チーター 分布

チーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/14 07:33 UTC 版)

分布

アルジェリアアンゴライランウガンダケニアザンビアジンバブエタンザニアナイジェリアニジェールブルキナファソベナンボツワナマリ共和国南アフリカ共和国モザンビーク[2]

古くはサハラ砂漠中央部と熱帯雨林域を除くアフリカ大陸全域、パレスチナからアラビア半島インド・タジキスタンにかけて分布していた[3][9]。アジアでは、イラン中部を除いて絶滅している[6]

インドに関しては、アフリカ産の個体を旧生息地に再導入する計画が行われている[15]

形態

頭胴長(体長)110 - 150センチメートル[7]。尾長60 - 90センチメートル[7]。肩高67 - 94センチメートル[9]体重35 - 72キログラム[7][8](オス平均45.6㎏、メス平均37.2㎏[16])。体型は細い[5][4]。頸部から背にかけて体毛が伸長する[4]。毛衣は淡黄色で硬く、黒い斑点が点在する[4][9]。眼の内角から口にかけて、黒い筋模様が入る[5][8]。この筋模様(涙状斑)は、昼間の眩しさを和らげる働きがある、表情を際立たせるなどのに役立っている可能性がある[6]。尾には黒い帯模様が入り、先端の毛衣は白い[4][8]

頭部は小型[5][8]。耳介は小型で、やや扁平[5]虹彩は黄褐色で、瞳孔は丸い[4]。犬歯および歯根は小型だが、これにより鼻腔が広くなり呼吸量を増加させると共に獲物に噛みつきながら呼吸がしやすくなっている[5]。四肢は、細長い[4][5][8]。爪をおさめる鞘がなく、爪を部分的にしかひっこめることができない[6]。これにより爪がスパイクの役割をして、速く走ることに適している[5]。属名Acinonyxは「動かせない爪」の意だと考えられている[3]

出産直後の幼獣は体長30センチメートル[5]。体重240 - 300グラム[8]。飼育下では平均463グラム[3]。生後3か月以内の幼獣は頸部から背にかけて、青灰色のたてがみ状の体毛で被われる[5][9]。このたてがみは捕食者から発見されにくくなる効果や[9]、体温調節に役立つと考えられている[6]

ジンバブエ(旧ローデシア)には斑点が繋がり、帯状になる突然変異個体(キングチーター)がいる[4][5][9]。この変異は劣性遺伝[4][7]イエネコタビー模様をもたらす変異と同じ遺伝子の変異によって、もたらすものとされる[6]

分類

チーターヒョウジャガーの見分け方

ネコ科の他種と比べると遺伝的多様性に乏しく、ミトコンドリアDNAの分子系統解析から後期更新世の約10,000年前に一度絶滅寸前まで生息数が激減し、近親交配が進んだためと推定されている[2]。一方で少なくとも野生下では疾患に対し抵抗力が弱い・繁殖力が低下しているといった傾向はみられていない(確認されている疾患は少なく、頻繁に繁殖を行う)[6]。同時期に同属の化石種Acinonyx intermediusと、Acinonyx pardinensisも絶滅したと推定されている[3]。タンザニア北部で、前期更新世の地層から本種の化石が発見されている[3]

キングチーターがチーター属の独立種A. rexとして記載されたこともあるが、突然変異個体のためシノニムとされる[5]

アフリカチーターA. j. jubatusとアジアチーターA. j. venaticusの、2亜種のみを認める説もある[5][6]

以下の亜種の分類はKrausman & Morales, (2005)およびIUCN(2015)に従う[2][3]

Acinonyx jubatus jubatus (Schreber, 1775)
アフリカ大陸南部[2]
Acinonyx jubatus fearsoni (Smith, 1834)[2]
アフリカ大陸東部[2]
Acinonyx jubatus hecki Hilzheimer, 1913[2][3]
アルジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン[2]。ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、シエラレオネでは絶滅し、セネガル、モロッコでも絶滅していると考えられている[2]。模式産地はセネガル[2][3]
Acinonyx jubatus soemmeringii (Fitzinger, 1855)[2][3]
アフリカ大陸北東部[2]
Acinonyx jubatus venaticus (Griffith, 1821)[2][3][4] アジアチーター[5] Asiatic cheetah
イラン。以前はインド南西部から中央アジアにかけて分布していた[2]。模式産地は不明だが、アフリカ大陸北部の個体群を本亜種に含める説もある[2]

以下の亜種の分類・分布は、IUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[17]

Acinonyx jubatus jubatus (Schreber, 1775)
アフリカ大陸南部および東部
亜種A. j. fearsoniはシノニムとされる。
Acinonyx jubatus hecki Hilzheimer, 1913
アフリカ大陸北部および西部。
Acinonyx jubatus soemmeringii (Fitzinger, 1855)
アフリカ大陸北東部
Acinonyx jubatus venaticus (Griffith, 1821) アジアチーター
インドおよびアジア南西部(分布は出典に従った)
亜種A. j. heckiおよびA. j. soemmeringiiが、シノニムとなる可能性がある。

  1. ^ a b c UNEP (2021). Acinonyx jubatus. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. [Accessed 23/03/2021]
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w Durant, S., Mitchell, N., Ipavec, A. & Groom, R. 2015. Acinonyx jubatus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T219A50649567. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T219A50649567.en. Downloaded on 23 March 2021.
    Belbachir, F. 2008. Acinonyx jubatus hecki. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T221A13035738. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T221A13035738.en. Downloaded on 23 March 2021.
    Jowkar, H., Hunter, L., Ziaie, H., Marker, L., Breitenmoser-Wursten, C. & Durant, S. 2008. Acinonyx jubatus venaticus. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T220A13035342. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T220A13035342.en. Downloaded on 23 March 2021.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x Paul R. Krausman & Susana M. Morales, "Acinonyx jubatus," Mammalian Species, No. 771, American Society of Mammalogists, 2005, Pages 1 - 6.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 成島悦雄 「ネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、150 - 171頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w George W. Frame 「チーター」「セレンゲティのチーター 生息環境の利用におけるオスとメスの差」今泉忠明訳『動物大百科 1 食肉類』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、48-51頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai Luke Hunter 「チーター」山上圭子訳『野生ネコの教科書』今泉忠明監修、エクスナレッジ、2018年、165-174頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j k 成島悦雄「地上でいちばん速い動物 チーター」『週刊朝日百科 動物たちの地球 哺乳類II 1 トラ・ライオン・ヤマネコほか』第9巻 49号、朝日新聞社、1992年、8-9頁。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 小原秀雄 「チーター」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、12-13,150-151頁。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Erin R. Lehnert, 2013. "Acinonyx jubatus" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed 23 March, 2021 at http://animaldiversity.org/accounts/Acinonyx_jubatus/
  10. ^ ナショナルジオグラフィック チーター 2024年5月17日閲覧。
  11. ^ 松村明 編「しゅりょうひょう」『大辞林 4.0三省堂、2019年。 
  12. ^ 松村明 編「チーター」『大辞林 4.0三省堂、2019年。 
  13. ^ cheetah / Wiktionary
  14. ^ 体脂肪率5%、速く走るために特化した無駄のない体!”. 2024年6月12日閲覧。
  15. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P74。
  16. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P73。
  17. ^ IUCN SSC Cat Specialist Group, "Acinonyx jubatus," Cat News, Spacial Issue 11, 2017, Pages 30-31.
  18. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P73。
  19. ^ 『ダーウィンが来た』2012年1月1日放送分[出典無効]
  20. ^ 佐藤克文. “頑張りすぎない野生動物”. d-labo. 2019年2月5日閲覧。
  21. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P73。
  22. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P73。
  23. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2021年3月23日に利用)
  24. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P73。
  25. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P74。
  26. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P74。
  27. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P74。
  28. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P75。
  29. ^ 『動物園を100倍楽しむ!飼育員が教えるどうぶつのディープな話』、2023年7月10日発行、大渕希郷、緑書房、P75。






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