ジブラルタル 地形

ジブラルタル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 18:01 UTC 版)

地形

領域は南北に細長く伸びた半島になっており、南北に5km、東西に1.2kmある[5]。東は地中海、南はジブラルタル海峡、西はジブラルタル湾に面する。北側は砂質の低地でスペイン本土のアンダルシア州ラリネア・コンセプシオンと繋がり、いわゆる陸繋島となっている[2]

半島の南端はエウローパ岬(ヨーロッパ岬)と呼ばれ、そこからジブラルタル海峡をはさんだアフリカ側にはスペイン領セウタがある。一方、北側の砂州にはジブラルタル国際空港があり、その北に幅800メートルの中立地帯(イスモ、Istmo[6])が設けられて国境を成し[2]、さらにその北がスペイン本土の町ラ・リネアである。ジブラルタルとスペインの国境にはフェンスが設けられている。

ジブラルタルの地図
ジブラルタルのザ・ロックと手前のラリネア市街
北西からの眺め

ザ・ロック

半島の大半を占める、石灰岩頁岩からなる岩山は「ザ・ロック」と呼ばれる。東側は事実上登攀不能の崖であり[7]、西側も山頂付近は急峻だが、中腹以下は比較的緩やかな傾斜となって市街地が階段状に連なり[5]、さらに下った沿岸部分は港湾施設が大部分を占める[5]。最高峰(ターリク山)は岩山の南側頂点にあたるオハラ砲台英語版跡の展望台で、海抜426メートルある。北側頂点(トップ・オブ・ザ・ロック、海抜412メートル)には麓の市街からロープウェーで登ることができ、徒歩によるつづら折りのトレッキングコースもある。こちらも展望台があり、レストランなどもある。

石灰岩地質によって形成された鍾乳洞が山の中腹にある。鍾乳洞は見学ができ、見学コースの途中には、世界的にも珍しい鍾乳洞の空間を利用したコンサートホールがあるが、自然の鍾乳洞に手が加えられていることから、自然保護の観点から賛否がある。

また、岩山を掘って作られた主に軍事目的の地下通路、弾薬庫、貯蔵庫などもあり、掘り出された土砂は北西岸の埋め立て(飛行場建設など)に使われた[2]

ジブラルタルには自然の湧水源や河川がなく[5][7]、夏季に全く雨が降らないこともしばしばであるため[7]、東側山麓の斜面に岩山そのものを穿った雨水用の貯水槽が作られている[5]。上水はそこから集めた水、ポンプでくみ上げた水、海水を蒸留した水をブレンドして供給されている[5](非飲料用としては海水も利用されている[5])。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l 世界大百科事典』 第12巻(改訂新版)、平凡社、2007年、pp.511-512頁。 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 日本大百科全書』 第11巻(第2版)、小学館、1994年、pp.147-148頁。 
  3. ^ 6 of the World's Most Worrisome Disputed Territories” (英語). Science (2014年3月29日). 2023年7月9日閲覧。
  4. ^ 原誠、エリンケ・コントレラス、寺崎英樹『クラウン西和辞典』三省堂、2005年。ISBN 978-4385122014 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ブリタニカ国際大百科事典』 第8巻(第3版)、TBSブリタニカ、1995年、pp.468-469頁。 
  6. ^ a b c d e f g h i j 碇順治(編) 編『スペイン』河出書房新社〈ヨーロッパ読本〉、2008年、pp.295-297頁。ISBN 978-4309619040 
  7. ^ a b c d e f 田辺裕(監) 編『イベリア』朝倉書店〈図説大百科 世界の地理 10〉、1997年、p.1329頁。ISBN 978-4254169102 
  8. ^ a b c d e f 川成洋(編)、坂東省次(編) 編『スペイン文化事典』丸善、2011年、pp.672-673頁。ISBN 978-4621083000 
  9. ^ a b 立石博高(編) 編『スペイン・ポルトガル史』山川出版社〈新版 世界各国史 16〉、2000年、pp.319-320頁。ISBN 978-4634414600 
  10. ^ EU Referendum Results BBC News 2018年10月10日閲覧。
  11. ^ スペイン、英領ジブラルタルの共同統治を検討へ”. ロイター (2016年6月24日). 2016年6月26日閲覧。
  12. ^ [1]
  13. ^ a b c d e Katell Abiven (2013年8月14日). “繁栄を謳歌する英領ジブラルタル、不況下スペインの南端で”. AFPBB News. 2013年9月2日閲覧。
  14. ^ a b 編者 編『スペイン・ポルトガルを知る事典』(新訂増補版)平凡社、2001年、p.452頁。 
  15. ^ 開票結果、まず英領ジブラルタルで判明 残留派96%”. 日本経済新聞社 (2016年6月24日). 2019年1月6日閲覧。
  16. ^ a b 『地球の歩き方 スペイン 2010-2011』ダイヤモンド社、2010年、pp.356-357頁。ISBN 978-4478058107 
  17. ^ a b ブレグジット:ジブラルタルと英国の寓話”. Japan Business Press (2017年3月8日). 2019年1月6日閲覧。
  18. ^ Congress decisions bring Gibraltar on board”. UEFA.com (2013年5月24日). 2013年6月26日閲覧。FIFAがコソボとジブラルタルの加盟を承認、W杯予選出場可能に
  19. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3087082
  20. ^ a b c d e Gibraltar Cricket Association 国際クリケット評議会 2023年9月29日閲覧。






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