ジャガー・XJ XJ40系

ジャガー・XJ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/21 18:31 UTC 版)

XJ40系

ジャガー・XJ 40系
2.9
4.0 ソブリン
デイムラー 4.0
ボディタイプ 4ドア・セダン
エンジン 直列6気筒DOHC3,239 cc[注釈 6](XJ6 3.2/XJ6 3.2ソブリン)[3]
直列6気筒DOHC3,980 cc(XJ6 4.0/XJ6 4.0ソブリン)[3]
駆動方式 FR
変速機 4速AT/5速MT
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン/ 後:トラバースリンク・ウィッシュボーン
全長 4,990 mm[4][3]
全幅 1,830 mm[4][3]
全高 1,360 mm[3]
ホイールベース 2,870 mm[3]
車両重量 1,680kg/1720kg
先代 ジャガー・XJ シリーズIII
後継 ジャガー・XJ X300系
-自動車のスペック表-
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開発

ビッグマイナーチェンジを続け進化を続けたものの、1968年より作り続けられてきたために「メルセデス・ベンツ・Sクラス」や「BMW・7シリーズ」などの「Fセグメント」のライバルに比べて技術的に旧態依然となってきたことに対処すべく、ジョン・イーガンの元で1980年代初頭から開発が開始されていた、社内で「XJ40」と呼ばれる新型「XJ」は1986年9月に発表され、10月にはヨーロッパ市場で販売が開始された。

なお「XJ40」は、発表前年の1985年2月に逝去した創業者のウィリアム・ライオンズが、デザインやメカニズムを承認した最後のジャガーとなった[1]

エンジンは、長年使用され旧態依然となった「XK」から、燃費とパワーの向上とともに、工作精度の向上を狙って新たに設計された、新世代の直列6気筒エンジンである「AJ6」に変更された[2]。なお「AJ6」は、「XJS」シリーズや、ジャガーと同時期にフォード・モーター傘下となったアストンマーティンの「DB7」にも使用された。

ボディデザインはライオンズの監修のもとで完全に一新され、空気抵抗が大幅に改良された。さらにボディパーツ数が25%も減らされることで、工作精度の向上やかねてから問題視されていたの低減、そして軽量化を実現した。なお、ソブリン系にXJシリーズ初の角形ハロゲンヘッドライトが採用され、丸形もソブリン系にオプションで用意されるとになった。なお当初のデザインでは丸形ヘッドライトのみであった。

室内空間が旧来に比べて拡大され居住性が格段に上がっただけでなく、温度調節式の自動エアコンやCDチェンジャー付きのステレオなどが用意されたものの、コノリーレザーや高品質なウールのシート、ウッドが贅沢に奢られたインテリアパネルなどの、旧来のジャガーが持っていた世界観と雰囲気はそのまま引き継がれた。

なお「XJ40」の開発が始まった1980年代前半のジャガーは、国有企業の「ブリティッシュ・レイランド」の傘下にあり、ジャガー設計部門は「ローバーのV型8気筒エンジンを使うように」との通達を拒否するためエンジンベイを狭く設計してしまったので、当初エンジンのラインナップは直列6気筒のみでV型12気筒は用意されず、このためXJ12はシリーズIIIボディのまましばらく製造が続行されることになってしまった[1]

前期型(1986年-1989年)

XJR

エンジンは2種類が用意された。3.6Lモデルは内径φ91 mm×行程92 mm、DOHC、圧縮比9.6、3,590ccで221hp/5,000rpm[1]。2.9Lモデルは内径φ91 mm×行程74.8 mm、SOHC、圧縮比12.6、2,919cc、165hp/5,000rpm[1]。なお、セッティングが異なる日本仕様の最高出力は圧縮比8.1、180PS/4,750rpmm、トルクは30.5kgm/3,750rpmである[5]

トランスミッションは4速ATまたは5速MT。ATは「Jゲート」と呼ばれるジャガー独自のセレクターのデザインが採用された。なお日本ではATのみの設定であった。タイヤは「XJR」を除く全モデルでエイヴォン及びミシュランが製造した専用のランフラット・タイヤが用意された。「3.6ソブリン」と「デイムラー・3.6」にはエアーサスペンションがオプションで用意された。

丸形ヘッドランプに電動シート、ウォールナットのインテリアが用意されたベーシックモデルの「2.9」と「3.6」、角形ヘッドランプにアルミホイール、電動コノリーレザーシートや後部座席用エアコンが標準装備され、窓周りにクロームが奢られた「2.9ソブリン」と「3.6ソブリン」、サスペンションが強化され、専用デザインのアルミホイールが奢られた「3.6スポーツ」が用意された。

さらに3.6リットルエンジン搭載モデルには、デイムラー伝統のフルーテッド(溝付き)グリルやクロームメッキのサイドモール、上質なコノリーレザーシート、ピクニックテーブルなどが備わり、後席が2人乗りとなった「デイムラー・3.6」が用意された。

なおアメリカ市場向けのモデルは、全グレードが角形ヘッドランプのみとされ、さらにマーケティング上の理由から、ウェストラインに装着するクロームメッキとゴムのサイドモールがオプションで用意された。また同国では、商標登録上の問題(「ダイムラー・ベンツ」との混乱を避けるため)により「デイムラー」のブランドが使用できないため、「バンデン・プラ」ブランドで販売された。

1988年5月には、「トム・ウォーキンショー・レーシング」(TWR)とのジョイントベンチャーである「ジャガー・スポーツ」の手によってエンジンをチューニングし足回りを強化した上に、控えめなエアロパーツや空力を意識した特製のアルミホイールを装備した「XJR」が追加された。なお「XJR」には5速MTのみが用意され、またスポーティーさを演出することを目的に、丸形のヘッドランプのみが用意された。

後期型(1990年-1994年)

インテリア(4.0ソブリン)
新デザインのアルミホイール
デイムラー・ダブルシックス

1989年末より販売が開始された1990年モデルにおいて、「XJ40」がデビューして以来初の大幅なマイナーチェンジを行なわれた。

内外装の変更は最小限にとどめられたものの、発売翌年の1987年に、ジャガーがアメリカ合衆国のフォード・モーターに買収されたこともあり、さらなる信頼性と品質の向上と工作精度の向上に重点が置かれた。

ノーマルとスポーツの切り替え機能が用意された新型の電子制御トランスミッションや、集中ドアロックや電動シート、エアコンなどの電装系を中心に大掛かりな変更を受け信頼性が著しく向上した。

また3,590ccエンジンは、内径φ91 mmのまま行程を102mmに延伸して3,980cc、225PS/4,750rpm[6][7]、または235hp/4,750rpm[1]に強化された。トルクは38.4kgm/3,650rpm[6][7]となった。

1991年モデルより、かねてからパワー不足が訴えられていた2,919ccエンジンが、DOHC4バルブ化とともに内径φ91 mmのまま行程を83mmに延伸して3,239cc、200hp/5,250rpm[1]または200PS/5,200rpm[6][7]、30.2kgm/3,900rpm[6][7]に強化された。

なお同年には、他のタイヤとの互換性が無く、しかも高価であることからかねてから不評であった専用のランフラットタイヤが廃止され、併せてベースモデルのホイールデザインが新しくなった。またベースモデルのシートがウールと本革のコンビに変更された。

1993年より、アメリカ以外の市場でもエアバッグが全グレードに標準装備されるとともに、新しいデザインのアルミホイールが全モデルに装着された。

V型12気筒モデル(1993年-1994年)

1993年[1]3月[8]には、フロント部分の多くを設計し直す形[8]でエンジンコンパートメントを大改修[1]して、従来の5.3Lから6.0L[8]に拡大されたV型12気筒エンジンを搭載したXJ40ボディの「XJ12」が、サロン・アンテルナショナル・ド・ロトで発表[1]された。このエンジンは内径φ90 mm×行程78.5 mm[7]で5,993 cc[注釈 7]、310PS/5,350rpm、47.2kgm/3,750rpmである[7]。コードネームはXJ81

さらに同年秋には、ロングホイールベース版の「デイムラー・ダブルシックス」も追加され、日本では「デイムラー・マジェスティック」として販売され、シリーズIIIボディのダブルシックスが製造中止となった[1]1994年7月に生産が停止され、ビッグマイナーチェンジ版の「X300」に引き継がれた。




  1. ^ 3.14159×(8.3/2)×(8.3/2)×8.6×6=2791.87134279。
  2. ^ 3.14159×(9.21/2)×(9.21/2)×10.6×6=4237.07245467。
  3. ^ 3.14159×(9/2)×(9/2)×7×12=5,343.84459。
  4. ^ 3.14159×(8.3/2)×(8.3/2)×10.6×6=3,441.14374809
  5. ^ High Efficiency、高効率の意。
  6. ^ 3.14159×(9.1/2)×(9.1/2)×8.3×6=3,238.93059535。
  7. ^ 3.14159×(9/2)×(9/2)×7.85×12=5,992.7400045。
  8. ^ 3.14159×(9.1/2)×(9.1/2)×8.3×6=3,238.93059535。
  9. ^ 同時にデイムラー・ダブルシックスも「X300」系ボディの「X305」となった。
  10. ^ 3.14159×(9.1/2)×(9.1/2)×8.3×6=3,238.93059535。
  11. ^ デイムラーも過給器付きV型8気筒を搭載したスーパーV8となった。
  12. ^ NAモデルはZF製、スーパーチャージャーモデルはメルセデス・ベンツ製。
  13. ^ 本国及びアメリカでは「X300」系発売当初から設定があったグレードである
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo 『ワールド・カー・ガイド12ジャガー』pp.97-112「近年のジャガー」。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『ワールド・カー・ガイド12ジャガー』pp.165-185「プロダクション・モデルのスペック」。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『輸入車ガイドブック1997』p.222。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『輸入車ガイドブック1997』p.93。
  5. ^ 80年代輸入車のすべて- 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 52. ISBN 9784779617232. 
  6. ^ a b c d 『輸入車ガイドブック1993』p.222。
  7. ^ a b c d e f 『輸入車ガイドブック1994』p.222。
  8. ^ a b c 『輸入車ガイドブック1994』p.86。





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