スキージャンプ 競技場

スキージャンプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/15 06:07 UTC 版)

競技場

オリンピックジャンプ競技場 (長野県白馬村)
大倉山ジャンプ競技場 (北海道札幌市)

ジャンプ競技場をシャンツェと呼称することがあるが、これはドイツ語 (Schanze) である。発祥の地であるノルウェー語では、バッケン (bakken) と呼び、ジャンプ台記録をバッケンレコードと呼称するのはこれに由来する。

ジャンプ競技場は、大きく分けて、

  1. 助走路 (アプローチ、インランとも)
  2. 踏切台 (カンテ)
  3. 着地斜面 (ランディングバーン)
  4. 減速区間 (ブレーキングトラック、アウトランとも)

他に、審判台 (ジャッジタワー)、コーチングボックス等の付帯施設からなる。

助走路のシュプールは、かつてはテストジャンパーが滑って付けていたが、近年は機械等で溝を成形してレール状にしている。

踏切台は、よく上向きであるとの誤解を受けるが、実際は下向きに10度前後の勾配が付けられている。上向きであると、踏み切ったときに後方へのモーメントが発生し、宙返りしてしまうためである。このような誤解は、下からカンテを見ると上向きに見えることや、フリースタイルスキーで使用するジャンプ台 (キッカー) が実際に上向きで作られている事から混同されているものと思われる。

サマージャンプの場合、セラミック製のレールを使用した助走路とひも状のプラスチックを敷き詰めたランディングバーンで構成されたサマー台で競技が行われる。

2008年現在、日本は、ノーマルヒルとラージヒルの双方の正式競技場 (シャンツェ) を有する場所は、冬季オリンピック会場だった、長野県白馬村白馬ジャンプ競技場)と、北海道札幌市しかない(但し現在白馬ジャンプ競技場のノーマルヒルはFISの公認を外れている[1][リンク切れ])。札幌市では、ノーマルヒルが「宮の森ジャンプ競技場」、ラージヒルは「大倉山ジャンプ競技場」である。

シャンツェごとに形状や条件が異なるため、同一の会場でも大会毎や一試合内でも各トライアル毎に降雪や風向きといった天候条件が異なり、気温や選手の使用状況により刻一刻の助走斜面の雪質の変化などがあるため、共通の記録は設定できない。そのため、それぞれの競技場での「バッケンレコード/ヒルレコード(最長不倒記録)」といった形で、最高記録が認定される。

2004年に開催された国際スキー連盟の総会にて、競技規則中のサイズの分類方法が変更された。従来はK点までの飛行換算距離で分類されていたが、変更によりL点 (着地地点の終点=飛行曲線との関係でこれ以上飛んだら危険と判断される点) までの飛行換算距離 (ヒルサイズHS) で分類されることになった。

  • フライングヒル 185m以上
  • ラージヒル 110m以上
  • ノーマルヒル 85m~109m
  • ミディアムヒル 50m~84m
  • スモールヒル 20m~49m

競技規則により、ラージヒルでは、着地終点区間のU点とテークオフ先端 (カンテ) の垂直距離 (zu) が88mを超えるものは公認されないため、実質上HS=145mが最大である。したがって、 ドイツヴィリンゲンミューレンコップジャンプ競技場ドイツ語版HS=145mが、ラージヒルのサイズとしての規則上の最大値である。


注釈

  1. ^ K点は、かつては「これ以上飛ぶと危険」を示す目安地点(極限点、ドイツ語: Kritischer Punkt)を意味していたが、競技レベルの向上に伴い「ジャンプ台の建築基準点」(ドイツ語: Konstruktionspunkt)の意味に変化した。2004-2005年シーズンから「これ以上飛ぶと危険」な目安は「ヒルサイズ」で表される。1995年頃からヒルサイズ導入までの間は「ジュリーディスタンス」が用いられた。ヒルサイズの位置は着地面の接線の角度で定められ、ノーマルヒルで31度、ラージヒルで32度である。旧ジュリーディスタンスは30度前後であった。
  2. ^ 踏切時の速度はラージヒルでおよそ90km/hで、そこから最適な踏切点数十センチ以内で踏み切る動作を求められる。0コンマ数秒のずれが数メートルの差につながるといわれている。
  3. ^ 1988年12月28日のW杯札幌大会の中継における笠谷幸生の解説による。

出典

  1. ^ FIS競技用品規格&コマーシャルマーキング規格 2014/2015” (PDF). 2015年1月23日閲覧。
  2. ^ ソチ五輪でジャンプ女子実施!フィギュア団体も- Sponichi Annex 2011年4月6日
  3. ^ ジャンプ女子強化に本腰=人気上昇には課題も - 時事通信
  4. ^ Biographies”. 国際スキー連盟. 2015年1月23日閲覧。
  5. ^ 高梨沙羅の今季8勝で注目 「女子ジャンプ」の競技人口は? Archived 2014年2月11日, at the Wayback Machine.
  6. ^ SAJデータベース[リンク切れ]






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