ソーシャルメディア 特徴と問題点

ソーシャルメディア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/26 16:36 UTC 版)

特徴と問題点

ハーバード大学医学部などの専門家は、ソーシャルメディアをメンタルヘルス健康への主要な障害と見なしている。とある大手写真・動画共有ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の10代のユーザーの3分の1以上が、多くのいいねやコメントを得るコンテンツを投稿することへのプレッシャーを感じており、40%以上が、見栄えのするコンテンツのみを投稿することへのプレッシャーを感じている。ある世界的に展開されている大手ソーシャルメディア自身の内部調査によると、10代の少女の13%以上が、ある大手写真・動画共有ソーシャル・ネットワーキング・サービスが自殺念慮を悪化させると述べ、17%が、このSNSの使用により摂食障害が悪化したと述べた。ハーバード大学医学部は、ソーシャルメディアの規制を検討しているとのこと[5]

ソーシャルメディアには利用者同士のつながりが促進されるような仕組みが用意され利用者間の関係を視覚的に把握できる特徴がある[4]。また、検索機能によって知りたい情報に選択的に接触できる能動性があり、簡単にマルチメディア情報を即時的かつ広範囲に伝達できる拡散性がある[6]

一方、ソーシャルメディアは、編集部の選別を通るために一定水準以上の文章を読者に要求する雑誌の投稿欄とは違い、ユーザーが自由気ままに情報発信できるために勉強不足からくる質の低さがあり、それが世論形成にマイナスの影響を与えているという指摘がある[7]。また、法学者のキャス・サンスティーンは、人々が自分の意見にマッチする情報に、選択的に繰り返し接触すると意見の分極化が進み、自分の考えに沿わない勢力を排除する思考が強化されると述べている[6]

ソーシャルメディアは世界的に政治宣伝に利用されており、日本でも2013年公職選挙法改正によって、選挙運動にソーシャルメディアを利用することが解禁されている。また、アラブの春ウォール街を占拠せよなど、非合法の抵抗運動に対し、既存マスメディアは中立性の維持や政府との柵などの欺瞞によって同調しがたい体質がある。そのため、ソーシャルメディアは非合法の市民運動の呼びかけや、即時的な情報交換に利用されるケースも多い[6]

テロ犯罪暴動など治安を揺るがす行為に利用される恐れがあることから国家的な監視対象となることがある。アメリカの例では、国土安全保障省がソーシャルメディアに書き込まれるテロや犯罪を連想する単語を監視するプログラムを運用していると伝えられる[8]。また、危急の際には政府やソーシャルメディア企業の自主規制によってネットワークの遮断が行われるため、革命的事態へのソーシャルメディアの役割は限定的であるとも言われる[6]


  1. ^ Kaplan, Andreas M.; Michael Haenlein (2010). “Users of the world, unite! The challenges and opportunities of Social Media”. Business Horizons 53 (1): 59–68. doi:10.1016/j.bushor.2009.09.003. ISSN 0007-6813. http://www.sciencedirect.com/science/article/B6W45-4XFF2S0-1/2/600db1bd6e0c9903c744aaf34b0b12e1. 
  2. ^ Kaplan Andreas M., Haenlein Michael, (2010), Users of the world, unite! The challenges and opportunities of social media, Business Horizons, Vol. 53, Issue 1
  3. ^ "Google Trends: social media," trends.google.com, https://www.google.com/trends?q=%22social+media%22&ctab=0&geo=all&date=all&sort=0
  4. ^ a b c d ソーシャルメディアの普及がもたらす変化”. 総務省. 2018年9月14日閲覧。
  5. ^ MPH, Sharon Levy, MD (2021年11月5日). “A conversation about reducing the harms of social media” (英語). Harvard Health. 2021年11月9日閲覧。
  6. ^ a b c d 白崎譲 松田憲忠岡田浩(編)『よくわかる政治過程論』 ミネルヴァ書房 <やわらかアカデミズム<わかる>シリーズ> 2018年、ISBN 978-4-623-08411-1 pp.84-85,92-93.
  7. ^ 福間 2017, pp. 315–317.
  8. ^ “ツイッターで「要注意」の500語は? 米政府がSNS監視”. CNN (CNN). (2012年3月12日). http://www.cnn.co.jp/tech/30005888.html 2012年5月25日閲覧。 


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