ツバキ ツバキの概要

ツバキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/28 14:20 UTC 版)

ヤブツバキ
ヤブツバキ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: ツバキ科 Theaceae
: Theeae
: ツバキ属 Camellia
: ヤブツバキ C. japonica
学名
Camellia japonica
L.[2]
亜種
  • C. j. subsp. japonica
  • C. j. subsp. rusticana

名称

和名ツバキの語源については諸説あり、葉につやがあるので「津葉木」とする説や[4]、葉が厚いので「厚葉木」と書いて語頭の「ア」の読みが略されたとする説[4]などがあり、いずれも葉の特徴から名付けられたとみられている[4]

植物学上の種であるヤブツバキ(学名:Camellia japonica)を指して、その別名として一般的にツバキと呼ばれ[4]ヤマツバキ(山椿)の別名でも呼ばれる[5][3]日本内外で近縁のユキツバキから作り出された数々の園芸品種、ワビスケ、中国ベトナム産の原種や園芸品種などを総称的に「椿」と呼ぶが、同じツバキ属であってもサザンカを椿と呼ぶことはあまりない。なお、漢字の「椿」は、中国では霊木の名で、ツバキという意味は日本での国訓である[6]。ヤブツバキの中国植物名(漢名)は、紅山茶(こうさんちゃ)という[7]

「椿」の字の音読みは「チン」で、椿山荘などの固有名詞に使われたりする。なお「椿」の原義はツバキとは無関係のセンダン科の植物チャンチン(香椿)であり、「つばき」は国訓、もしくは、偶然字形が一致した国字である。歴史的な背景として、日本では733年『出雲風土記』にすでに椿が用いられている。その他、多くの日本の古文献に出てくる。ツバキの古名はカタシである[3]

中国ではの王朝の第2代皇帝煬帝の詩の中で椿が「海榴」もしくは「海石榴」として出てくる。海という言葉からもわかるように、を越えてきたもの、日本からきたものを意味していると考えられる。榴の字は、ザクロを由来としている。しかしながら、海石榴と呼ばれた植物が本当に椿であったのかは国際的には認められていない。中国において、ツバキは主に「山茶」と書き表されている。「椿」の字は日本が独自にあてたものであり、中国においては椿といえば、「芳椿」という東北地方の春の野菜が該当する。

英語では、カメリア・ジャポニカ (Camellia japonica) と学名がそのまま英語名になっている珍しい例である。17世紀オランダ商館員のエンゲルベルト・ケンペルがその著書で初めてこの花を欧州に紹介した。後に、18世紀イエズス会の助修士で植物学に造詣の深かったゲオルク・ヨーゼフ・カメルフィリピンでこの花の種を入手してヨーロッパに紹介した。その後有名なカール・フォン・リンネがこのカメルにちなんで、椿の属名にカメリアという名前をつけ、ケンペルの記載に基づき「日本の」を意味するジャポニカの名前をつけた[8]

分布・生育地

日本原産。日本では北海道南西部、本州四国九州南西諸島[5]、日本国外では朝鮮半島南部と中国台湾が知られる[3]。本州中北部にはごく近縁のユキツバキがあるが、ツバキは海岸沿いに青森県まで自然分布し[8]、ユキツバキはより内陸標高の高い位置にあって住み分ける。主に海沿いや山地に自生する[4][9]北海道の南西部(松前)でも、各所の寺院や住宅に植栽されたものを見ることができる[8]。自生北限は、青森県津軽郡平内町夏泊半島で、椿山と呼ばれる1万株に及ぶ群落は、天然記念物に指定されている[8]


注釈

  1. ^ 日本において広く見られる野生の「ツバキ」はヤブツバキであり、植物学上はこの名で呼ばれる。ただし、標準和名としてツバキの名を採用した例もある(北村・村田(1979))。

出典

  1. ^ Wheeler, L., Su, M. & Rivers, M.C. (2015). Camellia japonica. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T62054114A62054131. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T62054114A62054131.en. Downloaded on 22 October 2018.
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Camellia japonica L.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年1月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 田中潔 2011, p. 35.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 田中孝治 1995, p. 161.
  5. ^ a b c d e f g h 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 18.
  6. ^ 沖森卓也ほか『図解 日本の文字』三省堂、2011年、52頁
  7. ^ a b c d 貝津好孝 1995, p. 199.
  8. ^ a b c d 辻井達一 1995, p. 251.
  9. ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 77.
  10. ^ a b c d e f g h i 川原勝征 2015, p. 57.
  11. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 254.
  12. ^ a b c d e 山﨑誠子 2019, p. 86.
  13. ^ 田中潔 2011, p. 34.
  14. ^ a b 辻井達一 1995, p. 252.
  15. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 253.
  16. ^ 藤山宏 『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。 
  17. ^ 山﨑誠子 2019, p. 87.
  18. ^ つばきのしまだより五島市
  19. ^ Flavon (2003年1月13日). “Camellia japonica (Seeds) フラボンの秘密の花園:ヤブツバキの種子”. フラボンの山野草と高山植物の世界. 2014年1月22日閲覧。
  20. ^ 萬葉集1巻54, 巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を, 坂門人足
  21. ^ 萬葉集1巻56, 川上のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は, 春日蔵首老
  22. ^ 萬葉集1巻73, 我妹子を早見浜風大和なる我を松椿吹かざるなゆめ, 長皇子
  23. ^ 萬葉集7巻1262, あしひきの山椿咲く八つ峰越え鹿待つ君が斎ひ妻か
  24. ^ 萬葉集13巻3222, みもろは 人の守る山 本辺は 馬酔木花咲き 末辺は 椿花咲く うらぐはし 山ぞ 泣く子守る山
  25. ^ 萬葉集19巻4152, 奥山の八つ峰の椿つばらかに今日は暮らさね大夫の伴, 大伴家持
  26. ^ 萬葉集19巻4177, 我が背子と 手携はりて 明けくれば 出で立ち向ひ 夕されば 振り放け見つつ 思ひ延べ 見なぎし山に 八つ峰には 霞たなびき 谷辺には 椿花咲き うら悲し 春し過ぐれば 霍公鳥 いやしき鳴きぬ 独りのみ 聞けば寂しも 君と我れと 隔てて恋ふる 砺波山 飛び越え行きて 明け立たば 松のさ枝に 夕さらば 月に向ひて あやめぐさ 玉貫くまでに 鳴き響め 安寐寝しめず 君を悩ませ 大伴家持
  27. ^ 萬葉集20巻4418, 我が門の片山椿まこと汝れ我が手触れなな土に落ちもかも, 物部廣足
  28. ^ 萬葉集20巻4481, あしひきの八つ峰の椿つらつらに見とも飽かめや植ゑてける君, 大伴家持
  29. ^ 辻井達一 1995, pp. 251–252.
  30. ^ 桐野秋豊写真・著 『椿 : 色分け花図鑑 : 名前の由来と系統がわかる : 庭を美しく彩る品種選びに役立つ本』学習研究社、2005年。ISBN 4-05-402529-3 


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