ツゲ 園芸

ツゲ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/09 03:24 UTC 版)

園芸

矮小型のヒメツゲ。

ツゲは背丈が低く、枝や葉が密なので、垣根として用いると人の通過を妨げる。西洋庭園では庭木や植え込み、花壇の縁取りに使われる。特にこの用途のために矮小化されたヒメツゲ(別名クサツゲ) Buxus microphylla var. microphylla は高さ1 mほどにしか成長せず、葉も一回り小さい[4][5]。ヒメツゲは園芸、盆栽などにも愛好されるが、自生地は不明で、人工的に栽培されたものだけが知られている[4][5]

このほか、アフリカから西アジアを原産とする小型の種であるセイヨウツゲ B. sempervirens L. [4][41]も庭園などで垣根に用いられ、形状や斑などの外見で多くの品種が出回っている[5]

日本では鹿児島県などで工芸品材料の高級材木としてツゲの栽培が行なわれている[42]。しかし、農地(畑)から山林に地目変更することができる木材の中にツゲが含まれておらず、ツゲ林は「畑」として課税されている[40]

イヌツゲ
イヌツゲの実と葉

イヌツゲモチノキ科に分類され、分類学的には全く異なる木だが、常緑、低木、小さく厚みの葉が密である点、灰褐色の樹皮などは見かけが似ており、盆栽や庭木などではイヌツゲを単に「ツゲ」と呼ぶ場合も多い[3]。イヌツゲは土壌を選ばず刈込みも容易であることから、植込みなどに多用され、ツゲよりも広く出回っている[43]。このため園芸では、特にイヌツゲとの区別を行うために、ツゲを「ホンツゲ」と言う[5]。精緻に観察すると、ツゲの葉は対生であるのに対してイヌツゲは互生であったり、果実が石果であったりすることで容易に見分けられる[5][43]。イヌツゲはツゲよりも北方まで分布し、ツゲ同様に彫刻や細工の材木に用いるが、ツゲよりも小さいために重用はされていない[43]


注釈

  1. ^ サワフタギとは異なる
  2. ^ ウツギとは異なる
  3. ^ クサギの一種とは異なる
  4. ^ イラクサ科の一種とは異なる
  5. ^ イボタノキ属の一種とは異なる
  6. ^ Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)」では、変種 var. sinicaと、「環境省第4次レッドリスト(2012) 【植物I(維管束植物)】」では 別種 Buxus sinca var. sincaとしている。
  7. ^ 法律で定める国指定伝統的工芸品とは異なり、県が独自に指定したものである。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 日本維管束植物目録, p. 100
  2. ^ a b c d e f g H. Ohba 「Buxus microphylla ツゲ, アサマツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj 図説 花と樹の大事典, p. 286
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af 朝日百科 植物の世界 4巻, pp. 66-68
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 世界有用植物事典, pp. 182-183
  6. ^ 『リーダーズ英和辞典』,研究社,2013,第3版第3刷,ISBN 9784767414324 C0852,p283-284
  7. ^ Online Etymology Dictionary box2015年4月24日閲覧。
  8. ^ a b c d 環境省 第4次レッドリスト 維管束植物2015年4月25日閲覧。
  9. ^ The Royal Botanic Gardens, Kew and The Missouri Botanical GardenBuxus microphylla」『The Plant List』(2015年5月7日閲覧)
  10. ^ a b H. Ohba 「Buxus microphylla ヒメツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  11. ^ 永益英俊 「ツゲ」『週間朝日百科 植物の世界39 ツゲ・モチノキ・ニシキギ』岩槻邦男ら監修、朝日新聞社、1995年、4-66頁。
  12. ^ a b c d e 農林水産・食品産業技術振興協会 日本の特別天然記念物 古処山ツゲ原始林 2015年4月25日閲覧。
  13. ^ 福岡県自然環境課 福岡県の希少野生生物2015年4月25日閲覧。
  14. ^ 福岡県レッドデータブック2011 維管束植物2015年4月25日閲覧。
  15. ^ H. Ohba 「Buxus microphylla var. insularis チョオセンヒメツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  16. ^ H. Ohba 「Buxus microphylla var. kitashimae ミクラツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  17. ^ H. Ohba 「Buxus microphylla var. riparia コツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  18. ^ H. Ohba 「Buxus microphylla var. sinica タイワンアサマツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  19. ^ H. Ohba 「Buxus liukiuensis オキナワツゲ」『Flora of Japan Database(日本植物誌データベース)』(2015年5月7日閲覧)
  20. ^ a b 国指定文化財等データベース - 「古処山ツゲ原始林」で検索し、指定当時の解説を参照
  21. ^ a b c d e 尼川大録 「古処山ツゲ原始林」 『日本の天然記念物』 加藤陸奥雄沼田眞・渡部景隆・畑正憲監修、講談社、1995年、339頁、ISBN 4-06-180589-4
  22. ^ a b c d 嘉麻市産業振興課 嘉麻市観光まちづくり協議会事務局 古処山ツゲの原始林 2015年4月25日閲覧。
  23. ^ a b 朝倉市 教育部 文化課 古処山ツゲ原始林 2015年4月25日閲覧。
  24. ^ 国指定文化財等データベース - 「黄柳野ツゲ自生地」で検索し、指定当時の解説を参照
  25. ^ 新城市 教育委員会 設楽原歴史資料館 黄柳野つげ自生地2015年4月25日閲覧。
  26. ^ 新城市 教育委員会黄柳野つげ自生地2015年4月25日閲覧。
  27. ^ a b c d 倉内一二 「黄柳野ツゲ自生地」 『日本の天然記念物』 加藤陸奥雄沼田眞・渡部景隆・畑正憲監修、講談社、1995年、339頁、ISBN 4-06-180589-4
  28. ^ 山形県植物群落・植物個体群立地調査一覧 - 表・図中の144番
  29. ^ a b c 小林川ツゲ植物群落保護林 - 東北森林管理局
  30. ^ 日本のレッドデータ検索 2015年4月26日閲覧 - 必ずしも最新の状態に更新されているわけではないので注意。
  31. ^ 山形県将棋駒協同組合 将棋駒のあれこれ2015年4月24日閲覧。
  32. ^ a b c d 資源植物事典(増補改訂版), pp. 456-457
  33. ^ a b c 原色木材大事典170種, p. 132
  34. ^ 日本森林技術協会(JAFTA) 薩摩つげをめぐるある事件(1)2015年4月24日閲覧。
  35. ^ a b 薩摩つげ櫛指宿市考古博物館公式サイト)2015年4月24日閲覧。
  36. ^ 鹿児島県庁 伝統工芸品 薩摩つげ櫛 2015年4月24日閲覧。
  37. ^ 世界有用植物事典, pp. 474
  38. ^ a b 日本森林技術協会(JAFTA) 薩摩つげをめぐるある事件(3)2015年4月24日閲覧。
  39. ^ Joshua Dickson (2009年10月9日). The Highland bagpipe: music, history, tradition. Ashgate Publishing, Ltd.. pp. 50–. ISBN 978-0-7546-6669-1. http://books.google.com/books?id=JOfk2YpundEC&pg=PA50 2015年4月24日閲覧。. 
  40. ^ a b 日本森林技術協会(JAFTA) 薩摩つげをめぐるある事件(4)2015年4月24日閲覧。
  41. ^ オックスフォード 植物学辞典, p. 280
  42. ^ 日本森林技術協会(JAFTA) 薩摩つげをめぐるある事件(2)2015年4月24日閲覧。
  43. ^ a b c 世界有用植物事典, pp. 549


「ツゲ」の続きの解説一覧


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ツゲ」の関連用語


2
100% |||||


4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

ツゲのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



ツゲのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのツゲ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS