テーブルトークRPG 歴史

テーブルトークRPG

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/20 17:49 UTC 版)

歴史

「ロールプレイングゲーム」という呼称は、職業訓練精神医学臨床において行われるロールプレイングが由来である。また、テーブルトークRPGの元になった、戦争シミュレーションのミニチュアゲームや政治闘争などのボードゲームでは、プレイヤーが自分の受け持った軍の将軍・指導者の立場にたって、この将軍・指導者が得られたであろう限定された情報を元に駒を動かす遊び方などのように、プレイヤーが指導者という一個人の視点を通して軍や団体を操る遊び方もロールプレイングと呼ばれていた。「ロールプレイングゲーム」の呼称は最初のテーブルトークRPGが登場した時点ではまだ使われておらず、1970年代後半になってから、先に挙げたボードゲームも含めて各個プレイヤーが一人の個人を担当するゲーム全般の意味で用いられた。

テーブルトークRPGが最初に登場したのは1970年代前半のアメリカである。ロールプレイングゲームの元祖とされるのは1974年の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、『D&D』)である[15]。『D&D』はゲイリー・ガイギャックスによってデザインされ、TSR社から発売されたが、これはガイギャックスとジェフ・ペレンが作ったミニチュアウォーゲームチェインメイル』(1971年、ガイドン・ゲームズより発売)から発展したものであった(そのため、『チェインメイル』は『D&D』の原型とみなされる[19] )。『D&D』の内容は、ドラゴンなどの魔物が住み危険な罠の仕掛けられたダンジョン(迷宮)の中を、武器を使う戦士、魔法使いなど、異なる能力を持ったキャラクターを組み合わせたグループ(パーティ)を組んで探検し、様々な謎(リドル)を解き、ダンジョンの奥に眠る財宝や魔法の物品を獲得する、というものである。また、このゲームの達成目的や進行方式を継承した『ウィザードリィ』などのコンピュータRPG1980年初頭に誕生した。なお、『D&D』黎明期には、この作品に対して数々の誤解や非難や陰謀論が飛び交っていた。詳細は「ダンジョンズ&ドラゴンズに関する論争」の項を参照。

安田均は、『D&D』はヒロイック・ファンタジー、『指輪物語』、マイケル・ムアコックの「エルリック・サーガ」といった作品の影響を受けていると指摘している[20]

1970年代後半になると、SF、歴史、近現代を舞台にするテーブルトークRPGが登場してくる。また、特定の小説や映画などの世界を再現するものも登場する。

背景世界の多様化により、「ダンジョン探索」や「怪物退治」をゲームの目的にしないものも登場してきた。例えば1977年に発売された『トラベラー』は、科学技術が発達して自在に宇宙旅行できるようになった世界を舞台に、さまざまな文明をもった惑星を旅することを目的にしている[21]1979年に発売された『ルーンクエスト』はファンタジー世界ながら、文化人類学を背景にした緻密なカルト(祭祀集団)を設定し、詳細な設定をもった背景世界(グローランサ)と物語を提示したことに特徴があった。このゲームではプレイヤーキャラクターが所属するカルトによって全く異なる行動規範が定められており、従来の「プレイヤーキャラクターは同じ目的を持った仲間(パーティー)である」という概念とは異なるプレイスタイルを持っていた。

これらのゲームは「ある役割を課せられた仮想の人物を操演して、司会・審判役を交えて会話で進行するゲーム」という部分では『D&D』と共通するものの、背景世界のみならず達成目的や進行方式が『D&D』とはまったく異なるゲームとなっている。このようなゲームの登場は、テーブルトークRPGの多様性を示すことになった。

また、最初期の『D&D』をはじめ黎明期のゲームは背景世界に緻密な設定をもたなかったが、『トラベラー』や『ルーンクエスト』のような緻密な世界設定を持つゲームの登場により、後のゲームでは「ゲームシステム」と「世界背景・物語」という二分化された制作がなされるようになる。

英語圏だけの現象であったテーブルトークRPGは、やがて他の言語圏にも紹介され、初めは英語のゲームをそのまま遊ぶという形で伝播していくが、やがて、各言語独自のゲームが作られるようになる。テーブルトークRPGが多く発表されている非英語圏の国として、フランスイタリアドイツ日本などがある。


注釈

  1. ^ 「実を言えばD&Dこそ世界最初のロールプレイング・ゲームにして、このジャンルのゲームを生み出した元祖なのだ。」 ロブ・ハインソーアンディ・コリンズジェームズ・ワイアット「ロールプレイング・ゲームとは」『ダンジョンズ&ドラゴンズ 基本ルールブック 第4版プレイヤーズ・ハンドブック』ホビージャパン、2008年12月、6頁。ISBN 978-4-89425-779-5
  2. ^ ただし、アメリカでは1980年に「DragonQuest」という(紙の)RPGが発売されており、日本のドラゴンクエストと商標権問題になった。詳細は該当記事を参照。
  3. ^ ただし、デザイナー本人は掲載誌『TACTICS』3号にて「ロールプレイングゲームと題されているが、そのようになっていない」と断り書きをしている。
  4. ^ 『ログ・ホライズンTRPGリプレイ ごちそうキッチンと病の典災』(ISBN 978-4-04-729929-0)、『クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく』(ISBN 978-4047262393)等。

出典

  1. ^ a b c d 菊池たけし/F.E.A.R『アリアンロッドRPG 2E ルールブック①』富士見書房、2011年、14-15頁 ISBN 978-4-8291-4631-6
  2. ^ 多摩豊「注釈」『次世代RPGはこーなる!』電撃ゲーム文庫、1995年8月、200頁。ISBN 4-07-303456-1
  3. ^ Kim, John. “"Narrative" or "Tabletop" RPGs”. 2017年9月19日閲覧。
  4. ^ 近藤 1987, p. 31.
  5. ^ a b ゲイリー・ガイギャックス『ロールプレイング・ゲームの達人』教養文庫、1989年、18頁 ISBN 4-390-11312-7
  6. ^ 『新英和中辞典』研究社
  7. ^ 『ケンブリッジ英英辞典』ケンブリッジユニバーシティプレス
  8. ^ 小太刀右京トワイライトガンスモークエンターブレイン、2014年、20頁 ISBN 978-4-04-729263-5
  9. ^ 小太刀右京『なぜなに未来侵略 テーブルトークRPG編』新紀元社、2016年、20頁 ISBN 978-4-7753-1412-8
  10. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳版』富士見書房、1999年、15-16頁 ISBN 4-8291-7409-9
  11. ^ 佐脇洋平、グループSNE『ガープスがよくわかる本』角川スニーカー・G文庫、1994年、63-64頁 ISBN 4-04-461403-2
  12. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳版』富士見書房、1999年、232-233頁 ISBN 4-8291-7409-9
  13. ^ スティーブ・ジャクソン『ガープス・ベーシック 完訳版』富士見書房、1999年、11頁より ISBN 4-8291-7409-9
  14. ^ 山北篤、スペース・ワン・ゼロ『パワープレイ』ホビージャパン、1991年、4-9頁 ISBN 4-938461-56-0
  15. ^ a b 安田 2006, p. 5.
  16. ^ 伏見健二・広野一光『ウィザードリィⅤのすべて』JICC出版局、1993年、36頁 ISBN 4-7966-0552-5
  17. ^ 友野詳『バカバカRPGを語る』新紀元社、2007年、10頁 ISBN 978-4-7753-0541-6
  18. ^ 遥遠志、蟷螂社『パワープレイでわかるRPG入門』ホビージャパン、1994年、10-13頁 ISBN 4-89425-050-0
  19. ^ ロブ・ハインソー、アンディ・コリンズ、ジェームズ・ワイアット『ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版 基本ルールブック プレイヤーズ・ハンドブック』ホビージャパン、2008年、7頁 ISBN 4-89425-798-X
  20. ^ 安田 2006, p. 244.
  21. ^ 友野詳『バカバカRPGを語る』新紀元社、2007年、10頁 ISBN 978-4-7753-0541-6
  22. ^ 『TACTICS』3号表紙
  23. ^ 清松みゆき『ソード・ワールドRPG完全版』富士見書房、1996年、314頁 ISBN 4-8291-7306-8
  24. ^ 安田 2006, p. 7.
  25. ^ https://twitter.com/Howard_P_L/status/192406878138015744
  26. ^ https://twitter.com/LOGiN_TRPG/status/611836848411836416
  27. ^ ニコ動のTRPG動画4万本を大調査! ネットでアナログゲームが復活!? - ASCII.jp




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