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テクノロジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 08:10 UTC 版)

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他者によって考案された製品をただユーザとして使うだけでなく、エレクトロニクスの知識を習得しそれを応用して、自分が使いものを自分ひとりだけのために作る、ということも行われている。写真はArduinoブレッドボードを使った試作品。

テクノロジーという言葉は組織的手法、技術といった、より広いテーマを指すこともある。→#定義と用法

概説

古代ローマ人は、石材の切り出し、石材の加工、木製クレーンの製作、アーチ作り、等々等々、実用的な知識を豊富に持ち、巨大建造物を巧みに建造した。またモルタルやセメント類に関する知識や技術も非常に豊富で、水中硬化性のモルタルすら使いこなし、水を流したまま水路を補修することもでき、ローマ市民にとって重要な水道を維持しつづけられた。古代ローマ人が開発し用いた 非常に優れたコンクリート類(やモルタル類)は「ローマン・コンクリート」と呼ばれており、現代の建築家らからも賞賛されている。写真は数ある古代ローマ帝国水道橋のひとつ、ポン・デュ・ガール
グーテンベルクによって圧搾機を応用して印刷機が発明されたことにより、それまで手で一文字一文字行っていた写本の書き写しと比べて、短い時間で大量に文字情報を複製することを可能にし、最初は聖書など神聖で高尚な内容の印刷に用いられたわけだが、印刷機は次第に、文化的な内容だけでなく、あまり文化的とは言えないような 低級な内容を大量に複製し撒き散らすためにも使われるようになっていった。
「テクノロジー」という表現、用語

「technology テクノロジー」という表現は17世紀初期に登場した表現であり[3]、語源はギリシア語technología (τεχνολογία) であり、τέχνη téchnē テクネー(=「わざ」「技巧」)という語と -λογία -logia(=「~論」「~学」)という意味の接尾辞を組み合わせた語である[7]

歴史

人類のテクノロジーは、まずは自然界にあるものを素朴な道具にすることから始まった。先史時代、人類は自然に発火した野の火災や森林火災などで火と遭遇したであろうが、そのを扱う方法を発見した。火の周囲は夜でも明るいという経験的知識を用いて、火を明かり(照明)として用いて 月の出ていない真っ暗闇にも、周囲のものを見ることができるようになった。また火は熱いということを利用し、採集などによって得た食材加熱し、美味しく食べる人が現れたであろう。(当時の人類は理解していなかったであろうし現代人なら知っているわけだが、加熱によって殺菌もできているので、結果として)安全に栄養をとれるようになったであろう(食の安全の確保)。ガラス質を豊富に含む石と石がたまたまぶつかり割れたら鋭い断面ができ、その断面があたったものがたまたま切れたという経験をすればそれが知識(経験知)となり、今度はその経験知を用いて、意図的に石と石をぶつけて割ることで石器をつくりナイフとして使うようになったであろう。その石器のナイフで、意図的に、とらえたり仕留めた動物の肉を切り分けるのに使うようにもなる。またその石器のナイフを木の枝の先に(植物のなどを用いて)しばりつける、という妙案を思い付く人が現れ、その人がそれを用いて動物を少し離れた位置から傷つけたり仕留めるための道具(=その後に人類が「」と呼ぶことになる道具)として使えば、それを見た人がそれを模倣し広まっていったであろう。槍は動物を狩るためだけでなく、他の人を傷つけるために悪用されたかも知れない。石器は仕留めた動物の皮を肉からきれいに分離する(「皮を剥ぐ」)ためにも使え、やがて、動物の皮はきれいにはげば(そして裏側に付着した脂肪分を石器でこそぎ落として川などでよく洗浄すれば)身にまとい身体を温かく保つための道具(=後に「衣服」と呼ばれる類のもの)として使えることに気付く人も現れたであろう。また、後の時代に「毛皮」や「皮革」と呼ばれることになる便利な素材を入手できるようになったわけである。植物関連では、自然界に生えている植物の茎などを縦と横に組み合わせることで、まずは素朴な「カゴ」の原型のようなものを作れることに気付き(「織り」の始まり)、さらに植物の茎などを意図的に細かく縦に割いたり、あるいは植物が腐敗してその繊維質(植物繊維)が残っているものをひろいあげると、一種の素朴なとなり、それらを縦横に組み合わせると、(茎をそのまま縦横に組み合わせたカゴ状のものよりも)しなやかなもの(のちに人類が「織物」や「」と呼ぶことになるもの)を作れることに気付く。自然から得られた植物繊維の一本一本の長さは限られていて最初期の布の長さは限られていたかも知れないが、植物繊維を何本かまとめて「ねじり合わせる」「位置を少しずらしつつ、ねじり合わせてゆく」ということを繰り返すと、好きなだけ長い 紐や糸が作れる、と気付いたり、ねじり合わせる繊維量を調整すれば出来あがる紐や糸の太さも調整できることにも気づき(「紡ぐ(つむぐ)」という行為、「紡ぎ(つむぎ)」。紡績の始まり。)、長い紐や糸が得られるようになったことで、ある程度以上の長さの織物(布)も作りやすくなり、紐や糸の太さを自在に調整できるようになったことで、それを素材にして出来あがった布の丈夫さ・厚み・質感(「ごわごわ感」や「しなやかさ」)も自在に調整できるようになり、布を一層便利なものにできた、といった具合である。→#歴史

テクノロジーの効用と害悪

テクノロジーは人間や人間の社会に様々な形で影響を与える。良い影響も、悪い影響も与える。良いとされる影響としては、たとえばテクノロジーは一方で経済発展に貢献するが、他方 経済格差不平等を生みだす。テクノロジーによって、自由な時間が増える人々がいる一方で、むしろ逆に奴隷のように支配され時間をうばわれる人々も出てくる。テクノロジーは、一方で天然資源を人間のためになるように利用する方法を提供する場合もあるが、他方で限られた天然資源を消費(浪費)し、地球とその環境に損害をや与え(→環境問題)、公害も引き起こす。印刷機電話インターネットなどのテクノロジーは人と人のコミュニケーションに役立っているので一方で良い影響も及ぼしているが、他方それらは悪用もされ、低俗なものをまき散らしたり、人を言語で攻撃する結果を生んだり、詐欺などの犯罪にも用いられ、人々を苦しめる結果も生んでいる。石、石器のナイフ、木の太い枝、棍棒などといった比較的素朴な道具の段階でも、すでに人を幸福にするためにも使われることもあれば、逆に人を傷つけて苦しめるためにも使われた。狩猟採集社会では、道具の制作に関して高度な分業はなかったので、各人はどの制作にも関わるかわりに、どれも素朴な手作業どまりで、作るといっても小型の槍や弓ばかりが作られていたことが考古学人類学の研究で明らかにされており[注釈 1]弓矢などは小型のものばかりで、あくまで小型の動物を得るために使われ、たとえそれらが人に向けられて悪用される場合があったとしても被害は小さく、程度は知れていた。だが、農業(これもテクノロジーのひとつに挙げられることがある)が始まり人類の食料の入手量が増え、小集団ごとに食物(穀物)の備蓄量に露骨な差が生まれ、社会の上下格差が生まれ、うまく食料備蓄ができた集団では食料調達にばかりに時間を割かなくて済む人も一部で現れ、つまり人類の社会で分業が進み始め、社会の中に(農業専従の人も生まれたが)他方 槍や弓矢ばかりを作る人(一種の「専門家」)も現れ、農業社会の槍・弓矢などの専門家がそれらを大型化、高威力化させるようになったと人類学は明らかにしている。狩猟採集社会は、ありのままの自然の恵みを ほぼそのまま受け取り、さまざまな土地を渡り歩いては暮らす生活スタイルで、特定の土地への過度な執着は無かったが、その後に登場した農業社会(農業を営む集団)は土地を自力で開拓する(労力と時間を特定の土地に対して、一種の「先行投資」をしてしまうので)ので、その土地(自力で開拓した農地)を離れるわけにはいかず、そこを死守しようとする結果を生み、一方で農地を護ろうとする人々がいれば、他方で「他人が耕し植物がすでに育っている農地を 力づくで奪ってしまえば、自分の得になる」と考える乱暴な人々も生みだし、槍や弓が人々の(農地を巡る)闘いのための道具、戦争の道具、殺し合いの道具として用いられるようになり、農業社会になったことで、槍や弓が「(動物の)狩りの道具」としてよりもむしろ「戦争の道具」として使われる割合のほうが増えた、と人類学は明らかにしている。その後火薬なども登場し、さらに核兵器へとその破壊力を増す方向、大量殺戮の道具を生みだす方向でテクノロジーは歩んできた歴史があり、結果として無数の加害者と、無数の悲惨な被害者を生んできた。

テクノロジーは社会における価値観にも影響を与え、新たなテクノロジーは新たな倫理的問題を生じさせる。テクノロジーは人間性を向上させる結果を生むのか、逆に人間性を低下させる結果を生み人間を苦しめてしまうものなのか、議論は尽きない。

また efficiency(効率)という概念は本来、機械に適用されるものだったが、人間のefficiency効率性(生産性)をも意味するようになってきた。

テクノロジーのもたらす害悪・危険について、様々な議論が行われている。古くはネオ・ラッダイトアナキズムなどの運動は哲学的に、現代社会におけるテクノロジーの普遍性を批判し、それが環境を破壊し、人々を疎外する(=人間を支配し、人間の本質を失わせる)としたし、それ以降も、様々な人々からもしばしば批判されており、現在でも、現実的な視点から、全世界で反原子力運動は行われている。一方、トランスヒューマニズムなどの支持者は、テクノロジーの継続的進歩が社会や人間性にとって有益だと主張する。アインシュタインは「科学技術の進歩というのは、病的犯罪者の手の中にあるのようなものだ」[8]と述べた[9]

ところで、最近までテクノロジーの開発は人類のみが行えることだと信じられていたが、他の霊長類や一部のイルカが単純な道具を作り、次の世代へとその知識を伝えていることが最近の研究で分かってきた。

定義と用法

Merriam-Webster の辞書には、「特定の分野における知識の実用化」であり「知識の実用化によってもたらされる能力」と定義されている[7]アーシュラ・フランクリンは1989年の講演 "Real World of Technology" において、テクノロジーの新たな定義として「慣例、我々が物事を行うやり方」としている[10]

哲学者ベルナール・スティグレールは『技術と時間1:エピメテウスの過ち』の中でテクノロジーを「生物以外の手段による生物の追跡」および「組織化された無生物質」と定義している[11]。そのようなものとして、テクノロジーの出現によって歴史に於ける存在外面化の瞬間が物語られる。これらの言葉に於けるテクノロジーの意味を系統立てて説明する際に、スティグレールはアンドレ・ルロワ=グーランジルベール・シモンドンの著作に基づいている。ヒトにとってこのことは、可能性として親から道具の使い方を学ぶということだけ指すわけではなく、概して過去は物体や遺跡に記されるのだということも意味した。

テクノロジーは、元々、実用的な目的のために知識を応用すること、その方法論、そのための体系的な手法などだが、「テクノロジー」はそれによって作り出された機械や道具も指す。この場合「テクノロジー」は、実世界の問題を解決するための機械や道具を指すことになる。具体的には、簡単なものではバールや木製スプーンのような単純な道具から、複雑なものでは宇宙ステーション加速器のような複雑な機械までも指すことになる。

なお「テクノロジー」という表現で指される道具や機械は物質的なものだけとは限らない。コンピュータソフトウェアビジネス手法といったものも、この意味でのテクノロジーの一種である[12]

Oxford Dictionary の説明にあるように「テクノロジー」という用語は、エンジニアリング応用科学に関する知識部門も指す。別の言い方をすれば、技術や技巧の集合を指す、ということにもなろう。この場合、「テクノロジー」とは、人類の持つ様々な知識のうちで特に、資源を組み合わせて望みのものを作る方法、問題解決法、必要性を満たす方法などといった知識を指し、技法・技能・技術・製造法、そしてそれによって作り出された道具・原料などまでも指すことがあるわけである。英語では、"medical technology"、"space technology" などと、他の単語と組み合わせて使うことがあるが、この場合はその分野の知識やツール全般を指す。

なお、「先端テクノロジー」は、ハイテクを意味する。

テクノロジーは文化を生み出す活動、あるいは文化を変化させる活動と見ることもできる[13]

最近の例としては、コミュニケーションテクノロジーの進歩によって人々の間の障壁が弱まり、インターネットコンピュータの発展の結果として新たなサブカルチャーであるサイバーカルチャーが生まれた[14]。ただし、全てのテクノロジーが明確な形で文化を発展させるわけではない。テクノロジーは兵器などの道具の形で、政治的弾圧戦争を容易にしてしまうこともある。


注釈

  1. ^ 狩猟採集社会の人類の小集団は、男は全員で狩猟に参加し(待ち伏せ役、追い立て役などに分かれ)得た獲物は、直接仕留めた人のものではなく、追い立て役の人にも待ち伏せ役の人にも平等に権利があり、そのメンバー全員で獲物の肉を平等に分けるというルールを持っていた、と(現代でも秘境にほそぼそと残り狩猟採集社会を保っている部族の研究などによって)人類学は明らかにしている。そして狩りの道具の制作も、全員が行った。そのかわり、どの作業も素人的で、素朴な道具しか作れなかった、と考古学や人類学は明らかにしている。
  2. ^ Stephen Monsma などにいたっては、この技術崇拝の考え方を、より高次の道徳的拠り所としての宗教の放棄に結び付けているのだという[41]

出典

  1. ^ Merriam-Webster
  2. ^ デジタル大辞泉
  3. ^ a b c Oxford Dictionaries 「technology」
  4. ^ a b 山崎 2021, p. 技術.
  5. ^ a b 樋笠 2021, p. テクネー.
  6. ^ 加藤 2021, p. ギリシア哲学/用語.
  7. ^ a b Definition of technology”. Merriam-Webster. 2012年4月26日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2007年2月16日閲覧。
  8. ^ Technological progress is like an axe in the hands of a pathological criminal.
  9. ^ http://www.brainyquote.com/quotes/quotes/a/alberteins164554.html
  10. ^ Franklin, Ursula. “Real World of Technology”. House of Anansi Press. 2007年2月13日閲覧。
  11. ^ Stiegler, Bernard (1998). Technics and Time, 1: The Fault of Epimetheus. Stanford University Press. pp. 17, 82. ISBN 0-8047-3041-5 
  12. ^ Industry, Technology and the Global Marketplace: International Patenting Trends in Two New Technology Areas”. Science and Engineering Indicators 2002. National Science Foundation. 2015年8月18日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2007年5月7日閲覧。
  13. ^ Borgmann, Albert (2006). “Technology as a Cultural Force: For Alena and Griffin” (fee required). The Canadian Journal of Sociology 31 (3): 351–360. doi:10.1353/cjs.2006.0050. http://muse.jhu.edu/login?uri=/journals/canadian_journal_of_sociology/v031/31.3borgmann.html 2007年2月16日閲覧。. 
  14. ^ Macek, Jakub. “Defining Cyberculture”. 2007年5月25日閲覧。
  15. ^ Science”. Dictionary.com. 2007年2月17日閲覧。
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