スパム (メール)
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ロボット対策
メールアドレス収集ロボットの対策として、テキストリテラルで書かない[注 3]手法が取られることがある。
社会的な取り組み
アメリカ
アメリカ合衆国では、電子メールだけでなく郵便を利用したダイレクトメールや電話勧誘販売に対するオプトアウト登録システムが国家(連邦政府)によって始められており、電子メールでは、メールサーバに多大な負荷を掛けるようなスパム送信者への罰則強化が進められている。スパム送信元国は、ブラジル、インド、大韓民国の順に多い[12]。2012年7月-9月、情報セキュリティ会社のソフォス社の調査によれば、スパム送信元国はインド16.1%、イタリア9.4%、米国6.5%である。一方、七大陸で見るとアジア48.7%、ヨーロッパ28.2%、南米10.2%であった[13]。
日本
2002年には、NTTドコモの携帯電話宛に約405万通の宛先不明メールを送信した業者に対して、NTTドコモの特定接続サービスの規約に反して迷惑メールを送ったとして損害賠償請求訴訟が起こされ、NTTドコモが勝訴した[14]。
警視庁は、20億通のスパムメールを発信していた出会い系サイト運営者を、総務省からの措置命令を無視したとして2014年9月に措置命令違反で逮捕している[15][16][17]。
2002年4月には特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定メール法)が制定、また特定商取引に関する法律(特定商取引法)が改正され、スパムメールに対する法的な規制が強化された。
2006年3月に日本国内のISPや携帯電話事業者等が設立したJEAG(Japan Email Anti-abuse Group)が迷惑メール対策に対する3つのRecommendationを発表している。その中では、ISPの動的IPアドレスから送信されるメールをブロックするOutbound Port 25 BlockingやSubmission Port+SMTP AUTH、送信ドメイン認証の採用などが推奨されている。
その他
国際機関、OECDでは2006年にスパム対策のツールキットを作成している。またスパムへの技術対策の一つとして送信認証技術を取り上げている[18]。アメリカでは、2004年1月に連邦法としてCAN-SPAM法(CAN-SPAM Act of 2003)が成立している。基本的な考えはオプト・アウトだが携帯電話に向けたメールについてはオプト・インを採用していることや、悪質な迷惑メールに関する規制がなされている。2012年1月には、メール送信事業者等15社からなる迷惑メール対策やフィッシング対策などを目的とする「DMARC.org」が設立、SPF, DKIM等の技術を活用し、送信者認証を行うための仕組みを策定している[19]。欧州では、2002年7月の電子通信個人データ保護指令の13条が電子メールのダイレクトマーケティング目的での利用については、顧客の同意がある場合にのみ認められるオプト・インを採用している。この指令を受けてEUの各構成国でもオプト・イン規制を整備してきている。
スパムと採算性
2006年2月にシマンテックが行ったワークショップでの発表によると、スパムの返信率が0.001%(10万通に1通)を超えると採算が取れるという[20]。
2008年2月には、日本で、のべ22億通のスパムを送信した容疑者が逮捕されており[21]、この容疑者は約2000万円の利益を得ていたとされる。
低コストで大量にメッセージを送ることができるため、採算が取れるうちはスパムを根絶することは困難であるといわれている。
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- ^ “スパムの種類が最も多いのはアルゼンチン――マカフィー調査” (日本語). ITmedia エンタープライズ. 2020年9月9日閲覧。
- ^ “スパムは10年間で8%から90%に、Symantecが動向報告”. ITmedia (2010年1月14日). 2011年1月9日閲覧。
- ^ スパムメール生誕30周年記念、世界初のスパムメールは一体何だったのか?[リンク切れ]。
- ^ 日経クロステック(xTECH). “sendmail開発者Eric Allmanが語る「ネットの夜明けとスパムの歴史」” (日本語). 日経クロステック(xTECH). 2020年9月9日閲覧。
- ^ “画像スパムが1年で急増、スパム全体の65%までに” (日本語). ITmedia エンタープライズ. 2020年9月9日閲覧。ITmedia エンタープライズ:画像スパムが1年で急増、スパム全体の65%までに(2007年1月16日)
- ^ David Crocker、翻訳 安東 孝二「世界の電子メールをspam制御へ 」『IPSJ Magazine』第46巻第7号、2005年、 741-746頁。
- ^ 景山 忠史「spamメールの現状」『IPSJ Magazine』第46巻第7号、2005年、 747-751頁。
- ^ “迷惑メール規制法 海外発のメールも摘発対象に” (日本語). CNET Japan (2008年2月14日). 2020年9月9日閲覧。
- ^ 「なりすましメール撲滅プログラム (PDF) 」 迷惑メール対策推進協議会 (2012) (2012年12月16日閲覧)。
- ^ なりすましメールに気をつけよう 迷惑メール対策推進協議会(2012年12月16日閲覧)[リンク切れ]
- ^ 迷惑メール対策のすすめ(2012年12月16日閲覧)[リンク切れ]
- ^ “迷惑メールは誰がどこから送信するのか?”. ITmedia (2010年3月25日). 2010年3月25日閲覧。
- ^ “India spews more spam than ever before, report finds” (英語). Naked Security (2012年10月16日). 2020年9月9日閲覧。
- ^ 平成14年(ワ)第12815号 損害賠償請求事件 (平成15年3月25日判決)
- ^ 2年半に迷惑メール約20億通…サイト運営会社 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)[リンク切れ]
- ^ 措置命令に違反しメール送付容疑 警視庁、出会い系社長を逮捕 :日本経済新聞
- ^ 迷惑メール送信容疑で社長逮捕 措置命令違反は全国初 - 47NEWS(よんななニュース)
- ^ なりすましメール撲滅プログラム (PDF) 迷惑メール対策推進協議会 (2012) (2012年12月16日閲覧)。
- ^ 小向太郎 (2008). 情報法入門-デジタル・ネットワークの法律-. NTT出版. ISBN 4757102348
- ^ “「スパムメールは採算が取れるうちは根絶されない」京大高倉助教授”. internet.watch.impress.co.jp. 2020年9月9日閲覧。
- ^ “スパム22億通送信で逮捕 25歳男「捕まると思わなかった」 - ITmedia News”. web.archive.org (2008年2月18日). 2020年9月9日閲覧。
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