タンポポ 利用

タンポポ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 09:16 UTC 版)

利用

ダンディライオン
生薬・ハーブ
効能 利尿作用[19]
原料 ダンディライオン(根部)
成分 タラキサシン (Taraxacin)[19][20]
タラキセロール (Taraxerol
タラキセステロール (Taraxasterol
臨床データ
法的規制
投与経路 経口
識別
KEGG E00788
別名 西洋タンポポ、Dandelion
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遊び

  • 草笛 - タンポポの茎を笛として吹く。

薬用

  • 薬草漢方薬 - タンポポに含まれる成分には、健胃・利尿・催乳などの効果がある。

根にステロール化合体、脂肪酸糖質としてイヌリン・ラエブリン・マンナンを含んでいる[3]。茎葉から分泌する白乳液の成分は、タラキシアチン、タラキシアセリン、イノシットなどである[3]ビタミンなども含んでおり、ビタミンB1は、花、根、茎の順に多く、葉にはビタミンB2ビタミンAビタミンC葉緑素などが含まれる[3]。花の色素は、キサンソフィルなどを含む[3]

タンポポ属植物の開花前の根を付けた全草を、掘り上げて水洗いし、長さ2 - 3ミリメートルに刻んで天日干ししたものが生薬になり、蒲公英(ほこうえい)とよんでいる[3][8][10]。花が開く前の根を掘り起こして、水洗いして天日干ししたのが生薬名で蒲公英根(ほこうえいこん)と称している[12]。全体、特に根に苦味があり、健胃作用、解熱作用、利尿作用、および胆汁分泌の促進作用があるといわれており、健胃薬として用いられる[3][8]

民間療法として、食欲不振、胃の不調のときに、蒲公英1日量5 - 10グラムを、500 - 600 ccの水で、とろ火で半量になるまで煮詰めて煎じた汁を、食後3回に分けて服用する利用方法が知られている[3][10]

タンポポの葉から抽出されたT1は、顆粒膜細胞の増殖とその受容体応答能を増大することでステロイドホルモン合成を促進し、卵巣の内分泌機能を改善することが報告されている[21]。また、動物実験において、T1経口投与によるエストロゲン受容体α・β、プロゲステロン受容体、FSH受容体の発現増加が報告されている[22]

食用

若葉、花、根が食用になる。どの種のタンポポも毒性はなく、食べられる[6]セイヨウタンポポの葉は古くから東ヨーロッパ中東で食用に供されており、多少の苦味があるがサラダなどにする[1]。特にスロベニアでは人気がある。アメリカ合衆国の一部では、花弁を自家製醸造酒(タンポポワイン)の原料として用いる。日本ではカントウタンポポなどの在来種と外来種のセイヨウタンポポのいずれも食べられ、若葉を軽く塩ゆでして水にさらしてあく抜きし、おひたし和え物、汁の実にしたり、天ぷら炒め物にする[23]。サラダには、花が開く前のロゼット状の葉を使う[6]。根はきんぴらかき揚げ、乾燥させてタンポポコーヒーにする[1]。花は生で天ぷら、茹でて甘酢漬け二杯酢三杯酢などの酢の物、花酒にする[3][23][1]

  • たんぽぽコーヒー - 乾燥させたを炒ったものが、コーヒーの代用品として知られている[3]。カフェインを含まないので睡眠の妨げにならず、健胃に役立つと考えられている[3]。タンポポ茶ともいう。茎葉を利用したタンポポ茶もある。

工業製品の原料

ロシアンタンポポなどの品種のに含まれる乳液からゴムを採集する所もあり、住友ゴム工業コンチネンタルなどのゴム製品メーカーがタイヤの主原料となる天然ゴムを取り出し実用化を目指している[24]


注釈

  1. ^ これは、キク科植物共通の特徴である。

出典

  1. ^ a b c d e f g 金田初代 2010, p. 12.
  2. ^ a b c d e f g h 飯泉優 2002, p. 85.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 田中孝治 1995, p. 94.
  4. ^ a b c 田中修 2007, p. 2.
  5. ^ a b c 和泉 晃一. “タンポポの語源 小鼓の音階名「タ」と「ポ」に由来する”. 別府街角ウオッチング. 2013年6月28日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g 篠原準八 2008, p. 26.
  7. ^ a b c d e f g h i j 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 10.
  8. ^ a b c 貝津好孝 1995, p. 94.
  9. ^ 貝津好孝 1995, p. 230.
  10. ^ a b c d e f g h i 馬場篤 1996, p. 73.
  11. ^ 金田初代 2010, p. 13.
  12. ^ a b c d e 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 11.
  13. ^ a b c d e f 田中修 2007, p. 3.
  14. ^ a b c d 稲垣栄洋 2010, p. 86.
  15. ^ a b c 稲垣栄洋 2010, p. 88.
  16. ^ a b c d 田中修 2007, p. 6.
  17. ^ 田中修 2007, p. 7.
  18. ^ a b c 稲垣栄洋 2010, p. 89.
  19. ^ a b Thomas S. C. Li, Ph.D. (2000). MEDICINAL PLANTS. CRC Press. p. 46. ISBN 1-56676-903-5. 
  20. ^ Joseph E. Pizzorno, Michael T. Murray (2013). Textbook of Natural Medicine. ELSEVIER. p. 1055-1056. ISBN 978-1-4377-2333-5 
  21. ^ 「Effect of Dandelion Extracts on the Proliferation of Ovarian Granulosa Cells and Expression of Hormone Receptors」『Chin Med J (Engl)』2018 Jul 20;131(14):1694-1701。 
  22. ^ 「Dandelion T-1 extract up-regulates reproductive hormone receptor expression in mice」『Int J Mol Med』2007 Sep;20(3):287-92。 
  23. ^ a b 篠原準八 2008, p. 27.
  24. ^ 天然ゴムに全滅の危機?! - NHK
  25. ^ Richards, A.J. (1997). Dandelions of Great Britain and Ireland (Handbooks for Field Identification). BSBI Publications. p. 330. ISBN 978-0901158253 
  26. ^ 田中修 2007, p. 5.





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