テーブルトークRPG 特徴

テーブルトークRPG

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/20 17:49 UTC 版)

特徴

ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイ中の様子

ゲームの進め方

まずゲームの参加者(英語でプレイヤーと呼ばれる)それぞれが自分の操るキャラクターを用意する(通常は一人ずつ)[1]。これをプレイヤー・キャラクター(PC)という。一般にPCは「能力値」などの数値化されたデータによって表現され、これにたとえば、戦士や魔術師といったキャラクタークラスに代表されるような役割を表すデータやシンボルや肩書きが付随する。参加者はそれを専用のシートか何らかの記録媒体(通常のプレイでは紙)にメモしておく。

一人は通常、自分のプレイヤー・キャラクターを作らず使わず、一般にゲームマスター(GM)と呼ばれる役を受け持つ[1]。ゲームマスターはゲームシステムによっては、ダンジョンマスター(DM、地下牢の主人の意)、審判員、ジャッジ(審判)、キーパー(維持者)、ストーリーテラー(語り部)などと呼ばれることがある。

ゲームマスターは他の参加者(プレイヤー)と対話しながらゲームの舞台となる世界とそこに登場するいろいろな事件や人物を説明し、決められたルールに従って、プレイヤーが考えたキャラクターの行動が実現したか否かを裁定することでゲームを進行させる。単純化して言えば、コンピュータで遊ぶRPGでの、コンピュータ役をゲームマスターという人間が担当するのがテーブルトークRPGだといえる。

しばしばテーブルトークRPGは「ルールのあるごっこ遊び」と説明されるように、プレイヤー・キャラクターの行う行動を、「何でも言っただけで認める」のではなく、各種のデータとルールに従って判定してその成否を決定する点が「ごっこ遊び」や「なりきりチャット」とは異なる。判定は、主に6から100面体までの様々な形状のサイコロ(ダイス)を乱数発生装置として用いて行われるが、トランプなど他の手段を用いる場合もある。

プレイヤー達は、ゲームの舞台となる世界において、プレイヤー・キャラクターを演じながら、行動をゲームマスターに対して宣言し、戦闘や謎解きといった課題に挑戦する。これを繰り返しつつ互いに協力または競争しながらストーリーを紡ぎ出し、最終的な目標の達成を目指すことが、ゲームの目的となっている。プレイヤーとは別個の架空人格であるキャラクターを演じることが特徴であることから、「演技ゲーム」という意味のロールプレイングゲームという呼称がゲームの総称として使われている[13]

1回のゲームにかかる時間はゲームマスターが用意するシナリオにより異なるが、数時間単位を要することが普通である。

キャラクター、世界設定、ルール

キャラクターや架空世界それ自体を表現するために、様々な世界設定やテイストやルールを持つゲームシステムが数多く発表・発売されている。

ゲームマスターを除く参加者、すなわちプレイヤーは、さまざまな種族、人格、性質、能力、技術をもったキャラクターを演じる。それらの要素は、ゲームのルールや世界において、重要な指針となるものである。ゲームのシステムは大抵、そのゲームの世界においてどのようなキャラクターを演じることができ、世界の中でどのようなことができるのか、を定めたルールや設定がある[14]。例えば、ファンタジー世界の設定では、種族には、エルフ人間ドワーフなど、キャラクタークラスには、戦士僧侶盗賊などがある。これらのルールや設定やデータは、プレイヤーが自分のキャラクターに与えられた役割を果たし、与えられた課題に取り組んで目的を達するための、行動と判断の基盤となるものである。

ミニチュア・ウォーゲームという体裁を取っていた初期のRPGにもストーリー性はあったが[15]、物語性や世界設定を重視する風潮とともに、キャラクターの人格や会話および各世界で展開されるストーリーを重視するプレイスタイルも登場し、それに適したルールシステムも作られるようになった。

頒布形態

テーブルトークRPGでは、基本となるゲームシステムを集約した「ルールブック」のほか、特定のテーマに沿ったデータのみを集めたデータ集やプレイを補助する小物類などが頒布されることがある。以下に主な種類を挙げる。

  • ルールブック
    • 基本ルールブック
      そのシステムにおいて根幹となるルールを集約した書籍。一般には一冊に纏められているが、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のように分冊で発売されているものや、プレイに必要な最低限のセット一式に同梱されているものもある。
    • 拡張ルールブック
      「上級ルールブック」等と称される場合もある。基本セットに収録されたルールをより詳細にしたものや、より複雑な汎用ルールを追加するもの。
    • エラッタ
      英語で「正誤表」の意。公式サイトやサポート誌上に掲載されるほか、ルールブック版上げの際に直接修正されることがある。
  • サプリメント
    • ワールドガイド
      主に世界設定を解説する書籍。特定の地域や都市の特徴、動植物や周辺地図などが収録される。プレイに必要となる数値的なデータは、世界設定の解説を補助する程度に留まる。
    • シナリオ集
      主にプレイヤーに与える課題(シナリオ)を集めた書籍。連続したストーリーを展開できるよう構成されたものも多い。
    • その他追加データ集
      プレイヤーが課題を乗り越える際の障害となる汎用性の高い動植物のデータ集が代表的だが、他にも魔法の存在する世界観で利用できる汎用の魔法データ集や、一風変わったところでは『GURPS High-Tech』のような近現代の武器を含む文明の利器のデータ集と言ったものまで存在する。
    • 追加型サプリメント
      「ソースブック」等と称される場合もある。特定のテーマや世界観に沿った拡張ルールやワールドガイド、追加データを収録した書籍。ただし基本ルールは収録されていない。
    • 独立型サプリメント
      特定のテーマや世界観に沿った拡張ルールやワールドガイド、追加データを収録した書籍。追加型サプリメントと異なり、基本ルールが簡易的に収録されているため、これ単体でプレイ可能。
  • サポートツール
    テーブルトークRPGの道具も参照のこと。
    • シート類
      プレイの際には様々なデータを記録する必要があるため、公式があらかじめ専用の記録用紙を用意していることがある。それらの記録用紙は各ルールブックに公式に収録されている場合、公式サイトやサポート誌上で配布される場合、有志が非公式に作成する場合がある。
      • ルールサマリー
        略して単に「サマリー」とも呼ばれる。サマリーは英語で「まとめ」「要約」等の意。基本ルールを簡易的に解説し(多くの場合は1枚の紙に)まとめた用紙で、データの記録欄はない。システムによってサマリーの有無は異なる。サマリーはあくまでサポートツールであり、詳細なデータや例外処理等は未掲載のため、サマリーとは別にルールブックの準備が推奨される。
      • キャラクターシート
        プレイヤーキャラクターのデータを記録する専用の用紙。基本ルールブックに含まれ、通常はデータの記録部分は白紙だが、システムによってはあらかじめデータがある程度書き込まれた「サンプルキャラクター」が用意されていることもある。
    • カード類
      ゲームシステムによってはそのシステムで用いる独自のカードが用意されていることがある。また判定にトランプ等の市販品を使用するシステムでも、オリジナルデザインのものが別途用意されることもある。
    • ダイス
      サイコロのこと。ゲームシステムによっては、正六面体ではないものを用いることもある。多くのTRPGでは「(用いる個数)D(用いるサイコロの面数)」と表記する(「3D6」は6面サイコロ3個、「D20」は20面サイコロ(1個)の意味となる)。プレイに必要な最低限のセット一式に同梱されている場合と、プレイに際してユーザーが各自で用意しなければならない場合とがある。
    • マスタースクリーン
      ゲームマスターが、シナリオ情報等をプレイヤーから隠すために用いる携帯型の衝立。公式が専用のものを販売する場合と、手近なもの(バインダー等)で代用する場合がある。公式のものの場合、プレイの際に頻出するデータ表が印刷されているほか、公式イラストが描かれているものもある。
    • マッピングシート
      プレイヤーキャラクターの現在位置や、目標物や障害物との位置関係などを示すために使われる専用の用紙。白紙のものと、あらかじめ地形等が印刷されたものとがあり、またマス目の入っていないもの、正方形のマス目が入ったもの(スクエア・シート)、六角形のマス目が入ったもの(ヘクス・シート)とがある。
    • マップタイル
      あらかじめ地形等が印刷された(主に正方形の)小型のタイル。1枚で上述のマッピングシート1マスに相当し、複数のタイルを組み合わせてひとつのマップを構成する。タイルを組み替えることで様々な地形に対応する。
    • ポーン
      プレイヤーキャラクターの現在位置や、目標物や障害物との位置関係などを示すために使われる駒。上述のマッピングシートやマップタイルと併用する。イラストが描かれた紙を折り立てたものやプラスチック製フィギュアなどが主だが、手近な小物(消しゴムやコイン等)で代用されることもある。
  • リプレイ
    プレイ風景を文章やイラスト等で記録したもの。詳細は後述

コンピューターRPGとの差違

コンピュータRPGはテーブルトークRPGより派生したもので、ゲームマスターの役割をコンピュータに肩代わりさせ、1人で遊べるようにしたものであった[16]。当初、コンピュータRPGは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、『D&D』)に代表される「迷宮・秘境探検と魔物退治のゲーム」を再現するゲームであった。こういったゲームはTRPGの遊び方の中でもボードゲームやウォーゲームに近いもので、機械的な処理に向いており、コンピュータRPGは高いレベルでこれを再現している。また、この頃はテーブルトークRPG自体、この種の製品や遊び方がほとんどであった。

テーブルトークRPGは、コンピュータRPGにあるような強力な演出とは縁遠いが、早い段階でさまざまなジャンルを可能にしてきた。「迷宮・秘境探検と魔物退治のゲーム」以外にも「恒星間宇宙での冒険」「邪神の復活を阻止するホラーもの」「犯罪事件の推理やアクション」などのジャンルは80年代にはすでに誕生している[17]

コンピュータRPGではプレイヤーはあらかじめプログラムされた行動しかとれないが、テーブルトークRPGでは原則的にはプレイヤーはいかなる行動宣言を行うこともできるため、無限の自由度があるとも言える[1][18]


注釈

  1. ^ 「実を言えばD&Dこそ世界最初のロールプレイング・ゲームにして、このジャンルのゲームを生み出した元祖なのだ。」 ロブ・ハインソーアンディ・コリンズジェームズ・ワイアット「ロールプレイング・ゲームとは」『ダンジョンズ&ドラゴンズ 基本ルールブック 第4版プレイヤーズ・ハンドブック』ホビージャパン、2008年12月、6頁。ISBN 978-4-89425-779-5
  2. ^ ただし、アメリカでは1980年に「DragonQuest」という(紙の)RPGが発売されており、日本のドラゴンクエストと商標権問題になった。詳細は該当記事を参照。
  3. ^ ただし、デザイナー本人は掲載誌『TACTICS』3号にて「ロールプレイングゲームと題されているが、そのようになっていない」と断り書きをしている。
  4. ^ 『ログ・ホライズンTRPGリプレイ ごちそうキッチンと病の典災』(ISBN 978-4-04-729929-0)、『クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく』(ISBN 978-4047262393)等。

出典

  1. ^ a b c d 菊池たけし/F.E.A.R『アリアンロッドRPG 2E ルールブック①』富士見書房、2011年、14-15頁 ISBN 978-4-8291-4631-6
  2. ^ 多摩豊「注釈」『次世代RPGはこーなる!』電撃ゲーム文庫、1995年8月、200頁。ISBN 4-07-303456-1
  3. ^ Kim, John. “"Narrative" or "Tabletop" RPGs”. 2017年9月19日閲覧。
  4. ^ 近藤 1987, p. 31.
  5. ^ a b ゲイリー・ガイギャックス『ロールプレイング・ゲームの達人』教養文庫、1989年、18頁 ISBN 4-390-11312-7
  6. ^ 『新英和中辞典』研究社
  7. ^ 『ケンブリッジ英英辞典』ケンブリッジユニバーシティプレス
  8. ^ 小太刀右京トワイライトガンスモークエンターブレイン、2014年、20頁 ISBN 978-4-04-729263-5
  9. ^ 小太刀右京『なぜなに未来侵略 テーブルトークRPG編』新紀元社、2016年、20頁 ISBN 978-4-7753-1412-8
  10. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳版』富士見書房、1999年、15-16頁 ISBN 4-8291-7409-9
  11. ^ 佐脇洋平、グループSNE『ガープスがよくわかる本』角川スニーカー・G文庫、1994年、63-64頁 ISBN 4-04-461403-2
  12. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳版』富士見書房、1999年、232-233頁 ISBN 4-8291-7409-9
  13. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳版』富士見書房、1999年、11頁より ISBN 4-8291-7409-9
  14. ^ 山北篤、スペース・ワン・ゼロ『パワープレイ』ホビージャパン、1991年、4-9頁 ISBN 4-938461-56-0
  15. ^ a b 安田 2006, p. 5.
  16. ^ 伏見健二・広野一光『ウィザードリィⅤのすべて』JICC出版局、1993年、36頁 ISBN 4-7966-0552-5
  17. ^ 友野詳『バカバカRPGを語る』新紀元社、2007年、10頁 ISBN 978-4-7753-0541-6
  18. ^ 遥遠志、蟷螂社『パワープレイでわかるRPG入門』ホビージャパン、1994年、10-13頁 ISBN 4-89425-050-0
  19. ^ ロブ・ハインソー、アンディ・コリンズ、ジェームズ・ワイアット『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版 基本ルールブック プレイヤーズ・ハンドブック』ホビージャパン、2008年、7頁 ISBN 4-89425-798-X
  20. ^ 安田 2006, p. 244.
  21. ^ 友野詳『バカバカRPGを語る』新紀元社、2007年、10頁 ISBN 978-4-7753-0541-6
  22. ^ 『TACTICS』3号表紙
  23. ^ 清松みゆき『ソード・ワールドRPG完全版』富士見書房、1996年、314頁 ISBN 4-8291-7306-8
  24. ^ 安田 2006, p. 7.
  25. ^ https://twitter.com/Howard_P_L/status/192406878138015744
  26. ^ https://twitter.com/LOGiN_TRPG/status/611836848411836416
  27. ^ ニコ動のTRPG動画4万本を大調査! ネットでアナログゲームが復活!? - ASCII.jp




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