チュニジア 経済

チュニジア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:32 UTC 版)

経済

2000年代からチュニジアは経済の自由化と民営化のさなか、自らが輸出指向の国であることに気づいており、1990年代初期から平均5%のGDP成長でありながらも、政治的に結びついたエリートが恩恵を受ける汚職に苦しんだ。[12]チュニジアには様々な経済があり、農業や工業、石油製品から、観光にまで及ぶ。2008年ではGDPは410億ドル(公式為替レート)もしくは820億ドル(購買力平価)であった。[13]農業分野はGDPの11.6%、工業は25.7%、サービス業は62.8%を占める。工業分野は主に衣類と履物類の製造や自動車部品と電子機器の生産からなる。チュニジアは過去10年間で平均5%の成長を成し遂げたが、特に若年層の高い失業率に苦しんでいる。

チュニジアは2009年には、世界経済フォーラムによってアフリカにおいてもっとも競争力のある経済と位置づけられた。全世界でも40位であった。[14]チュニジアはエアバス[15]ヒューレットパッカードなどの多くの国際企業の誘致に成功した [16]

観光は2009年にはGDPの7%と37万人分の雇用を占めていた。[17]

変わらずヨーロッパ連合がチュニジアの最大の貿易パートナーであり、現在チュニジアの輸入の72.5%、チュニジアの輸出の75%を占めている。チュニジアは地中海沿岸でヨーロッパ連合のもっとも確固とした貿易パートナーの1つであり、EUの30番目に大きい貿易パートナーに位置づけている。チュニジアは1995年7月に、ヨーロッパ連合とヨーロッパ連合連合協定英語版を締結した最初の地中海の国である。ただし、効力が生じる日の前に、チュニジアは両地域間の貿易で関税を撤廃し始めた。チュニジアは2008年に工業製品への関税撤廃を完了し、そのためEUとの自由貿易圏に入った最初の地中海の国になった。[18]

チュニス・スポーツ・シティ英語版はチュニスで建設されている完全なスポーツ都市である。集合住宅に加え多くのスポーツ施設からなるこの都市は50億ドル(約500億円)かけてUAEのBukhatirグループによって建設される。[19]チュニス・ファイナンシャル・ハーバーは30億ドル(約300億円)の開発利益を見込むプロジェクトにおいてチュニス湾にある北アフリカで初めてのオフショア金融センターになる。[20]チュニス・テレコム・シティはチュニスにおけるITハブを作成する30億ドル(約300億円)規模のプロジェクトである。[21]

チュニジア経済には小麦オリーブを中核とする歴史のある農業、原油リン鉱石に基づく鉱業、農産物と鉱物の加工によって成り立つ工業という三つの柱がある。そのため他のアフリカ諸国より工業基盤は発達しており、1人当たりのGDPは約4000ドルでありモロッコアルジェリアと共にアジアの新興国とほぼ同じレベルである。急速な成長を見せているのは欧州諸国の被服製造の下請け産業である。貿易依存度は輸出34.4%、輸入45.2%と高く、狭い国内市場ではなく、フランスイタリアを中心としたEU諸国との貿易の占める比率が高い。2003年時点の輸出額80億ドル、輸入額109億ドルの差額を埋めるのが、24億ドルという観光収入である。国際的には中所得国であり、アフリカ開発銀行 (ADB) の本部が置かれている[22]

フランスリビアに出稼ぎしているチュニジア人労働者からの送金も大きな外貨収入源となっている。

農業

南部の典型的な風景。国土の南部はサハラ砂漠に連なるが、農地の比率は国土の3割を超える。

アトラス山脈の東端となる国の北側を除けば国土の大半はサハラ砂漠が占めるものの、農地の占める割合が国土の31.7%に達している[23]。ヨーロッパに比べて早い収穫期を生かした小麦の栽培と輸出、乾燥気候にあったオリーブと野菜栽培が農業の要である。食糧自給率は100%を超えている[24]

北部は小麦栽培と畜産が盛ん。ヒツジを主要な家畜とする畜産業は北部に集中するが、農業に占める比率は中部、南部の方が高い。2005年時点の生産高を見ると、世界第5位のオリーブ(70万トン、世界シェア4.8%)、世界第10位のグレープフルーツ(7.2万トン、2.0%)が目を引く[25]ナツメヤシ(13万トン、1.8%)、らくだ23万頭(1.2%)といった乾燥気候を生かした産物・家畜も見られる。主要穀物では小麦(136万トン)が北部で、大麦(44万トン)は主に南部で生産されている。生産量ではトマト(92万トン)も目立つ。

鉱業

チュニジア鉱業の中核は、世界第5位のリン鉱石(リン酸カルシウム、240万トン、5.4%)、主な鉱山は国土の中央部、ガフサ近郊にある。油田は1964年にイタリア資本によって発見され、南部のボルマ近郊の油田開発が進んでいる。一方、リビア国境に近いガベス湾の油田はあまり進んでいない。2004年時点の採掘量は、原油317万トン、天然ガス82千兆ジュールである。エネルギー自給率も100%を超えている。このほか、亜鉛を採掘している。これはプレート移動によって形成された褶曲山脈であるアトラス山脈に由来する。全体的な鉱業の様相はアトラス山脈西端に位置する国モロッコとよく似ている。

工業

チュニジア工業は農業生産物の加工に基づく食品工業、鉱物採取と連動した化学工業、加工貿易を支える機械工業繊維業からなる。食品工業は、6000万本にも及ぶオリーブから採取したオリーブ油と、加工野菜(缶詰)が中心である。オリーブ油の生産高は世界第4位(15万トン、6.4%)だ。化学工業は主として肥料生産とその派生品からなる。世界第3位のリン酸(63万トン、3.7%)、同第6位の硫酸(486万トン、4.8%)、同第7位のリン酸肥料(97万トン、2.9%)である。主な工業都市は首都チュニス。

貿易

28色で分けられたカテゴリにおけるチュニジアの輸出品目の図説。

輸出に占める工業製品の比率が81%、輸入に占める工業製品の比率が77.8%であるため、加工貿易が盛んに見える。これは、繊維産業と機械産業によるものだ。輸出を品目別に見ると、衣料37.0%、電気機械11.9%、原油5.4%、化学肥料4.7%、織物3.7%である。一方、輸入は、繊維14.7%、電気機械11.9%、機械類10.7%、自動車6.9%、衣料5.3%である。食料品が輸出に占める割合は7.6%、輸入では9.0%。主な貿易相手国はEC諸国、特に旧宗主国であったフランスと支配を受けたイタリアである。輸出入ともこの2国が約5割の比率を占める。金額別では輸出相手国が、フランス、イタリア、ドイツ、隣国リビア、ベルギー、輸入相手国がフランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ベルギーである。


  1. ^ a b UNdata”. 国連. 2021年10月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e IMF (2021年10月). “World Economic Outlook”. IMF. 2021年11月6日閲覧。
  3. ^ チュニジア:連立政権3党が権力配分に合意 毎日新聞 2011年11月23日
  4. ^ 12月総選挙の意向表明=混乱収拾図る-チュニジア首相”. 時事ドットコム (2013年7月30日). 2013年7月30日閲覧。
  5. ^ a b チュニジア基礎データ” (日本語). Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2020年11月6日閲覧。
  6. ^ チュニジアで国民的人気を得た日本人”. 外務省. 2021年10月9日閲覧。
  7. ^ Tunisia - Foreign Military Assistance”. GlobalSecurity.org (2011年5月8日). 2018年7月20日閲覧。
  8. ^ Nelson, Harold D. Tunisia, a country study. p.308
  9. ^ 鷹木恵子「多様な生態系と美しい自然景観」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 25ページ
  10. ^ 鷹木恵子「多様な生態系と美しい自然景観」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 26ページ
  11. ^ a b 鷹木恵子「多様な生態系と美しい自然景観」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 28ページ
  12. ^ GTZ in Tunisia”. gtz.de. GTZ. 2011年5月11日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年10月20日閲覧。
  13. ^ CIA world factbook, Tunisia”. 2009年9月16日閲覧。
  14. ^ The Global Competitiveness Index 2009–2010 rankings”. 2009年9月16日閲覧。
  15. ^ Airbus build plant in tunisia”. Eturbonews (2009年1月29日). 2009年9月16日閲覧。
  16. ^ HP to open customer service center in Tunisia”. africanmanager.com. 2012年6月28日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年9月16日閲覧。
  17. ^ Trouble in paradise: How one vendor unmasked the 'economic miracle'”. Mobile.france24.com (2011年1月11日). 2011年10月28日閲覧。
  18. ^ Bilateral relations Tunisia EU”. 2009年9月16日閲覧。
  19. ^ Tunis Sport City”. 2009年9月16日閲覧。
  20. ^ Tunis Financial Harbour”. 2009年7月10日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年9月16日閲覧。
  21. ^ Vision 3 announces Tunis Telecom City”. 2009年7月16日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年9月16日閲覧。
  22. ^ 鷹木恵子「地中海世界・アフリカ世界・中東世界の中のチュニジア」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 21ページ
  23. ^ 牧草地を含む農地面積は2007年の時点で62%、また実際に耕作されている農耕面積は30%ほど(鷹木恵子「変わりゆく農村地帯」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 30ページ)
  24. ^ チュニジア政府は、食料の自給率を2009年末までに95%にまで引き上げることを目標としている(鷹木恵子「変わりゆく農村地帯」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 32ページ)
  25. ^ 以下の工業統計値は、United Nations Statisstical Yearbook 2004、「世界国勢図会 2005/06」、矢野恒太記念会、ISBN 4875494351 による。
  26. ^ 民衆革命下のチュニジアの女性たち―移行期(2011-2014年)におけるチュニジアの女性たち(要旨) - Mounira Chapoutot-Remadi(チュニス大学名誉教授)
  27. ^ a b 鷹木恵子「イスラーム女性とチュニジア アラブ女性解放のリーダー国の動態」『朝倉世界地理講座 アフリカI』池谷和信、佐藤廉也、武内進一:編、朝倉書店、2007年4月
  28. ^ 鷹木恵子「変わりゆく農村地帯」/ 鷹木恵子編著『チュニジアを知るための60章』明石書店 2010年 31ページ
  29. ^ https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/ts.html 2009年4月2日閲覧
  30. ^ チュニジア 安全対策基礎データ”. 外務省. 2022年1月23日閲覧。
  31. ^ 「チュニジアにおける多言語状況と文学」 筑波大学 青柳悦子
  32. ^ 私市正年:編『アルジェリアを知るための62章』明石書店 2009/04 p.72






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