ジェムズガン ジェムズガンの概要

ジェムズガン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 15:34 UTC 版)

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機動戦士Vガンダム > ジェムズガン

作中の軍事勢力の一つ「地球連邦軍」の主力量産機で、『機動戦士ガンダム』の当時(宇宙世紀 (U.C.) 0079年)における主力機「ジム」や、以降の連邦製量産機の系譜に属する機体。『Vガンダム』の当時(U.C.0153年)では旧式化が進みつつあり、敵対勢力である「ザンスカール帝国軍」の新型MSに圧倒される場面が多い。

当記事では、宇宙用の発展機「ジャベリン」、小説版『Vガンダム』に登場する次世代機「ジェイブス」についても記述する。

デザイン

メカニックデザインはジェムズガン、ジャベリンともに石垣純哉[1]。ジェムズガンは当初からイメージが固まっていたため、初期案からの変化が少ない[2]。なお、連邦軍の重戦闘型MSという案も考えられていたようである[2]

逆に、ジャベリンは初期案ではバックパックにオーバーハングキャノンを装備したデザインであった[2]。宇宙用MSとしてシルエットが当たり前のものとなってしまうことに苦慮していたとき、『Vガンダム』の監督である富野由悠季のアドバイスによって生まれたという[2]

これらの機体は本放送開始時には詳細な設定が固まっていなかったが、本放送中の1993年にバリエーション企画『V-MSV』上において開発背景などが定義された[3][4]。設定は、これまで『機動戦士ガンダムF90』や『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』を含む『F91MSV』などを設定していたバンダイ出版課メディアワークスへ移管されたことにより、新たに伸童舎を中心としてまとめられた[5][6]。『V-MSV』上では企画元が変わったことで『F91』からの設定の連続性について語られることは多くなかったが、後年に双葉社から発行された『モビルスーツ全集 RGM-79ジムBOOK』ではシルエットフォーミュラプロジェクトとの関係について言及する説を提唱したり[7]、ディアゴスティーニの資料では本系列はシルエットフォーミュラとは別の系統で開発されたものとする説を提唱する[8]など、各媒体で整合を図る動きもある。

設定解説

諸元
ジェムズガン
JAMESGUN
型式番号 RGM-119
全高 14.7m
本体重量 7.1t
全備重量 16.3t
装甲材質 ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
出力 3,860kW
推力 22,270kg×3
(総推力)66,810kg
武装 バルカン砲×2
ビーム・サーベル×2
ビーム・ライフル
ビーム・シールド
搭乗者 地球連邦軍一般兵
ハリソン・マディン
バーンズ・ガーンズバック
ミッチェル・ドレック・ナー
アラン
その他 アポジモーター×16

アナハイム・エレクトロニクスが開発したヘビーガンの後継機[9]。U.C.0119年に正式採用され[10][9]、連邦軍勢力下に配備された[11][12][注 1]

本機は旧式化しつつあったヘビーガンの後継機として、同程度の性能を維持しつつメンテナンスの簡素化を目標とした[17]、RGM系列の延長線上に位置する量産型汎用MSであった[10]。しかし、開発中に台頭したサナリィフォーミュラ計画の影響を受け、シルエットフォーミュラ計画で得たノウハウを援用し[7]、重力下用(地上用およびコロニー内)と宇宙用の機種を開発するという路線変更を経た結果、地上用機として完成することとなった[10]。このため、ロールアウト時期は、U.C.0122年に完成したRXF-91よりも早い[18]ものとなっている。

完成当初は地上用としての運用思想が定まっておらず[10]、初期生産型が月面のグラナダ基地に配備されていたほか、量産された機体の一部は宇宙艦隊にも配備された[19]。基本設計についてはジェガンを踏襲している部分が多い[10]が、これはU.C.0120年代になっても使用され続けた同機に対する連邦軍関係者の信頼の表れとの見方がある[10]。しかし、本機に搭乗した連邦軍兵士には、ジェネレーターの出力不足を理由に「戦闘用MSではなくモビルワーカー(作業機)である」と揶揄[10]されるものであった。その上、生産が遅れていたため、U.C.0123年のクロスボーンの蜂起時において参戦したのはわずか7機であり、それも月面の施設防衛であったために、実質的にはコスモバビロニア建国戦争に参戦することができなかった[14]形になる。このため、カタログスペックとしてはU.C.120年代の“標準レベル”(クロスボーン・バンガードデナン・ゾンと互角)に達してはいるものの[14]、実戦における評価は定まらず[10]、「開発スタッフの現状認識の甘さを象徴した機体」と評されることもある[20]

しかしながら、目立った故障もなく気象条件の厳しい地区(アフリカ、南米、北極など)でも若干の改造で運用できるという利点があり、制式採用から30年以上経過したU.C.0153年においても各地の連邦軍駐屯地で高稼働率MSとして重宝されており[10]、汎用性のある武装によって状況対応能力には優れている[21]など、量産機として優秀と言える面もある。とは言え、U.C.150年代においてはザンスカール帝国軍やリガ・ミリティアの新型機の前には旧式化が目立ち[11]、格闘戦などあらゆる対MS戦闘で後れを取った[21]ため、第一線から退かされて作業機械や輸送部隊の警備用として使われることが多かった[20]。なお、本機はジャベリンが生産されたことにより、U.C.0150年までに生産を終了している[17]

コックピットは胸部に位置しており、ハッチの開放は中央部にある外側の装甲が上側に収納され、内部側に備わったシャッター式の装甲も同様に、上側へ開く仕組みとなっている[21]。コクピットは連邦軍の量産機の流れをくむ[21]標準的な全天周囲モニター・リニアシートを採用しており、非常時にはイジェクションポッドとして機能する[22]。操縦系統はヘビーガンと同じくスティックタイプとなっており、乗員を保護するためのエアバッグ兼用のエアベルトを備える[22]。これは、ジャベリンやガンイージに搭載されているものと同型である[22]

武装

ビーム・ライフル
標準的な射撃武器。本機の主兵装で量産MS用として簡略化されており、サブグリップやオプション装備などは持たない[21]。その単純な構造により整備性や生産性は非常に優れていたものと考えられるが[21]、出力が低く、リガ・ミリティアの戦術担当官からは、使い物にならないとして相手にされなかった[23]
ビーム・サーベル
腰のサイドアーマーに収納された近接戦装備[24][15]。リガ・ミリティアのMSと共通の規格となっている[23]
頭部バルカン砲
連邦軍量産機に伝統的に搭載されている2門の近接戦闘用兵装。
ビーム・シールド
左腕部に装備している防御兵装。映像化された地球連邦軍の量産型MSとしては初めて搭載された。
メガ・ビーム・バズーカ
U.C.0120年代にサナリィで設計され、クラスターガンダムで使用されていた装備。U.C.0150年代においては連邦軍MSの使用する標準的なオプション兵装とされる[23]。設定のみ存在し、劇中では未使用。
アンカーシールド
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』に登場した兵装兼作業機器。釣り針のようなフックがワイヤーに接続されて伸縮自在となっているほか、ある程度の強度を持つことからシールドとしても使用可能。
爆雷
『機動戦士Vガンダム』第36話に登場。地上を走行するモトラッド艦隊に対し、上空から散布して爆撃を行った。

劇中での活躍

テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』
第11話ではリガ・ミリティアに協力する部隊として登場。スコップを使用しての旧ベチエン飛行場の整備のほか、引っ越し公社の所属に偽装したリガ・ミリティアの輸送機の護衛を務める。しかし、ドゥカー・イク少佐率いるガッダール隊の襲撃を受け、パイロット練度の低さもあってまったく相手にならず、全機が撃破される。第36話ではモトラッド艦隊の足を止めるべく爆雷隊として2小隊が爆雷散布に参加する。人質を使いV2ガンダムに攻撃を仕掛けたゴズ・バールゾリディアに切りつけるも一蹴され、別の1機はカテジナ・ルースゾリディアに撃墜される。大気圏付近でのエンジェル・ハイロゥ攻防戦にも参加する。
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム
宇宙港を防衛していた本機部隊が、死の旋風隊によって全滅させられる。外伝作品「猿の惑星」では、ハリソンの僚機としてジャベリンとともに登場する。『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』ではヘビーガンに代わって配備されており、ハリソンらが搭乗する。続編漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』でも、リア・シュラク隊に協力する形でリガ・ミリティア所属機が登場する。『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』では、連邦軍の特殊部隊「キュクロープス」において同組織用に頭部を改装した本機が運用されている。

バリエーション

ジェムズガン初期量産型

U.C.0120年〜0125年に配備された初期型。この時点ではヘビーガンやGキャノンと同じくライトグリーンを基調とするカラーリングが施され、ビーム・シールドは未装備。生産された7機すべてがグラナダ守備隊に配備される。U.C.0123年のコスモ・バビロニア建国戦争にも参戦する[10]

ジェムズガン宇宙艦隊所属機

ジャベリンの配備が行き渡るまでに、ヘビーガンとともに宇宙艦隊に配備されていた機体。スラスターとアポジモーターを換装した機体の生産が行われていたともされる。伝統のジムカラーに塗装されていたが、少数が艦隊儀礼用の機体とされていただけである[10]

コロニー守備隊機

各サイドの防衛用に配備されていた機体。U.C.0130年頃まではライトグリーンを基調とした塗装だったが、それ以降はかつてのコロニー内戦闘用のRGM-79Gに採用されたカラーリングに変更された[10]

ほかにもカラーリングのバリエーションとして、インド地区配備機やアマゾン地区守備隊が存在する。アニメ本編に登場する機体のカラーリングは、「当初はヨーロッパ地区配備機の仕様で、U.C.0153年時点では地球上に配備された機体のほとんどがこの仕様に統一されている」となっている[10]

砂漠用ジェムズガン

型式番号はRGM-119D。アフリカ戦線の配備機を改修した性能向上型。現地仕様の改造機体であるが、制式番号が別に与えられている。

一般機は通常機体と外観の差異が少ないが、一部の機体は上半身を中心に大幅に改装されている。当時の連邦軍では珍しい実戦部隊であるAAAAフォーアベンジャー隊の所属機で、リガ・ミリティアのブルーバード隊の協力を得てベスパの進軍を食い止める。のちにリガ・ミリティアに参加する連邦軍のロベルト・ゴメス大尉も過去にAAAA隊に所属しており、本機に搭乗する[10]

ジェムズガン改

型式番号はCRGM-119。漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』に登場する機体。本作の舞台であるU.C.0169年には技術退行が生じているため、これに合わせてデチューンの上で生産されている。

地球連邦軍のキュクロープス隊で運用される同隊で運用中のほかの機体と同様、メインセンサーが単眼のものに換装されている。ジェムズガンの生産ラインを用いて製造されているが、技術レベルの後退によって性能が低下している面もある。また、同様に技術レベルの後退からビーム兵器の信頼性が著しく低下しているため、武装は実弾系のものとなっている。しかし、連邦の技術が再び発展してビームライフルを使えるようになったため、戦闘力は向上した。

ショートショルダー

型式番号はRGM-119[SS]。漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』に登場する機体で、現地改修機。「ショートショルダー」は、市街地の戦闘を想定して左右ともに切り詰められた肩アーマーにちなんで兵士たちにつけられた愛称である。

コロニー内の市民制圧に重点を置いて改修されているため、頭部は下方向からの攻撃に備えて顎部の装甲が強化され、手甲には対人用のバルカン砲を内蔵している。また、市街戦用としては過剰な威力のショットガンを備えていることからも、本機の用途は治安の維持より反連邦運動を行う市民への恫喝が目的とされている。

なお、本機の改修には貧困対策や難民対策に使用されるべき予算が流用された。

ショートショルダー改

型式番号はCRGM-119[SS]。漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』に登場する機体で、キュクロープスの量産型モビルスーツ。アーノルド・ジルベスターによる新体制に移行した同組織の主力機である。

ジェムズガンの派生機であるショートショルダーの生産ラインを復旧し、ジェムズガン改を改修した機体となっている。採用した理由はショートショルダーが通常のジェムズガンと比べ、防弾性能と冷却効率に優れていたためである。基本的にはショートショルダーと同じだが、頭部センサーはキュクロープス機共通の単眼センサーとなっており、機体カラーはジェムズガン改と同じである。武装に関してもビーム兵器こそ標準装備していないものの、実用性を重視した新武装が追加されている。




注釈

  1. ^ 本機をジェガンやヘビーガンから続く地球連邦軍汎用量産機の系譜に位置付けられ[13][14]、U.C.0150年代において地球圏最多の配備数を誇る[15][11]。なお、劇中に登場した当初は単に「ジャベリンと並ぶ地球連邦軍の主力MS」との設定であった。[16][15]
  2. ^ 134,060kg(23,830kgx2、21,600kgx4)とした資料もみられる[25]
  3. ^ ジェムズガンと異なり、当初から「連邦宇宙軍で採用された宇宙用主力機」として設定されている[27]
  4. ^ Gジェネレーションでは演出として再現されていた

出典

  1. ^ a b c d NT100% Vガンダムvol.1 1994, p. 54.
  2. ^ a b c d NT100% Vガンダムvol.2 1994, p. 64.
  3. ^ VガンダムMSVハンドブック1 1993.
  4. ^ VガンダムMSVハンドブック2 1994.
  5. ^ VガンダムMSVハンドブック1 1993, p. 33.
  6. ^ MSVセカンドジェネレーション 2019, p. 96-106.
  7. ^ a b モビルスーツ全集RGM-79ジム 2010, p. 83.
  8. ^ パーフェクトファイル No.17 2012, p. 17-26.
  9. ^ a b ガンダム辞典v1.5 2009, p. 324-325.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n VガンダムMSVハンドブック1 1993, p. 13-17.
  11. ^ a b c 1/144ジェムズガン 1993, p. 組立説明書.
  12. ^ ガンダム大図鑑1 ザンスカール戦争編上巻 1994, p. 79.
  13. ^ 1/144ジェムズガン 1993, p. ディスプレイカード.
  14. ^ a b c グレートメカニック量産型MS全集 2016, p. 48-49.
  15. ^ a b c B-CLUB 92 1993, p. 99.
  16. ^ B-CLUB 92 1993, p. 9.
  17. ^ a b c d e f g h VガンダムMSVハンドブック2 1994, p. 20-22.
  18. ^ ガンダム大図鑑1 ザンスカール戦争編上巻 1994, p. 61.
  19. ^ VガンダムMSVハンドブック2 1994, p. 22.
  20. ^ a b ガンダム辞典v1.5 2009, p. 324.
  21. ^ a b c d e f パーフェクトファイル No.67 2013, p. 67-8.
  22. ^ a b c パーフェクトファイル No.47 2012, p. 47-10.
  23. ^ a b c VガンダムMSVハンドブック1 1993, p. 26.
  24. ^ a b ラポートデラックス 機動戦士Vガンダム大事典 1994, p. 144.
  25. ^ ガンダム辞典v1.5 2009, p. 326.
  26. ^ a b c d e f VガンダムMSVハンドブック2 1994, p. 21.
  27. ^ a b c d e f g h B-CLUB 93 1993, p. 99.
  28. ^ 週刊 ガンダム・モビルスーツ・バイブル 第20号 2019, p. 20-25.
  29. ^ a b データコレクションVガンダム 1999, p. 12-13.
  30. ^ a b c 1/144ジャベリン 1993, p. 組立説明書.
  31. ^ a b モビルスーツ全集 RGM-79 ジムBOOK 2010, p. 83.
  32. ^ a b c ファクトファイル No.41 2005, p. 41-7.
  33. ^ a b ガンダム辞典v1.5 2009, p. 325.
  34. ^ 機動戦士Vガンダム(3)マリア・リーディング 1994, p. 168.


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