スコアブック (野球) スコアブック (野球)の概要

スコアブック (野球)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/28 16:04 UTC 版)

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米国のスコアブックの例

日本における記録方法は、一般的に文字が大きく見やすい特徴の慶応式と、枠が区分けされて分かりやすい早稲田式に分けられる。プロ野球では慶応式を使用しているが、一般には95%が早稲田式を使用している[1]。またそのどちらでもない独自方式を採用する地域もある(後述)。

歴史

黎明期のスコアとしては、1896年に第一高校の野球を記したものが残っている。これは得点を「o」、アウトを「x'」('の数は塁を表す)、残塁を「s」と表す程度で、詳細が分からず記録としては不十分であった。その後、明治43年に直木松太郎が『現行野球規則』(野球界社)にて慶応式を紹介。直木に師事した山内以九士が初代パリーグ記録部長に就任したこともあり、プロ野球では慶応式を用いている。一方、大正14年には飛田穂洲が『最新野球規則詳解』(忠文堂)にて早稲田式を提案。飛田が朝日新聞記者となるなど、マスコミの間で早稲田式は広まり、一般に使用される記入法となった[2]

千葉県の高校野球界では、県高野連理事長なども務めた広川善任(元東海大学付属望洋高等学校校長)が考案したとされる独自方式が一時期広く使われていた[3]

記録方法

江夏の21球のスコア記入例(左:早稲田式、右:慶応式)

ここでは一般的の方法を示すが、細部は各々の団体によって異なる。

概要

  • 通常、A4前後の大きさの専用の用紙で、1試合につき先攻・後攻の2枚を用いる
  • 用紙は横長で、上の方にチーム名、年月日、球場、天候、審判、大会名などを記す枠がある
  • 中央に大きな枠がある。縦方向に9等分してあり、1番打者から9番までに対応する
    • 左側には打者名を記入する欄がある。代打に対応するため、数人分記録できる
    • さらに左に守備位置の記載と守備記録の集計を行う枠がある
  • 中央の枠は横方向に9~12等分されていて、各イニングに対応する
    • 延長戦や打者一巡にそなえ、大抵は多めに用意されている
  • 各イニング、各打者で区切られたマスに、打席に立ってからベンチに戻るまでの流れを記録する
  • 用紙の右には打撃集計欄、下には投球集計欄が用意されている

投球記録

早稲田式では各マスの左ないし上、慶応式では上に細長い枠があり、ここに一球ごとの投球に応じた記号を記入する。

  • ボールは「●」で表す
  • ストライクは「×」で表す
    • 空振りの場合、/を二重に書いた×で表してもよい
      • バントの構えからの空振りを二重の×で表してもよい
  • ファウルは「△」で表す
    • バントの構えでの空振りを△の中に・を書いた記号で表してもよい
  • 他に、ボール「─」、ストライク「○」、ファウル「V」という表し方もある
  • 最終球が打撃の場合、ボール、ストライク、ファウルが記録されないため記入しない
    • そのため、投球数のカウントには気をつける必要がある
    • 打撃記録が三振、四球でも最終球を記録しないことがある

安打

安打の記録方法は早稲田式と慶応式で大きく異なる。

早稲田式

塁打の数に応じて斜めに線を引き、右下の枠に詳細を記入する。

  • 斜線は、単打では右下に「/」、二塁打ではさらに右上のマスに「\」というように記入する
    • 都合、本塁打では枠全体に「◇」を書くことになる
    • ランニングホームランでは「RH」と付記する
    • 安打が目立つように斜線を朱記することがある
  • 打球の詳細は、打球を最初に処理した野手の守備番号で記載する
  • さらに、打球の位置を示すために上下左右に点を打つ
    • 例えば、ライトオーバーは「
      メジャーリーグ試合のスコア記入例

アメリカでのスコア記入法の一例を、概要として示す。

  • 安打は右下を一塁とし、到達塁まで早稲田式のように線をつないでいく。到達塁に「1B」などと書く
    • 到達塁に「一」「二」「三」のように横棒で塁打のみ書く方法もある
  • 四球「BB」、敬遠「IBB」、死球「HBP」、失策「E3」で表す
    • 早稲田式と違い、安打でなくても「/」と線を引く
  • 野手選択は「FC」を記入
    • 日本ではランナーの入れ替えでは打撃記録の「ゴロ」を優先した記入を行うが、アメリカ式では(一塁への)走塁記録の野手選択を重視し、「FC」となる
  • 進塁時も出塁と同様に到達塁まで斜めに線を引いていく
    • 打撃により進塁した場合、打者の打順か背番号を記載する
    • 盗塁は「SB」と記すとともに打者の打順か背番号を記載
    • 本塁に到達し、得点となったときはダイヤを塗りつぶす
      • 本塁打のときのみ塗りつぶす場合もある。その場合、それ以外の得点は菱の中央にドットを記す
  • フライないしライナーは枠の中央に「F8」と記す
    • Fはファウルと紛らわしいため、「8」とのみ記すこともある
  • ゴロで一塁アウトは、中央に「6-3」などと記す
    • 犠牲なら「SAC」と付記する
  • 三振は中央に「K」と記す
    • 見逃し三振は鏡像のKを使用したり、「Kc」(called)と記すことがある
    • 空振り三振は「Ks」(swinging)と記すことがある
  • 盗塁死は斜線を途中まで引き、「⊢」のように短線で区切る。さらに「CS」、盗塁時の打者の打順か背番号、「2–6」などの守備記録を付記する

  1. ^ 宇佐美 2001, p. 2.
  2. ^ 宇佐美 2001, pp. 95-102.
  3. ^ 【ちば特(千葉日報特報部)】 なぜ?“千葉式”高校野球スコア 升目を無視「癖が強い」 広川元理事長のこだわりが伝統に - 千葉日報・2021年6月21日
  4. ^ タイブレーク時の記入法草野球のためのスコアブックのつけ方『Q&A』(2016年10月16日閲覧)
  5. ^ スコアカードのつけ方日本リトルシニア中学硬式野球協会 関東連盟 東関東支部(2016年10月16日閲覧)
  6. ^ 宇佐美 2001, pp. 170-171.


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