
  2. ^ Lepp. “Spore release and dispersal”. Australian National Botanic Gardens. 2016年12月5日閲覧。
  3. ^ Brillat-Savarin, Jean Anthelme (1838) [1825]. Physiologie du goût. Paris: Charpentier. https://archive.org/details/physiologiedugo02savgoog  English translation Archived 2008-07-06 at the Wayback Machine.
  4. ^ “Truffles”. Traditional French Food Regional Recipes From Around France. (2017年). http://www.traditionalfrenchfood.com/truffles.html 2017年1月6日閲覧。 
  5. ^ Fabre, J. H. (Translated by de Mattos, A. T.), 2009. The life of fly. Echo Library, ISBN 9781406863222
  6. ^ Pacioni, G., Bologna, M. A., and M. Laurenzi. 1991. Insect attraction by Tuber: a chemical explanation. Mycological Research 95(12): 1359–1363.
  7. ^ Dubarry, F., and S. Bucquet-Grenet, 2001. The Little Book of Truffles. Flammarion.ISBN 9782080106278.
  8. ^ Chevalier, G., Mousain, D., and Y. Couteaudier, 1975. Association ectomycorhiziennes entre Tubéracées et Cistacées. Annales de Phytopathologie 7: 355-356.
  9. ^ Giovannetti, G., and A. Fontana, 1982. Mycorrhizal synthesis between Cistaceae and Tuberaceae. New Phytologist 92: 533-537.
  10. ^ Wenkart, S., Mills, D., and V. Kagan-Zur, 2001. Mycorrhizal associations between Tuber melanosporum mycelia and transformed roots of Cistus incanus. Plant Cell Reports 20: 369-373.
  11. ^ Ammarellow, A., and H. Saremi, 2008. Mycorrhiza between Kobresia bellardii (All.) Degel and Terfezia boudieri Chatin. Turkish Journal of Botany 32: 17-23.
  12. ^ Morte, A., C. Lovisolo, C., and A. Schubert, 2000. Effect of drought stress on growth and water relations of the mycorrhizal association Helianthemum almeriense-Terfezia claveryi. Mycorrhiza 10: 115-119.
  13. ^ Turgeman, T., Jiftach Ben Asher, J. B., Roth-Bejerano, N., Varda Kagan-Zur, V., Kapulnik, Y., and Y. Sitrit. 2011. Mycorrhizal association between the desert truffle Terfezia boudieri and Helianthemum sessiliflorum alters plant physiology and fitness to arid conditions. Mycorrhiza 21: 623-630.
  14. ^ The Lightning and the Truffle
  15. ^ a b c d e トリュフの輸入 東京税関、2020年4月19日閲覧。
  16. ^ 美味しいヨーロッパ アウトバウンド促進協議会、2021年12月10日閲覧。
  17. ^ 日本で初めて新種と記載されたトリュフ ―国産トリュフの人工栽培に向けて― 森林総合研究所
  18. ^ 宇田川悟 『食はフランスに在り』小学館ライブラリー、1994年、62-67頁。ISBN 978-4062025898 
  19. ^ UNESCO - Truffle hunting and extraction in Italy, traditional knowledge and practice” (英語). ich.unesco.org. 2022年10月18日閲覧。
  20. ^ トリュフを豚が探すのはなぜ?犬が探すこともあるが違いは?”. グルメノート. 2022年10月4日閲覧。
  21. ^ a b c d キノコの栽培方法 -トリュフ類(Tuber spp.) (PDF)”. 特許庁. 2016年10月9日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年10月12日閲覧。
  22. ^ a b 大和弥寿、国内トピックス」『日本食品保蔵科学会誌』 2001年 27巻 3号 p.165-167, doi:10.5891/jafps.27.165
  23. ^ Giant truffle sets record price BBC News. Sunday, 2 December 2007
  24. ^ 世界一高価な2300万円の白トリュフ、香港の晩さん会に AFP通信 2007年11月15日


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