シール (工学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 01:27 UTC 版)
代表的なガスケット
ガスケットは固定された状態で長期間安定に密閉を保つ必要があるため充分な耐熱性・耐圧性・耐薬品性が要求される。固定といえども温度の上下による締め付けボルトの伸縮などによる締め付け力の強弱変化は不可避なので、締め付け圧ゆるみに対する適性(圧縮復元性能)も重要である。
軟質ガスケット
- ゴムガスケット
- ゴムの弾性、復元性を利用したガスケットで施工が容易。ゴム板を切り抜いたり、あらかじめ決められた形に成形したり打ち抜いたりして使われる。10気圧までの低圧用で、温度範囲は-20〜100°C
- ジョイントシートガスケット
- 繊維材料・充填材・ゴムを混合し加熱ロールで圧延して得られたシートを打ち抜き加工したもの。配管用として水・油・酸・アルカリ・蒸気・ガスなどに幅広く使用される。ガスに使う場合10気圧、液体の場合30気圧まで使用可能で、温度範囲は-100〜200°C。
- PTFE打ち抜きガスケット
- PTFEはポリテトラフルオロエチレンまたは四フッ化エチレン(デュポン社の商標であるテフロンの名が半ば通称化している)のことで、耐薬品性が非常に優れた素材。使用目的の形に打ち抜いたものを使用する。弾性や高温での強度等機械的な性能にやや難がある。圧力は10気圧まで、温度範囲は-100〜100°C
- PTFE包みガスケット
- PTFEの耐薬品性とジョイントシートの汎用性を組み合わせたもの。ジョイントシートが液体に触れる側の表面をPTFE膜で包んだ構造。圧力は20気圧まで、温度範囲は-100〜150°C
- Oリング
- Oリングは断面が円形の環状シール。ガスケットとして使用する他、往復運動用のパッキンとしても使われる。素材はニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムが使われる。Oリングは装着用の溝にはめ込んで使用される。シール性が優れている上装着が容易なので油圧・空圧機器や減圧・真空用のシールとして幅広く使われている。素材によって使用温度範囲が定められている。最も温度範囲の広いシリコンゴムの使用範囲は-70〜230°C、安価なニトリルゴムは-15〜120°C。Oリングの耐圧はパッキンとして10気圧、ガスケットとしては100気圧まで。
硬質ガスケット
- 渦巻き形ガスケット
- 渦巻き形ガスケットはV字型の金属薄板の帯と非金属製のクッション材を交互に重ねて渦巻状に巻いた物。高温高圧用ガスケットとして配管や機器に使われる。締め付け力を厳密に管理する必要がある。耐圧はガスで200気圧、液体で400気圧。温度は膨張黒鉛テープをクッション材としたタイプでは大気中で450°C、酸素の無いところでは800°Cまで使用可能。
- メタルジャケット形ガスケット
- セラミックファイバーなどの耐熱クッション材を金属薄板でくるんだ構造。外板が平面のものと波状のものがある。熱交換器・圧力容器・発電機等に使われる。圧力は液体で400気圧まで。温度は皮膜金属とクッション材によるが、銅を使用した場合600°Cまで、特殊鋼とセラミックファイバーを組み合わせたタイプでは1300°Cまで使用可能。
- メタルガスケット
- 高温・高圧・高シール性を求められる条件に使用される。鋼・ステンレス鋼・銅・アルミニウム・チタン・特殊合金などを使用条件に応じて選定する。装着に際し大きな締め付け力が必要。シール断面が板状のプレーン型や円形の丸型のほかに三角形のデルタ型や凸レンズ状のレンズ型など多種の形状がある。使用に際して、材質は接触する本体よりやわらかいものを選ぶ必要がある。耐圧は断面形状、温度は使用する金属の種類による。自動車などの内燃機関に多用される。
- メタル中空Oリング
- チューブ状の金属をリング状に整形して両端を溶接したもの。材質はステンレス鋼が多い。高温のエンジン、高圧の射出整形機などに使われる。
その他のガスケット
- シールテープ
- PTFE(四フッ化エチレン樹脂、テフロン樹脂)のテープで、家庭用の水道を含む一般配管のねじ部分のシールに使用される。テープがネジの隙間に充填されることでシールされる機構。
- 液状ガスケット
- 低圧用配管の漏れ防止に使われる。チューブに入った白い粘い液状のものが市販されている。施工後固化するものが多い。同様のものが家屋外壁のひび割れ補修用にも使われる。
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シールテープの巻き方、ネジ一山を残してネジ締め付け方向と同じ方向へ巻く、テープ幅10mm
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シールテープ施工例
- ^ 吉村恒(監修)『トンネルものがたり』山海堂 (2001/12) ISBN 4-381-01437-5
- ^ アスベスト使用・製造を全面禁止へ 厚労省、3月から 朝日新聞
- ^ アスベスト全面禁止(2012年) 厚生労働省
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