ターボチャージャー 自然吸気との比較

ターボチャージャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 15:29 UTC 版)

自然吸気との比較

5代目フォルクスワーゲン・ゴルフに搭載されたTSIエンジンがダウンサイジングターボの先駆けとされている。

過給機は吸入空気を機関に圧送するため、単位排気量あたりの出力が向上する。しかし一方で、出力増加に伴って、燃焼温度が高く、シリンダー内圧が高くなるためヘッドガスケットシリンダーヘッドシリンダーブロックの強度やピストンの耐熱性を高くする必要がある。コンプレッサーによる圧縮やタービンからの熱伝導により吸気温度が高くなる。インタークーラーで圧縮後の吸気を冷却し、空気充填率の向上を図っている例も多い。

ガソリンエンジンの場合は、過給によりエンジンの圧縮行程で混合気がより高温になるため、デトネーションが発生しやすくなる。この対策として同型式の自然吸気エンジンよりも圧縮比を低く設定したり、空燃比[6]を濃く設定する場合がある。圧縮比を低くした場合は過給効果が得られない回転域で熱効率が低下し、自然吸気エンジンよりも出力が低下する。また空燃比を濃くすることで走行燃費が悪化する。

このようにコストや燃費という観点から、従来ガソリン車ではハイパフォーマンスモデルを除いて自然吸気エンジンが基本であったが、近年ではガソリンをシリンダー内に直接噴射する技術(ガソリン直噴エンジン)により圧縮行程では空気のみを圧縮するようになったためデトネーションの問題が解消され、2010年以降の乗用車では排気量を小さくする代わり、過給機によって出力を補い、総合的に燃費を改善するダウンサイジングコンセプトが流行しており、普通乗用車でもターボエンジンを採用するのはごく一般的になっている。


注釈

  1. ^ これは今日で言うターボコンパウンドエンジンでもあった。

出典

  1. ^ a b 中野 弘二、和田 裕介、城野 実考、成廣 繁「新型直列4気筒ガソリン直噴過給ダウンサイジングエンジン」『Honda R&D Technical Review』 Vol.28 No.1、2016年、133-139頁。
  2. ^ a b 鈴木孝 2001.
  3. ^ a b c d 今給黎孝一郎「排気ガスタービン過給機の技術系統化調査」『技術の系統化調査報告』第16集、国立科学博物館、2011年。
  4. ^ 前間孝則著『マン・マシンの昭和伝説』
  5. ^ 日本財団図書館(電子図書館) 3S級舶用機関整備士指導書”. 公益財団法人 日本財団. 2015年12月9日閲覧。
  6. ^ 濃い方が火炎伝播速度が遅いためデトネーションが抑えられる
  7. ^ 第19回ガスタービン定期講演会講演論文集(’91-5)
  8. ^ 石田満三郎、1989、『航空機用ピストン・エンジン』、日本航空技術協会〈航空工学講座 10〉 ISBN 4930858100 p. 138
  9. ^ 電動アシストターボ!!」(PDF)『IHI 技報』第51巻第1号、2011年。 
  10. ^ “燃費が1割改善~IHIの電動アシストターボ”. 日刊自動車新聞. (2010年10月14日). http://www.njd.jp/topNews/dt/1079/ 
  11. ^ 茨木誠一、山下幸生、住田邦夫、荻田浩司「[http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/433/433036.pdf 電動アシストターボチャージャ "ハイブリッドターボ"の開発]」(PDF)『三菱重工技報』第43巻第3号、2006年。 






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