タンジマートとは? わかりやすく解説

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タンジマート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/21 22:36 UTC 版)

タンジマート または タンズィマート (オスマントルコ語: تنظيماتTanzimât; 現代トルコ語: Tanzimat) とは、「タンジマーティ・ハイリエ」(恩恵改革)の略語である[注釈 1]1839年ギュルハネ勅令発布から1876年制定のオスマン帝国憲法(通称、ミドハト憲法)にいたるまでの、オスマン帝国がおこなった諸改革あるいは改革運動の総体である[2]19世紀半ば、ヨーロッパ列強の軍事的・政治的圧力、欧州金融資本バルカン半島進出、ギリシャエジプトなど帝国領の諸地域・諸民族の自立・離反という「内憂外患」のなかでおこなわれた一連の西欧化・近代化政策であり、1839年から1876年までを「タンジマートの時代」「タンジマート期」と称することがある[2][3]


注釈

  1. ^ 「タンジマート」のもともとの意味は、「再編成」「組織化」である[1]
  2. ^ タンジマート期に、それまで唯一の権威を持っていたシャリーア法廷の外部に設置されたムスリムと非ムスリムとの間の民事・商事訴訟を取り扱う裁判所。
  3. ^ 1848年革命によって、ウィーン体制は終焉を遂げ、ヨーロッパにおける被抑圧民族のナショナリズムが高揚し、その様相や成果は「諸国民の春」と称された。
  4. ^ オスマン帝国の借款は1854年以降、計17回におよんだ[21]
  5. ^ タンジマートは、改革勅令を機に前後に分けるのが一般的である。前期はある程度まで帝国政府の創意のもとに進められたのに対し、後期は列強の強制によるところが大きかったからである[23]
  6. ^ 山内昌之は、レシト・パシャ、フアト・パシャ、アーリ・パシャの3人を「タンズィマートの三傑」と呼んでいる[26]
  7. ^ アーリ・パシャの死後、スルタンのアブデュルアズィズははばかることなく無為と専制に走り、恣意的な人事がまかり通るようになって、大宰相のポストも一時軽くなった[28]
  8. ^ オスマン領内の深刻な民族問題には、19世紀をとおしてのクレタ島でのギリシャ人への圧迫や19世紀末からの20世紀まで間断なくつづいたアルメニア人に対する抑圧や虐殺がある[36]
  9. ^ ミドハト・パシャが追放されたのは、アブデュルハミト2世に対する妥協としてその挿入を容認した、国益を害する人物をスルタンの権限で国外追放にできるとした条項を利用してのことだった。これは、ミドハト・パシャが立憲派の力を過大に見積もった過信のせいだったともいわれている[37]
  10. ^ 改革を主導したひとり、大宰相アーリ・パシャももともとイスタンブルの靴屋の息子である[40]

出典

  1. ^ 山内(1996)p.164
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 山内(1996)pp.163-165
  3. ^ a b c d e f g 小泉洋一「トルコの政教分離に関する憲法学的考察 : 国家の非宗教性と宗教的中立性の観点から」『甲南法学』第48巻第4号、甲南大学法学会、2008年3月、753-819頁、doi:10.14990/00000673ISSN 04524179NAID 110007119662 
  4. ^ 新井(2009)pp.42-43
  5. ^ 新井(2009)pp.86-88
  6. ^ a b c d 永田(2002)pp.287-289
  7. ^ 永田(2002)pp.294-296
  8. ^ a b c d e f g h i j 永田(2002)pp.289-292
  9. ^ 新井(2009)p.68
  10. ^ R. Kasaba, The Ottoman Empire and the World Economy, State University of New York Press, 1988, pp.75-76, 78-80.
  11. ^ a b c d e f g h i 山内(1996)pp.176-179
  12. ^ 永田(2002)pp.308-314
  13. ^ a b c d e f g h i j k l 永田(2002)pp.281-284
  14. ^ 新井(2009)pp.31-41
  15. ^ a b c d e f g h i j 永田(2002)pp.284-289
  16. ^ a b 新井(2009)pp.42-49
  17. ^ a b c d e 永田(2002)pp.292-293
  18. ^ a b c 山内(1996)pp.166-168
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 永田(2002)pp.296-299
  20. ^ a b 山内(1996)pp.175-176
  21. ^ 永田(2002)pp.296-299
  22. ^ a b c 新井(2009)pp.77-85
  23. ^ 山内(1996)p.176
  24. ^ 新井(2001)pp.52-56
  25. ^ a b c 新井(2009)pp.86-88
  26. ^ 山内(1996)pp.178-179
  27. ^ a b c d 永田(2002)pp.299-302
  28. ^ 山内(1996)p.201
  29. ^ a b c 永田(2002)付録pp.032-033
  30. ^ 堀井 (2016) pp.432-433
  31. ^ 新井(2009)pp.134-138
  32. ^ a b c 新井(2009)pp.172-175
  33. ^ a b c d e f g h i j k 永田(2002)pp.302-305
  34. ^ 山内(1996)pp.210-212
  35. ^ a b c d 山内(1996)pp.168-170
  36. ^ 山内(1996)p.169
  37. ^ 山内(1996)pp.212-213
  38. ^ a b 山内(1996)p.216
  39. ^ 山内(1996)pp.203-205
  40. ^ 山内(1996)p.204





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