スルメイカ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 00:58 UTC 版)
漁業
2016年漁期(2016年6月-2017年1月)、北海道では記録的な不漁に陥った。函館市水産物地方卸売市場における取扱量は、記録の残る2001年以降で最低の1,493トン、キロ単価は779円と最高となった[1]。
水産庁によれば、水揚げ量は2000年度から2014年度までは15万 - 30万トンほどで、2015年以降、激減し、2019年4月 - 12月末は2.1万トンで、1951年以降最低だった2018年同期を下回った[2]。
食文化
近代以前
日本では古代から朝廷への貢ぎ物としてスルメが奉じられてきた。今日でも縁起の良い品であることに変わりは無く、神道における祭儀では神饌として多用される。スルメは、室町時代の日明貿易やその後の南海貿易で、中国や東南アジア向けの日本の重要な輸出品目の一つとされ、それは明治・大正時代まで続いた。
漁
現代日本において魚介類消費の多くを占めるイカであるが、そのイカの漁獲の大半をスルメイカで占めている[3]。世界のスルメイカ漁獲量の筆頭は日本であり、最大消費国・最大輸出国ともに日本。そしてその最大輸出先はアメリカ合衆国である。世界におけるスルメイカおよびイカ類の消費の伸びには、寿司の普及が関係している。日本においてスルメイカは、1998年、TAC(漁獲可能量)魚種に指定され、将来的に持続可能な水産資源として管理されている。
旬は夏から秋にかけてであり、夜間集魚灯を点けておびき寄せ、擬似餌(ぎじえ)を使って釣り上げる。また、追い込み漁や小型定置網を使った定置網漁も行われる。なお、昔の漁師達は漁り火(いさりび)などを使っていたが、イカのほうから習性によって押し寄せてくる天然の漁場なども多くあったようである。
食材
日本で鮮魚として出荷されるイカの中で最も安価であり、そのため、日本人にとっては最も馴染み深いイカである。刺身や寿司、焼き物・煮物に酢の物、天ぷらやその他の揚げ物などのほか、内臓を活かして塩辛でも食される。また、烏賊飯(いかめし)や烏賊そうめん(いかそうめん)なども人気の料理である。「イカ#食材」も参照。
内臓と眼球を取り除き、天日などで干したものを「するめ(鯣)」と言う。ただし、「するめ」はスルメイカに限っての呼称ではなく、高級とされるケンサキイカ、もしくはヤリイカのそれを「一番するめ」と呼び、スルメイカのそれは「二番するめ」と呼ばれる(詳しくは「スルメ#食品としての特徴」を参照)。また、スルメイカは内臓を取り除かず丸干しとしても加工される。塩辛では、能登地方の魚醤である「いしる」の材料として、スルメイカとイワシの内臓が使われている。
レシピ
- 焼きイカ
- スルメイカを焼いたもの。一般的に醤油味または塩味で食する。ショウガの搾り汁や、おろしたショウガを薬味とすることが多い。
- スルメイカとサトイモの煮物
- イカは1cm程度の輪切りとし、サトイモは皮をむいて下茹でしておく。
- 鍋に日本酒とみりんを煮立てて出汁を加え、サトイモとスルメイカを入れて落とし蓋をして煮込み、十分に味を染み込ませる。
- 肝のホイル焼き
- 1cm程度の大きさに切ったイカの身に、中腸腺を搾り出したものと味噌、日本酒を少し混ぜ、アルミホイルでくるんだものをオーブンなどで蒸し焼きにしたもの。
脚注
注釈
出典
- ^ スルメイカ取扱量 過去16年で最低 函館卸売市場 どうしんweb・北海道新聞(2017年02月01日)2017年02月05日閲覧[リンク切れ]
- ^ “「スルメイカが食卓から消える日」半世紀で最悪の不漁:朝日新聞デジタル”. (2020年3月3日)
- ^ 泉賢司、山村哲史 (2017年7月21日). “イカ不漁続く予想 函館は輸入過去最高”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 7面
スルメイカと同じ種類の言葉
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