テープ起こし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 09:42 UTC 版)
テープライターの仕事内容
依頼人から受け取った音声データ・録音物(テープ、MD、ICレコーダーなど)を聞きながら文章に書き起こす。収録の段階から現場に同行する場合もある。作業には再生・巻き戻し・早送りが足踏みスイッチで行える専用の再生機器[4]やパソコンソフトが使用される(筆記やタイピングをしなければならないので手で操作するのは非効率的)。
文体は依頼人によりさまざまだが、漢字にするか仮名で書くかなどの言語運用は依頼人が指定する用字用語集の通りにすることがほとんどである。作業は大きくわけて
- 素起こし。「あっ」「えー」などの間投詞や「正直言って」「ちょっと」などのくせ言葉といった清書の段階で削るべき言葉も残らず文字にする
- ケバ取り。1.にある、読む妨げとなるだけの言葉を削る
- 整文。書き言葉として読みやすくする
の3段階である。
かつて内職商法の勧誘職種にされたこともあり[注釈 1]「言葉が話せれば誰でもできそうな仕事」と思われがち[5]だが、実際は速記士と同様に相当な国語力を必要とし、安易な職業ではない。
インタビュアーの吉田豪は、テープ起こし業者に頼むと専門用語を知らない上に文章が固くなる、編集部のアルバイトに頼むと日本語としておかしいところがあるという理由で専属の文字起こし担当者を自費で雇っているほどである[6][7]。
前述のように現代では音声認識に置き換わりつつあり[1]、将来的には無くなる職業とされる。
業界団体
個人事業のテープ起こし業者の団体として全国反訳事業連合会がある。会員が個人事業者であることを鑑み、事務所名義での加盟やメールでの会議など、一堂に会することなく活動を行っているのが特徴である。共同での営業活動や、技術競技会の開催を通じて、テープ起こし業者の受注獲得活動の支援と技能研鑽を行っている。
脚注
注釈
- ^ 内職商法の勧誘手口に「テープ起こしの仕事がある」と称して、物品やサービスを買わせるといったものがある(朝日新聞2003年1月29日付記事)。
出典
- ^ a b INC, SANKEI DIGITAL. “手書き速記、国会や地方議会でも廃止の波”. 産経WEST. 2021年4月29日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2021年4月14日). “NVIDIA ジェンスン・フアンCEO、対話型AIサービス「Jarvis」で「じゃんがらラーメン」を探すデモ”. Car Watch. 2021年4月15日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2021年4月27日). “Adobe Premiere Pro、音声からの文字起こし進化中。テンプレ拡充”. AV Watch. 2021年4月29日閲覧。
- ^ 例えば、“SONY BI-85T ディクテーター/トランスクライバー”. Amazon.co.jp. 2015年6月6日閲覧。など
- ^ “世が世なら朝ドラに? 返す返すも惜しまれる業界での現ポジション | レビュー”. Book Bang -ブックバン-. 2021年4月29日閲覧。
- ^ “「TAO」 企画前夜:ゲスト→吉田豪 5”. HMV ONLINE. ローソンHMVエンタテイメント (2008年10月14日). 2015年6月6日閲覧。
- ^ 『聞き出す力』(日本文芸社)p.107
- 1 テープ起こしとは
- 2 テープ起こしの概要
- 3 テープライターの仕事内容
- 4 参考文献
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