ズボン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/12 01:00 UTC 版)
ズボンの構造
スラックス、ジーンズ、カーゴパンツなどのズボンには、共通の構造がある。
シルエット
- 普通型
- 流行によって細くなったり太くなったりするが、あまり変化はない。
- テーパード
- 裾口に向かって、先細りになっている。
- スリム・スラックス
- スキニー
- テーパードを細くしたもの。
- パイプド・ステム
- 煙突のように、上から下まで同じ太さのもの。
- フレア
- 膝まではぴったりしており、膝から裾に向かって広がっているもの。
- 丈の長いブーツが下に履けるもの。
- ベルボトム(パンタロン)
- 裾の広がりがブーツカットよりも大きいもの。膝から下がベルのように広がっている。
- セーラー・パンツ
- ヒップの下から裾に向かって広がったもの。
- オックスフォード・バックス(バギーパンツ)
- 極端に太いシルエット。
- ディナー(ディナージーンズ)
ウエストバンド
- セパレート・ウエストバンド(スプリットウエストバンド)
- 腰帯が身頃(みごろ)と別になっている仕様のパンツ。腰帯にはベルト通しが付く。ベルトを用いる。
- ベルトレススラックス(カリフォルニア・ウエストバンド、ハリウッドウエストバンド、ワンピースウエストバンド)
- 腰帯と身頃が一体になっている仕様のパンツ。サスペンダーを用いる。アジャスターベルトという金具が着いていて、ウェストサイズが調整できる。礼服に多いスタイル。1個から2個のボタンで腰帯と身頃を閉める。
タック
タックは、腰回りの前側にあるひだ(プリーツ)。ヒップと腿(もも)周りに余裕をもたせる。
タックが多いほど太くなり、クッションを長くする必要がある。
- ノータック
- タックのないもの。ノークッションとハーフクッション向き。
- ワンタック
- タックが1本あるもの。ハーフクッションとワンクッション向き。
- ツータック
- タックが2本あるもの。ワンクッション向き。
- インタック
- 内倒しのタック。
- アウトタック
- 外倒しのタック。
前立て
前開きズボンの前立ての留め具には、ボタンとファスナーの2通りがある。
- ボタン式
- 正装では、ボタンを用いる。
- フロントの布を止めるボタン式を broadfall ( fallfront )と呼ぶ[3]。
ズボンの前立てが開いたままのことを、俗に「社会の窓が開いている」と言った[4]。英語では"open fly"と呼ぶ。
脇ポケット
- バーティカル・スリット・ポケット
- 脇経線を利用したもの、正装にふさわしい。型くずれを起こしにくい。
- ホリゾンタル・スリット・ポケット
- 前脇を横にカットしたもの、正装にふさわしい。
- フォワード・セット・ポケット
- ポケット口の上端を脇より前に寄せたもの。ポケット口が斜めになり、カジュアルなズボンに用いられる。
- ウォッチポケット(フォブ・ポケット)
- フォブは時計隠しの意味。懐中時計やコインを収納するためのポケット。
後ろポケット
後ろポケットは、ボタン付きのほうが型くずれを起こしにくい。
- スリット・ポケット
- 切れ目が入ったポケット。礼服に用いられる改まった仕様。
- フラップ・ポケット
- 蓋付きのポケット。スーツに用いられる。
- アコーディオン・ポケット
- 膨らんだ蓋付きのポケット。カジュアルなズボンに用いられる。
- パッチド・ポケット
- 貼付け式のポケット。カジュアルなズボンに用いられる。
裾
- モーニング・カット(アングルド・ボトム)
- 前を高く、後ろを低く仕立てたもの(靴にかかるのを防ぐため)。シングルより改まったもの。
- カフレス(シングル)
- 裾に折返しのないもの。シングルのほうが、ダブルよりも正式。
- ターンナップ(ダブル)
- 裾口を長く折り曲げて、ダブルにしてあるもの。ダブルの裾口の折返しは、4〜5cm位が目安(身長が178cm未満の人は4〜4.5cmくらいで、178cm以上の人は5cmくらい)。
- カット・オフ
- 裾口を切り離したままにしているもの。ジーンズなど。
- レース・アップ
- 作業用として紐でしばっていたのが、のちに飾りとなったもの。
股上の深さ
股上は、前側の股から腰までの長さ。股上が大きいズボンを,「股上が深い」という。
- レギュラー
- ウエストにベルトを締めるとき、もっとも身体に合った位置。
- ハイ・ライザー
- 股上が深い。サスペンダー用。チョッキを用いないと、ベルトの上でズボンが余るのでよくない。
- ヒップハング(ローライズ)
- 腰骨のところにベルトがかかり、股上が浅い。
裾丈の長さ
下に行くほどスラックスが長くなる。クッション(裾と靴の甲との当たり)が短いほど、スラックスを細く、タックを少なくする。 スラックスの裾は踵から1〜2cmの上あたりであり、必ず靴を履いた状態で測る。
- ノークッション
- スラックスの裾が靴の甲に当たらない長さ。 立っているときは臑(すね)が見えないが、座ったときに見えるおそれがある。ノータック向き
- ハーフクッション
- スラックスの裾が甲にわずかに当たる長さ。 ノータックとワンタック向き。
- ワンクッション
- スラックスの裾が靴の甲にしっかりと当たる長さ。ワンタックとツータック向き。
- ^ 佐久間淳一『はじめてみよう言語学』研究社、2007年、188頁。
- ^ “タリム盆地で世界最古のパンツ発見、3300年前の遊牧民族が乗馬で着用か―中国”. レコードチャイナ (レコードチャイナ). (2014年6月5日) 2014年6月6日閲覧。
- ^ Beckett, Jesse (2021年12月20日). “Why Do US Navy Sailors Have 13-Button Pants?” (英語). warhistoryonline. 2024年1月13日閲覧。
- ^ なんで「社会の窓」って言うの? 今は聞かれなくなった死語の由来. マイナビニュース (2014年2月3日) 2017年12月10日閲覧。
ズボンと同じ種類の言葉
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