ツバキ 形態・生態

ツバキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/28 14:20 UTC 版)

形態・生態

常緑性の低木から小高木[9]、普通は高さ5 - 10メートル (m) 前後になり[4]、高いものでは樹高15 mにもなる[10]。ただしその成長は遅く[9]、寿命は長い。樹皮はなめらかで灰色地に灰白色の模様があり[11][5]、時に細かな突起がまばらに出る。はよくわかれる。冬芽は線状楕円形で先端はとがり、円頭の鱗片が折り重なる。鱗片の外側には細かい伏せたがある。鱗片は枝が伸びると脱落する。

互生し、長さ8センチメートル (cm) 、幅4 cmほどの長楕円形で、先端は尖り、基部は広いくさび形[10]、縁には細かい鋸歯が並ぶ。葉質は厚くて表面は濃緑色でつやがあり、裏面はやや色が薄い緑色で、表裏面ともに無毛である[10]

期はから(2月 - 4月)で[12]、早咲きのものは冬さなかに咲く。花は紅色の5弁花で、枝の先に1個ずつ下向きに咲かせる[4][12]。花弁は長さ3 - 5 cmで筒状に咲き、平らには開かない[12]。1枚ごとに独立した離弁花だが、5枚の花弁と多くの花糸の下半分が合着した筒形になっていて、散るときは花弁と雄しべが一緒に落花する[5][10]

果実は球形で、9 - 11月に熟し[13][12]、実が3つに裂開して、中から2 - 3個の黒褐色の種子が出てくる[4][5]

サザンカとの見分け方

ツバキ(狭義のツバキ。ヤブツバキ)とサザンカはよく似ているが、ツバキは若い枝や葉柄、果実は無毛であるのでサザンカとは区別がつく[10]。また次のことに着目すると見分けることができる。ただし、原種は見分けやすいが、園芸品種は多様性に富むので見分けにくい場合がある。

  • ツバキは花弁が個々に散るのではなく萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちるが(花弁がばらばらに散る園芸品種もある)、サザンカは花びらが個々に散る[10]
  • ツバキは雄しべの花糸が下半分くらいくっついているが、サザンカは花糸がくっつかない。
  • ツバキは、花は完全には平開しない(カップ状のことも多い)。サザンカは、ほとんど完全に平開する。
  • ツバキの子房には毛がないが(ワビスケには子房に毛があるものもある)、サザンカ(カンツバキ・ハルサザンカを含む)の子房には毛がある。
  • ツバキは葉柄に毛が生えない(ユキツバキの葉柄には毛がある)。サザンカは葉柄に毛が生える。
  • ツバキの花期は早春に咲くのに対し、サザンカは晩秋から初冬(10 - 12月)にかけて咲く[11]

注釈

  1. ^ 日本において広く見られる野生の「ツバキ」はヤブツバキであり、植物学上はこの名で呼ばれる。ただし、標準和名としてツバキの名を採用した例もある(北村・村田(1979))。

出典

  1. ^ Wheeler, L., Su, M. & Rivers, M.C. (2015). Camellia japonica. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T62054114A62054131. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T62054114A62054131.en. Downloaded on 22 October 2018.
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Camellia japonica L.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年1月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 田中潔 2011, p. 35.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 田中孝治 1995, p. 161.
  5. ^ a b c d e f g h 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 18.
  6. ^ 沖森卓也ほか『図解 日本の文字』三省堂、2011年、52頁
  7. ^ a b c d 貝津好孝 1995, p. 199.
  8. ^ a b c d 辻井達一 1995, p. 251.
  9. ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 77.
  10. ^ a b c d e f g h i 川原勝征 2015, p. 57.
  11. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 254.
  12. ^ a b c d e 山﨑誠子 2019, p. 86.
  13. ^ 田中潔 2011, p. 34.
  14. ^ a b 辻井達一 1995, p. 252.
  15. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 253.
  16. ^ 藤山宏 『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。 
  17. ^ 山﨑誠子 2019, p. 87.
  18. ^ つばきのしまだより五島市
  19. ^ Flavon (2003年1月13日). “Camellia japonica (Seeds) フラボンの秘密の花園:ヤブツバキの種子”. フラボンの山野草と高山植物の世界. 2014年1月22日閲覧。
  20. ^ 萬葉集1巻54, 巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を, 坂門人足
  21. ^ 萬葉集1巻56, 川上のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は, 春日蔵首老
  22. ^ 萬葉集1巻73, 我妹子を早見浜風大和なる我を松椿吹かざるなゆめ, 長皇子
  23. ^ 萬葉集7巻1262, あしひきの山椿咲く八つ峰越え鹿待つ君が斎ひ妻か
  24. ^ 萬葉集13巻3222, みもろは 人の守る山 本辺は 馬酔木花咲き 末辺は 椿花咲く うらぐはし 山ぞ 泣く子守る山
  25. ^ 萬葉集19巻4152, 奥山の八つ峰の椿つばらかに今日は暮らさね大夫の伴, 大伴家持
  26. ^ 萬葉集19巻4177, 我が背子と 手携はりて 明けくれば 出で立ち向ひ 夕されば 振り放け見つつ 思ひ延べ 見なぎし山に 八つ峰には 霞たなびき 谷辺には 椿花咲き うら悲し 春し過ぐれば 霍公鳥 いやしき鳴きぬ 独りのみ 聞けば寂しも 君と我れと 隔てて恋ふる 砺波山 飛び越え行きて 明け立たば 松のさ枝に 夕さらば 月に向ひて あやめぐさ 玉貫くまでに 鳴き響め 安寐寝しめず 君を悩ませ 大伴家持
  27. ^ 萬葉集20巻4418, 我が門の片山椿まこと汝れ我が手触れなな土に落ちもかも, 物部廣足
  28. ^ 萬葉集20巻4481, あしひきの八つ峰の椿つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君, 大伴家持
  29. ^ 辻井達一 1995, pp. 251–252.
  30. ^ 桐野秋豊写真・著 『椿 : 色分け花図鑑 : 名前の由来と系統がわかる : 庭を美しく彩る品種選びに役立つ本』学習研究社、2005年。ISBN 4-05-402529-3 





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ツバキ」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

ツバキのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ツバキのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのツバキ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS