ショウゲンジ ショウゲンジの概要

ショウゲンジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/07 09:23 UTC 版)

ショウゲンジ

Cortinarius caperatus

分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: 菌じん綱 Hymenomycetes
: ハラタケ目 Agaricales
: フウセンタケ科 Cortinariaceae
: フウセンタケ属 Cortinarius
: ショウゲンジ Cortinarius caperatus
学名
Cortinarius caperatus (Pers.) Fr.
和名
ショウゲンジ
英名
Gypsy mushroom

名称

和名は菌類分類学者の川村清一によって命名されたもので、その由来については、長野県飯田地方における方言名をそのまま採用したという[3]

江戸時代(寛政11年:1799年)に成立した菌類図譜である「信陽菌譜(市岡知寛)」には、シャウゲンヂなるきのこが図説され、「寺のが初めてこの茸を食し、それから地元の人々も食べるようになった」との説明書きが附されている。また、天保6年(1835年)に坂本浩然が著した「菌譜」にも、性賢寺茸の名が見える[4]。一説には、長野か岐阜にあった「ショウゲンジ」という名の寺の僧が食べていたキノコで、これがとても美味しかったため村人も食べるようになり、やがてショウゲンジと呼ばれるようになったという説[5]や、正源寺の僧が最初にこのキノコを食べ、食用になることを広めたという説[6]に由来するという。

ショウグンジ(信濃地方)・シャウゲンボウ(岡山県美作)・ショウオンジ(愛知県豊田市周辺)・コムソウ(長野および広島)・タイコノバチ(岐阜県飛騨高山)・ボウズ(愛知県豊田市)・コモソウ(長野県伊那市より岐阜県岐阜市周辺)などの方言名がある[7][8]。若い時期は、僧侶や虚無僧がかぶる笠に似ていることから、ボウズタケやコムソウタケの語源になっているという[5]。鳥取県ではシバカツギとよばれ親しまれている[2]

英語圏では Gypsy Mushroom の名が用いられているが、その語源は明らかでない。種小名のcaperataは「しわがよった」の意のラテン語で、特にやや古いもののかさに、顕著な放射状のしわを生じる点を示したものである[9]

分布

北半球温帯以北(共生相手となる樹木が分布する地域)に広く産する[1]。日本国内では、北海道から九州にかけて普通にみられる。


  1. ^ a b c d e f g h i j 吹春俊光『おいしいきのこ 毒きのこ』大作晃一(写真)、主婦の友社、2010年9月30日、52頁。ISBN 978-4-07-273560-2 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 牛島秀爾『道端から奥山まで採って食べて楽しむ菌活 きのこ図鑑』つり人社、2021年11月1日、71頁。ISBN 978-4-86447-382-8 
  3. ^ 川村清一、1929. 原色版 日本菌類図説. 大地書院.
  4. ^ 今関六也『野外ハンドブック きのこ』山と渓谷社、1977年。ISBN 4-635-06013-6 [要ページ番号]
  5. ^ a b c d e f g h 瀬畑雄三監修 家の光協会編『名人が教える きのこの採り方・食べ方』家の光協会、2006年9月1日、70頁。ISBN 4-259-56162-6 
  6. ^ a b c 大作晃一『きのこの呼び名事典』世界文化社、2015年9月10日、59頁。ISBN 978-4-418-15413-5 
  7. ^ 松川仁『キノコ方言 原色原寸図譜』東京新聞出版部、1980年。ISBN 978-4-80830-030-2 [要ページ番号]
  8. ^ 奥沢康正・奥沢正紀『きのこの語源・方言事典』山と溪谷社、1999年。ISBN 978-4-63588-031-2 [要ページ番号]
  9. ^ 今関六也・本郷次雄・椿啓介『標準原色図鑑全集14 菌類(きのこ・かび)』保育社、1970年。ISBN 978-4-58632-014-1 [要ページ番号]
  10. ^ 高橋郁雄『新版 北海道きのこ図鑑(増補版)』亜璃西社、札幌、2007年。ISBN 978-4-90054-172-6 [要ページ番号]
  11. ^ 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄(編・解説)、青木孝之・内田正弘・前川二太郎・吉見昭一・横山和正(解説)『山渓カラー名鑑 日本のきのこ(増補改訂版)』山と渓谷社、2011年。ISBN 978-4-635-09044-5 [要ページ番号]
  12. ^ 小川真『「マツタケ」の生物学(増補版)』築地書館、1991年。ISBN 978-4806721994 [要ページ番号]
  13. ^ 小川真、1980.菌を通して森をみる―森林の微生物生態学入門. 創文.
  14. ^ 清水大典『原色きのこ全科-見分け方と食べ方』家の光協会、1971年。ISBN 978-4-259-53309-0 [要ページ番号]
  15. ^ Pelkonen R, Alfthan G, Järvinen O. (2008). Element Concentrations in Wild Edible Mushrooms in Finland. Helsinki: Finnish Environment Institute. p. 32. ISBN 978-952-11-3153-0. http://www.ymparisto.fi/download.asp?contentid=87635 2011年11月12日閲覧。 
  16. ^ 長沢栄史・山田詳生、2002.ショウゲンジ属の新種チャナバについて.日本菌学会第46回大会講演要旨集 p. 50


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