スコッチ・ウイスキー スコッチ・ウイスキーの概要

スコッチ・ウイスキー

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様々なスコッチ・ウイスキー

イギリスにおける法律上の定義

2009年スコッチ・ウイスキー規則(The Scotch Whisky Regulations 2009)により次のように定義されている[6]

スコットランドにおいて製造されたウイスキー[7]であって、

(a)スコットランドの蒸留所にて、水および発芽させた大麦(これに他の穀物の全粒のみ加えることができる。)から蒸留されたものであって、
(i)当該蒸留所にて処理されマッシュとされ、
(ii)当該蒸留所にて内生酵素のみによって発酵可能な基質に転換され、かつ、
(iii)当該蒸留所にて酵母の添加のみにより発酵されたものであり、
(b)蒸留液がその製造において用いられた原料およびその製造の方法に由来する香りおよび味を有するよう、94.8パーセント未満の分量のアルコール強度に蒸留されており、
(c)700リットル以下の容量のオーク樽においてのみ熟成されており、
(d)スコットランドにおいてのみ熟成されており、
(e)3年以上の期間において熟成されており、
(f)物品税倉庫または許可された場所においてのみ熟成されており、
(g)その製造および熟成において用いられた原料ならびにその製造および熟成の方法に由来する色、香りおよび味を保持しており、
(h)一切の物質が添加されておらず、または
(i)水
(ii)無味カラメル着色料、もしくは
(iii)水および無味カラメル着色料
を除く一切の物質が添加されておらず、かつ、
(i)最低でも40%の分量のアルコール強度を有するもの

スコッチ・ウイスキーの種類

スコッチ・ウイスキーはまず、モルトウイスキーグレーンウイスキーに分かれる。両者の違いには以下のような点がある。

名称 原料 蒸留方法
モルトウイスキー 大麦麦芽[8] 単式蒸留器を使用。2回行うのが一般的[8]
グレーンウイスキー トウモロコシと大麦麦芽を5:1の割合で配合[9] 連続式蒸留機を使用して連続的に行う[10]

モルトウイスキーは「ラウドスピリッツ(主張する酒)」[11]、「個性的で風味の豊かな」[12]と評され、グレーンウイスキーは「サイレントスピリッツ(沈黙の酒)」[11]、「風味に乏しく没個性的で、それを単体で飲むには不向き」[12]と評される。両者を混ぜて作られるのがブレンデッドウイスキーで、「適度な力強さと穏やかさを兼備」していると評される[13]。モルトウイスキー65%に対しグレーンウイスキー35%がブレンドの目安(クラシックブレンド)とされる[14]。ウイスキーのブレンドはブレンダーと呼ばれる専門家が担当し、1つのブレンデッドウイスキーを作るために数十種類のモルトウイスキーと数種類のグレーンウイスキーが混合される[15][† 2]

モルトウイスキーは製造工程の違いにより、シングルカスクシングルモルトブレンデッドモルト(ヴァッテッドモルト)[17]に分類される。2009年スコッチ・ウイスキー規則により、ヴァッテッドモルトと表記することは禁止された[18]

シングルカスクは1つの樽で熟成されたモルトウイスキーのみを瓶詰めしたもの、シングルモルトは1つの蒸留所で作られたモルトウイスキーを瓶詰めしたもの、ブレンデッドモルトは複数の蒸留所で作られたモルトウイスキーを混合して瓶詰めしたものである[10][19][20]

ピュアモルトという言葉があるが、これはブレンデッドウイスキーとの違いを示すために「モルトウイスキーのみを瓶詰めした」という意味で用いられる[20]。シングルモルトとヴァッテッドモルトに使われる[19]が、土屋守によると「スコットランドの場合、ピュアモルトといえば、まず99%シングルモルトのことを指すと思っていい」[20]。2009年スコッチ・ウイスキー規則により、スコッチ・ウイスキーのラベルにピュアモルトと表記することは禁止されている[21][22]

モルトウイスキーと同様、グレーンウイスキーにもシングルグレーンヴァッテッドグレーンとがある。ただし個性の乏しいグレーンウイスキーについて製造した蒸留所の名前を強調したり混合することに意味はないと考えられており、流通量は非常に少ない[23]

なお、ブレンデッドおよびヴァッテッドの熟成年数の表示については、混合するウイスキーの中で最も熟成期間が短いものの年数を表示しなければならない[20]




注釈

  1. ^ 世界5大ウイスキーとはスコッチ・ウイスキーとアイリッシュ・ウイスキーアメリカン・ウイスキーカナディアン・ウイスキージャパニーズ・ウイスキーをいう[1][2]
  2. ^ 本来は10数種類の混合で足りるが、ある蒸留所のウイスキーが入手できなくなった場合に備えて他の蒸留所で製造された同質のウイスキーも確保するため、種類が増えることになる[16]
  3. ^ 土屋守によると1.2kg[27]、吉村宗之によると500kgに相当[28]
  4. ^ アクアヴィテは蒸留酒全般を指す言葉であり、アクアビットブランデーを指すフランス語「オードヴィー」の語源でもある[30]
  5. ^ a b ダンディー - グリーノック間の想定線以北がハイランド地方、以南がローランド地方である[49]
  6. ^ 土屋守は、1846年穀物法が廃止され穀物の輸入が自由化されたことによる影響を示唆している[50]
  7. ^ スコットランドにおける大麦の収穫期は8月末から9月中旬にかけてである[72]
  8. ^ 伝統的な製法では、ピートのみを燃料として乾燥が行われる。キャンベルタウンのスプリングバンク蒸留所が製造するロングロウはこの製法を採用している唯一のスコッチ・ウイスキーである[82]
  9. ^ スモーキーフレーバーの成分は揮発性フェノール化合物を中心に形成されている[84]
  10. ^ 自家製麦を行っている蒸留所として、アイラ島のラフロイグ、ボウモア、キャンベルタウンのスプリングバンク、オークニー島のハイランドパーク、スペイサイドのバルヴィニー、ベンリアック、東ハイランドのグレンドロナックなどが挙げられる[86]
  11. ^ モルトスターへの外注が始まったのは1960年代から1970年代にかけてである[87]
  12. ^ マッシュタンの素材としては鋳鉄ステンレスなどがある[91]
  13. ^ ただし、熟成終了後の加水には蒸留水を用いるのが一般的である[99]
  14. ^ ウイスキーの発酵において、酵母の増殖に適した温度は20℃ないし35℃である[109]
  15. ^ スピリッツセーフは、再留を終えた蒸留液が課税対象となることから設置された装置で、蒸留液を無断で取り出すことができないよう施錠されている[142]
  16. ^ 冷却器には、水の入った桶の中に通された渦巻状のパイプの中を蒸気が進み冷却されるワームタブ方式のものと、円筒形の装置の中に通されたチューブの中を冷水が流れ、その表面に蒸気が触れることで冷却されるシェル&チューブ方式のものとがあり、2000年代初頭においては設置場所をとらず使用する冷水の量が少ないシェル&チューブ方式が主流である[143]
  17. ^ 20年熟成させると約55%、50年熟成させると約40%に低下するとされる[171]
  18. ^ 実際には樽が手作りであることから、若干のバラツキが出る[188]
  19. ^ 吉村宗之は、「加水すると、風味のバランスは向上するよりも崩れることのほうが圧倒的に多い」、「風味のデリケートなスコッチウイスキーでは、水で薄められると簡単に消えてしまう味や香りもある」と述べている[239]

出典

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  6. ^ かつては、グレート・ブリテンにおいては、2009年スコッチ・ウイスキー規則第2条第(1)項により廃止された1998年スコッチ・ウイスキー法(Scotch Whisky Act 1988)(スコットランドにおけるスコッチ・ウイスキー以外のウイスキーの製造禁止、スコッチ・ウイスキーでないスピリッツをスコッチ・ウイスキーと称して販売することの禁止等を定めた法律) 第3条第(1)項および同条第(2)項に基づいて制定された1990年スコッチ・ウイスキー令 (The Scotch Whisky Order 1990)第3条により定義されており、北アイルランドにおいては、同規則第2条第(2)項により廃止された1988年スコッチ・ウイスキー(北アイルランド)令(The Scotch Whisky(Northern Ireland) Order 1988)(スコッチ・ウイスキーでないスピリッツをスコッチ・ウイスキーと称して販売することの禁止等を定めた行政委任立法たる北アイルランド枢密院勅令)第2条第(2)項および同条第(3)項に基づいて制定された北アイルランドの保険・社会サービス省令において定義されていた。
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