ショックアブソーバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 08:03 UTC 版)
寿命と交換
ショックアブソーバーはオイルとガス(主に窒素ガス)が封入されており、動作の際にはシリンダー内に高い圧力が発生するため、ピストンロッドと外筒の間には高い気密性が要求される。しかし、ピストンロッドに施されたクロームメッキの傷や錆によるシールの損傷や、長期の使用によるシールの摩耗などで気密性が低下する場合がある。気密性が低下するとオイルが僅かずつ漏れだし、オイルにかかる圧力が抜けて正常な減衰力を保つことができなくなる。また、オイルがバルブを通過する際にはオイルの構成成分が僅かずつせん断されるため、長期の使用で次第に粘度が低くなり流体抵抗すなわち減衰力が低下する。こうした減衰力の喪失は、俗に「ショックが抜ける」と表現されることが多い。
アブソーバーメーカーによって様々であるが、メーカーは100万回から数百万回程度の伸縮回数に対して品質保証を行っている場合が多い。伸縮回数を走行距離に置き換えて、「20000 km走行で最低1000万回は動作する」とする例もある[18]。
減衰力が極端に低下するとサスペンションスプリングの周期振動を減衰できなくなり、車体が大きく上下動し、その揺れが収束するまでに時間がかかる。停車中に車体の四隅に体重をかけて強く押し下げると反発による車体の揺動が1度で収まらず、数回以上フワフワ動き続ける場合もある。結果的に乗り心地が悪化し、旋回時や加減速時に車体の挙動が不安定になり、タイヤと車両の性能を発揮できなくなる。
ショックアブソーバーには、オーバーホールによって減衰力を回復させることができるものもある。オートバイのテレスコピックフォークなどでは整備事業者やユーザーが分解整備を行うことができるが、多くの場合はメーカーでオーバーホールが行われる。オーバーホールの際にはピストンロッド周辺のゴム製ダストブーツやバンプラバー、ショックアブソーバーの車体取り付け部のゴムマウントなども原則として同時交換を行う必要がある。
- ^ MFi 2011, p. 32.
- ^ MFi 2011, p. 70.
- ^ 標準技術 2005, pp. 87–91, §12-3-1 オイルダンパー機構.
- ^ 稲垣 2005, p. 144.
- ^ 標準技術 2005, p. 83, §12-3-1 オイルダンパー機構.
- ^ a b c d e f g 稲垣 2005, p. 145.
- ^ a b c d e MFi 2011, p. 75.
- ^ a b MFi 2011, p. 77.
- ^ MFi 2011, pp. 75, 77.
- ^ a b MFi 2011, p. 76.
- ^ 稲垣 2005, pp. 145–146.
- ^ 標準技術 2005, p. 84, §12-3-1 オイルダンパー機構.
- ^ 零戦の構造上級篇 2011年3月22日閲覧。 [リンク切れ][出典無効]
- ^ “オートギャラリー - ショールームのご案内 - 三菱自動車の概要 - 企業情報 - MITSUBISHI MOTORS JAPAN”. 2011年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年3月22日閲覧。
- ^ a b c 標準技術 2005, p. 81, §12-3-1 オイルダンパー機構.
- ^ 稲垣 2005, p. 147.
- ^ a b MFi 2011, p. 73.
- ^ “プジョー長崎 - ショックアブソーバー”. 2011年2月7日閲覧。
- ^ 標準技術 2005, §12-5 アフターマーケットサスペンション部品.
- ^ “ガススプリング”. ショーワ. 2019年5月10日閲覧。
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