スキー板 スキー板の概要

スキー板

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 00:32 UTC 版)

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アルペンスキーの板

歴史

19世紀に固定型のスキー締具(ビンディング)とくびれ型のスキー板が作りだされ、現代のスキー板の原型が誕生した。1890年代には金属製のビンディングが作られた。当初はスキー板は1枚のの板であったが、1930年代には合板のスキー板が開発され、金属のエッジも取り付けられた。さらに1940年代には金属(アルミ合金)の板で木の板を挟んだメタルスキーが、1950年代にはグラススキーと呼ばれる木の芯にグラスファイバーを巻きつけたものや合成樹脂製のスキー板が開発される。その後、芯が中空のスキー板や芯にプラスチックやメタル(金属)を用いたものなど様々なものが開発された。現在では芯は木を用いたもの(ウッドコア)が多く、グラスファイバーやケブラー、メタルなどの素材を組み合わせて作成されている。2000年代に入って新たにビンディングと一体構造のスキー板なども数多く開発されている。以前、日本ではでスキーが作られたこともある。

構造

サンドイッチ構造の断面
1.トップシート
2.ラミネート上層
3.芯材
4.エッジ
5.ソール
6.サイドウォール
7.ラミネート下層
キャップ構造(上部)とサンドイッチ構造(下部、白)の併用

スキー板は、芯材、ソール(滑走面)、エッジ、トップシート、サイドウォールなどから構成される。

芯材はスキー板のもつべき剛性や弾性を実現する中心的な素材である。伝統的には木材が用いられてきたが、近年は発泡樹脂も用いられており、また、ケブラーガラス繊維炭素繊維ボロン繊維ポリエチレン繊維などの化学繊維チタン合金やマグネシウム合金のような金属により強化することで天然素材そのままでは実現できない力学的特性を実現している。[1]

ソールは、スキー板が雪面と接する部分である。現在のスキー板では高密度ポリエチレンが用いられている。特に、上級モデルや競技モデルのスキー板のソールは焼結ポリエチレンを用いることで、滑走時に塗布するワックスがよりよく吸収されるようになっており、雪面に対する摩擦係数の低下による滑走性の向上を図っている。また、競技モデルを中心として、グラファイト粉末を混入して静電気の発生の低減を図ったものも用いられている。

エッジは、アルペンスキーにおけるターンの実現に欠かせない部品である。硬い金属、一般にはを素材とする細長い形状のもので、ソールに沿ってスキー板の左右に、板の先端(チップ)から後端(テール)まで配置される。現在はチップからテールまで、ひと続きとなったエッジがほとんどだが、板の柔軟性を優先するために、数cmごとに切れ目の入ったクラックドエッジも一部で用いられている。エッジは90度、ないしそれよりやや鋭角に研がれているのが一般的であり、ターン時に雪面、ときにはアイスバーンを削ってターン中の足場を確保する。

トップシートとサイドウォールは、スキー板の上面や側面を保護するための部材である。近年は、その形状や材質を工夫することで、スキー板の性能向上につなげている場合が多い。また、スキー板の内部構造は、もともとはソール、芯材、トップシートを重ねて貼りあわせて側面にサイドウォールを接着したサンドイッチ構造のものが多かった。近年はトップシートとサイドウォールの一体化することでねじれ(トーション)に強いボックス構造、あるいはキャップ構造を採用する板も多い。スキー板前部にキャップ構造、スキー板後部にサンドイッチ構造を使用するなど両方の構造を併用した板もある。ビンディングと一体構造のスキー板はビンディングの一部分のみが板と結合され、踵あるいはつま先の部分が稼働することなどによって板のセンター部(ブーツの下)をたわませることが出来るようになっている。そのほか、トップシートの上に振動吸収を目的とした小さな部材を取り付けた板も存在する。

形状

形状の異なる4タイプのスキー。左から
1.くびれの無いスキー: クロスカントリー、テレマーク、旧式アルペン
2.カービングスキー
3.ツインチップスキー
4.ファットスキー

スキー板の基本性能を決定する形状的特徴には、長さ、幅、くびれ、反りの4つがあり、用途により板の形状はさまざまである。例えばモーグル競技のスキー板は、コブを滑るためにやや細身でゆるいサイドカーブを持つ。整地されていない雪山などのバックカントリーでは、深雪で沈まないように幅を広くしたファットスキーが使われる。

長さ

ソールの表面積はスキー板の長さ太さによって定まるが、それがスキー板の浮力、すなわち雪への沈みにくさの一つの指標となる。クロスカントリースキーの板は抗力を減らすために細く、しかし必要な浮力が得られるようその分長くなっている。アルペンスキーの板はそれよりも太く短い傾向にある。

アルペンスキーでは1980年代まで2m前後のものが一般的であった[† 1]。1990年代のカービングスキーの登場とその一般化という技術革新のもと、扱いやすい 150cm から 180cm 程度が一般的となり、2mを越える長さの板は高速系競技と一部のファットスキーでのみ見掛けるという状況になった。また、100cm から 130cm 程度のショートスキーや、70cm 程度のファンスキーまたはスキーボードと呼ばれるものもあり、これらは滑走特性の違いから独自のジャンルとして位置付けられている。

チップとテール

スキー板の前端(チップ、tip)は、雪を突き進む際に潜らないよう通常は上へ反り返っている。チップはスキーの歴史において長らく尖ったものだったが、太いスキー板の導入によってより丸みのある形に変化した。

後端(テール、tail)はかつて、真っ直ぐに切られた形をしており、また多くは今でもそうである。フリースタイルスキーでは後方に滑走することが多く、ツインチップのデザインが一般的となっている。ツインチップスキーとはチップとテールが両方とも上に反り返っている形状のスキー板で、反ったテールにより後方に滑ることやジャンプした後に後ろ向きに着地することが容易になる。

キャンバーとロッカー

従来からのスキー板は、単体でソールを下にして水平面に置くとチップとテールそれぞれの付近で水平面に接し、中央部分が浮いた弓なり状となっていて、この形状をキャンバー(camber)と呼んでいる[2]。キャンバー形状のスキー板は履いてから平らな雪面に立つことでソール全体が雪面に接し、安定した直滑降を可能にしている。スキー板のチップは上に持ち上がっていて、滑走時に雪面に刺さりにくい形状になっている。テールはほとんど平らとなっている板が多い[3]

近年、最初から反り返った形状となったロッカー(rocker)と呼ばれるスキー板も登場し[4]、次の区分で呼称されている。

フルロッカー
スキー板を平面に置いた場合の接地点がセンター(ビンディング付近)のみで、チップからテールにかけてほぼ全て反り返っているもの。専らフリースタイルスキーに用いられる。
チップ&テールロッカー
スキー板のチップとテールに大きな反り返りがあるが、センターにキャンバー形状も残されているもの。
チップロッカー
スキー板のチップのみが大きく反り返り、それ以外はキャンバー形状としているもの。

ロッカースキーは、緩勾配の非圧雪面でチップが雪中に潜り込むのを防ぐため、チップの反り上がりに加え、更にチップから30~40cm程度を基点として先端部がゆるやかに持ち上げられている。上記ツインチップ形状と組み合わせた場合にはテール30cm程度も緩やかに持ち上がっている。その場合「エッジ有効長」(スキー板を平面に置いた場合の接地区間の長さ)は通常のスキー板の6~7割程度しかない。2015年頃より各社とも製品を拡充しはじめた。

ロッカーの長所として、スキー板への荷重によらずに弧を描いている事からターンしやすく、特に山岳スキーバックカントリースキーのエッジが効きにくい新雪・深雪斜面においてターンしやすい事が挙げられる[3]


注釈

  1. ^ レジャー目的の場合、その長さはスキーブーツではなく一般的な靴などの履き物を履き、または素足で直立し、腕を真上に上げ、手首を「へ」の字に曲げ、スキーの先端が曲げた手首の下に納まるのが一般的とされ、素足の場合は靴底の厚さに相当するものを加えた長さと考えて良く、長さの許容差は1-1.5cm以内程度が身長に合った適切なものとされた。

出典

  1. ^ How ski is made”. How Products Are Made. Advameg Inc.. 2021年1月23日閲覧。
  2. ^ Seth Masia (March 2004). “Milestones and Detours in Ski Design”. Skiing Heritage Journal: 18-19. ISSN 1082-2895. https://books.google.com/books?id=_7YDcDEqBcEC&pg=PA18. 
  3. ^ a b c この記述内容は「シュプールNo.47 2019年10月号」著者:北海道スキー指導者協会、印刷発行:株式会社正文社 p.94-115より参照した。
  4. ^ Understanding Ski Rocker”. REI. 2021年1月23日閲覧。
  5. ^ スキーチューンナップの作業工程より、2019年2月1日閲覧。
  6. ^ 小賀坂スキーの仕上げ・チューンナップより、2019年2月1日閲覧。


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