ダイコン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 03:48 UTC 版)
生産
栽培、統計上は春だいこん、夏だいこん、秋冬だいこんに区分され、秋冬が全体の7割を占め、春と夏が残りを分け合う。冬野菜の代表格とも評されているが、夏場は北海道や東北地方でも作られるため、1年を通して出回っている[17]。冬は暖地、夏は寒冷地の出荷量が多く、季節ごとに栽培地に適した品種が出荷される[7]。
全国的に生産されているが、収穫量が多いところは千葉県、北海道、青森県、神奈川県で、4道県合わせて全国生産量の4分の3以上を占める。岩手県や茨城県、四国の徳島県、九州の宮崎県、鹿児島県も主要産地に挙げられている[7]。平成22年度生産量は全国で117万トン。日本のダイコン生産量は作付面積、収穫量とも減少傾向にある。
年度 | 作付面積 (ヘクタール) |
収穫量 (千トン) |
---|---|---|
1998年(平成10年) | 48,500 | 1,902 |
1999年(平成11年) | 47,700 | 1,948 |
2000年(平成12年) | 45,700 | 1,876 |
2001年(平成13年) | 44,100 | 1,868 |
2002年(平成14年) | 42,500 | 1,780 |
2003年(平成15年) | 41,500 | 1,752 |
2004年(平成16年) | 40,000 | 1,620 |
2005年(平成17年) | 39,100 | 1,627 |
2006年(平成18年) | 38,300 | 1,650 |
2007年(平成19年) | 37,200 | 1,626 |
2008年(平成20年) | 36,600 | 1,603 |
2009年(平成21年) | 36,400 | 1,593 |
- 政府統計『平成21年産野菜生産出荷統計』より。
栽培
栽培時期は、春に種まきして夏に収穫する「春まき」と、初秋に種まきして初冬に収穫する「秋まき」がある。秋まきのほうがとうが立ちにくく作りやすい[36]。栽培適温は15 - 25℃とされ、連作することができる[36]。移植を嫌うため、畑に直接種をまいて、間引きながら育てる。畑となる土壌に石などが混じっていると根がまっすぐに伸びないため、取り除いておくことが重要になる[36]。発芽したら生育のよいものを残すように間引きを行い、土寄せを行いつつ追肥も行う[36]。また間引いた葉は、葉ダイコンとして青菜と同様に食べることができる[37]。根茎が生長して太ってきたら収穫期で、抜き取って収穫する。収穫が遅れると、根茎の表面に亀裂が入ったりする[37]。
根茎の内部がスカスカになる鬆入り(すいり)現象は栽培条件と品種が大きく影響している[38][39]。根茎の急激な肥大に対し細胞の増殖が追従出来ないと生じ易い[40]と報告されている。
注釈
- ^ 根菜の中身がスカスカな状態になることを、俗に「スが入る」という。
出典
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Raphanus sativus L. var. hortensis Backer” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月9日閲覧。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Raphanus acanthiformis Morel ex Sisley” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月9日閲覧。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Raphanus sativus L. var. longipinnatus L.H.Bailey” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月9日閲覧。
- ^ 活用しないともったいない!「大根の葉」を使ったお弁当レシピクックパッドニュース/毎日新聞(2019年11月10日配信)2020年1月21日閲覧
- ^ 伊沢凡人・会沢民雄『カラー版 薬草図鑑』(家の光協会 ISBN 4-259-53653-2)157ページ
- ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 100.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 講談社編 2013, p. 143.
- ^ a b 講談社編 2013, p. 138.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Raphanus sativus L.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年7月9日閲覧。
- ^ a b c d e 田中孝治 1995, p. 190.
- ^ “植物の観察〜根”. 10min.ボックス. NHK. 2012年1月18日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2011年12月4日閲覧。
- ^ a b 西貞夫、「野菜あれこれ(2)」『調理科学』 13巻 2号 1980年 p.111-119, doi:10.11402/cookeryscience1968.13.2_111
- ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 114.
- ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 62.
- ^ a b c 新倉聡, 松浦誠司「日本の栽培ダイコンにおける自家不和合性遺伝子と自家不和合性程度の遺伝的変異」『育種学研究』第1巻第4号、日本育種学会、1999年12月、 211-220頁、 doi:10.1270/jsbbr.1.211、 ISSN 13447629、 NAID 110001812534。
- ^ 世界のダイコン500品種のゲノム情報を公開東北大学プレスリリース(2020年3月27日)2020年4月15日閲覧
- ^ a b c d e f g h i j k l m 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 115.
- ^ a b c d e f g h i j k l m 主婦の友社編 2011, p. 63.
- ^ “辛味大根”. 味の素. 2008年6月21日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年12月15日閲覧。
- ^ 西沢隆, 島村景子, 江頭宏昌「山形県内に残る在来ダイコンの調査およびそれらの生理・生態的特徴」『人間・植物関係学会雑誌』第12巻第2号、人間・植物関係学会、2013年3月、 13-19頁、 ISSN 1346-7336、 NAID 40019705087。
- ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 117.
- ^ a b c d e 講談社編 2013, p. 142.
- ^ “砂糖の原料になる大根がある?「砂糖大根(てん菜)」とは - macaroni” (日本語). macaroni [マカロニ]. 2022年8月5日閲覧。
- ^ 農林水産省 野菜試験場育種部 (1980)『野菜の地方品種』野菜試験場
- ^ 石田正彦, 吉秋斎, 畠山勝徳「南九州におけるアブラナ科野菜在来種の調査と収集 (国内探索収集調査報告) (PDF) 」 『植物遺伝資源探索導入調査報告書』第22巻、農業生物資源研究所、2005年、 37-45頁、 ISSN 0915-602X、 NAID 40015430387。
- ^ “加賀の細根大根入荷”. 加賀野菜・地物野菜 なかまさ | 野菜ソムリエ 山中温泉 (2013年10月5日). 2020年6月21日閲覧。
- ^ 故郷に残したい食材 農山漁村文化協会 2020年2月13日閲覧
- ^ a b 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 116.
- ^ 小林善道「ねずみ大根 個性守り続け◇長野・坂城の伝統野菜、形や強烈な辛さ特徴◇」『日本経済新聞』朝刊2020年1月3日(文化面)2020年1月21日閲覧
- ^ 坂城町ねずみ大根振興協議会(2020年1月21日閲覧)
- ^ 庄大根えひめ食材ファイル 2020年2月13日閲覧
- ^ 幻の女山大根に脚光 多久市西多久町 大ぶり、赤紫色の表皮、強い甘味 人気高まり生産者も増西日本新聞 - 2018年1月28日
- ^ 佐賀県の「女山大根」がGI取得 農水省農業協同組合新聞 - 2022年6月30日
- ^ 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, pp. 115–117.
- ^ 講談社編 2013, p. 139.
- ^ a b c d 主婦の友社編 2011, p. 66.
- ^ a b 主婦の友社編 2011, p. 67.
- ^ 苫名孝「根菜類のすいりに関する研究(第1報) : 廿日大根の体内窒素含量と発現の関係について」『山形大学紀要 農学』第2巻第2号、山形大学、1956年3月、 73-81頁、 ISSN 05134676、 NAID 110000356321。
- ^ 萩屋薫「根菜類のすいり現象の研究(第5報) : 大根の品種間雑種のF1F2におけるすの発現性及び耐す性品種の育種に関する考察」『園芸學會雜誌』第27巻第1号、園芸学会、1958年、 68-77頁、 doi:10.2503/jjshs.27.68、 ISSN 0013-7626、 NAID 130001143402。
- ^ 萩屋薫「根菜類のすいり現象の生理學的研究 (第2報) : 大根のすの發現に關係を有する形質の品種間差異に就て」『園芸學會雜誌』第21巻第3号、園芸学会、1952年、 165-173頁、 doi:10.2503/jjshs.21.165、 ISSN 0013-7626、 NAID 130001143058。
- ^ 『広辞苑』第5版
- ^ 『旬の食材 秋・冬の野菜』講談社 ISBN 4-06-270136-7
- ^ 皆川守「大根むき花 水戸に咲く◇包丁1本で作る伝統民芸 7代続く保存会で後進導く◇」『日本経済新聞』朝刊2017年12月14日(文化面)2020年2月21日閲覧
- ^ 文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』
- ^ a b c d e f g h i j 講談社編 2013, p. 145.
- ^ a b c d e f g h i j 田中孝治 1995, p. 191.
- ^ “だいこん”. 福岡教育大学保健管理センター. 2010年3月30日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年10月1日閲覧。
- ^ “札幌市 緑のセンターだよりNo.236”. 札幌市公園緑化協会. 2021年9月3日閲覧。
- ^ 医師が奨める冬野菜No.1
- ^ 報恩講-大根焚-について了徳寺ホームページ(2018年3月21日閲覧)
- ^ 大根まつり本龍院待乳山ホームページ(2018年1月14日閲覧)
- ^ a b c 北山育子, 真野由紀子, 中野つえ子, 澤田千晴, 下山春香, 安田智子, 今村麻里子, 花田玲子, 竹村望, 熊谷貴子「青森県における行事食に関する調査研究」『日本調理科学会大会研究発表要旨集』平成23年度日本調理科学会大会セッションID: C1a-3、日本調理科学会、2011年、 86-86頁、 doi:10.11402/ajscs.23.0.86.0、 NAID 130007016266。
- ^ “大根の「辛み」に隠された意外な健康効果とは?おでんより“大根おろし”で食べるべき理由”. Business Journal (2020年11月7日). 2020年11月20日閲覧。
- ^ 大根役者 - 語源由来辞典(2020年1月21日閲覧)
- ダイコンのページへのリンク