チェロキー語 正書法

チェロキー語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/27 19:23 UTC 版)

正書法

シクウォイアによって発明された85文字のチェロキー文字で書かれている。ラテン文字に似ているものもあるが、音値は完全に異なる。シクウォイアは、英字ヘブライ文字ギリシア文字の存在を知っていたが、それらを読み取ることができなかったためである[3]

この文字では、ノースカロライナの方言は1対1で音が対応しているが、オクラホマで話されている子音の一部は文字が足りないなどの理由もあり、表記されずに異音扱いになっている。しかし、発音上ではしっかりと区別されているので、注意が必要。 また、声調も表記されないので意味の弁別は文脈に頼ることになっている。 ほかにも、より正確に音値を表現できるラテン文字表記も使われる[4]

注1 ラテン文字転写では通常、声門閉鎖が表記されないので、以下の規則を使って声門閉鎖がつくか否かを特定する。

  1. 語頭の Ꭰ [a], Ꭱ [e], Ꭲ [i], Ꭳ [o], Ꭴ [u], Ꭵ [v] は声門閉鎖を伴わない。
  2. [yi], Ꮽ [wu] はどの位置にあっても声門閉鎖を伴わない。
  3. 語中、語尾の Ꭰ,Ꭱ,Ꭲ,Ꭳ,Ꭴ,Ꭵ は声門閉鎖を必ず伴う。
  4. 声門閉鎖が母音とともに発音されないことがあり、その時はラテン文字にもチェロキー文字にも一切表記されない。
例 ᏔᎵ [taʔli]「5」

子音変化

  • パターン1...子音を帯気・無声音化(hを前後に付着)する。
  • パターン2...母音の後にhをつける。
  • パターン3...子音のみにする。「Ꮎ.[n],Ꮤ.[tʰ],Ꮧ.[t],L.[tl],Ᏸ.[j],Ꭶ[g],K.[ts]」

ラテン文字転写

  • g[k] k[kʰ]
  • gw[kw] kw[kʰw]
  • h[h]
  • l[l] hl[ɬ]
  • dl[tl] tl[tʰl](hl[ɬ])
  • m[m]
  • n[n] hn[n̥]
  • s[s]
  • d[t] t[tʰ](hl[ɬ])
  • j [t͡ʃ] ts [t͡ʃʰ]
  • w[w] hw[x]
  • y[j] hy[ç]

文字はそれぞれ、日本仮名や青銅器時代の古代ギリシアで使われた線文字Bのように1音節を表す。最初の6文字は語頭では母音の音節を表す。組み合わせた子音と母音音節のための文字がその後に従う。左横書きで、行は上から進める。

下記の表とそのラテン文字表記は、サミュエル・ウースター英語版牧師によって編纂されたものをもとにしている。ウースターは、1828年から1859年に亡くなるまで、チェロキー語印刷の発展に重要な役割を果たした人物である。

a e i o u v [ə̃]
a   e   i   o u v
ga ka   ge   gi   go gu gv
ha   he   hi   ho hu hv
la   le   li   lo lu lv
ma   me   mi   mo mu  
na hna nah ne   ni   no nu nv
qua   que   qui   quo quu quv
s sa   se   si   so su sv
da ta   de te di ti do du dv
dla tla   tle   tli   tlo tlu tlv
tsa   tse   tsi   tso tsu tsv
wa   we   wi   wo wu wv
ya   ye   yi   yo yu yv

  1. ^ a b Ethnologue:Cherokee
  2. ^ Indigenous Languages Spoken in the United States
  3. ^ Feeling, "Dictionary" xvii
  4. ^ Feeling et al., "Verb" pp. 1–2


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