タイ王国 国名

タイ王国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 01:12 UTC 版)

国名

正式名称は、ราชอาณาจักรไทยタイ語: ラート・チャ・アーナーチャック・タイ)で、ราชは「」、อาณาจักรは「領土」、ไทยは「タイ」を意味する。現地での通称は、เมืองไทยタイ語: ムアンタイ)。

公式の英語表記は、The Kingdom of Thailand、略して Thailand英語発音: [ˈtaɪlənd] イランド)。国民、形容詞とも Thai。日本語表記は、タイ王国、通称はタイタイランドと称されることも多い。漢字(タイ)と表記されることもある。

1939年までの正式国名は Siam[sàˈjǎːm] サヤーム、英語発音: [saiˈæm] サイム)。この Siam という語は古くポーナガルのチャム語碑文(1050年)、バガンビルマ語碑文(1120年)、アンコール・ワットの刻文(12世紀頃)などに見える Syām という語に原型を見ることができる。歴史学者・言語学者のチット・プーミサックはその著書『タイ族の歴史』[5] で、この語がビルマのシャン族のシャン、インドのアッサムアーホーム族のアーホームの語源になったとしている。西洋においては Siam とはポルトガル語Sião, Syão からきた語とされる[6]。また、1592年、ジェームス・ランカスターが最初に Siam という語を用いたとされる[7]。この Siam が正式な国号となるのは1855年英タイ間でボーリング条約が締結されたときであった[7]

日本においては、かつて暹羅と記した。『明史』巻三百二十四に見える、暹(せん)という国と羅斛(らこく)という国が合併したからとされる。なお、暹という国はスコータイ、羅斛はラウォー(ロッブリー)とするのがポール・ペリオによる研究以来からの定説であったが[8]、『大徳南海誌』の「諸蕃国」に見える一文「暹国管上水速孤底」という記述があることを理由に山本達郎は暹とはアユタヤではないかとする見解を発表し[9]、これが2002年に石井米雄によりタイの学会に紹介され新たな定説となった[10]。なお「暹羅」の読みについて、1712年刊行の『和漢三才図会』ではこの語にしゃむろンロウという読みを与えている。しかし、明治期以降シャムの読みが定着した[6]。また、同時代の外交においては暹羅国と表記された。

このほか、タイを示す「シャム」「暹羅」以外の系統の語として、ビルマ語のヨウダヤーယိုးဒယား)があげられる。この語はもともと、シャムを語源とするタイ北方のタイ族を呼ぶ言葉「シャン」とは別に、チャオプラヤー川流域のタイ族、およびタイ南部のタイ族を指し示す言葉で、語源はタイに過去に存在した王朝の名前アヨータヤー(アユッタヤー)であると考えられている[11]。ただし、この言葉はタイに対する蔑称とされる[12]

一方、20世紀前半までにシャム/ Siam が国名として定着したが、1939年6月24日、時の首相ピブーンは国名をタイに変更した[13]。これはシャムがチャオプラヤー川流域のタイ族を指す外国からの言葉であり、タイ族の自称である「タイ」に変更するのが適切であったと説明されるが、一方でチャオプラヤー川流域以外のタイ族をも取り込もうとしたピブーンの意図も読み取れる[14]。その後、セーニー内閣時の1945年9月17日にいったん国名はシャムに戻されたが、返り咲いたピブーンにより1949年5月11日、国名がタイに戻された[15]。時は下ってサリット政権時代に、議会で国名にタイがふさわしいかどうか議論がなされたが、結局は国名を維持することになった[6]。しかし現在でも、タイという名前に反対する知識人が見られる[16]


注釈

  1. ^ 「君臨すれども統治せず」という原則と議院内閣制の下で国王または女王(イギリスの君主)や天皇に実権がなく、首相内閣総理大臣が事実上全権を掌握するイギリス日本と類似している。

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