シャチ シャチの概要

シャチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/31 15:21 UTC 版)

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シャチ
シャチ Orcinus orca
保全状況評価[1]
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
階級なし : クジラ類 Cetacea
: マイルカ科 Delphinidae
亜科 : シャチ亜科 Orcininae
: シャチ属 Orcinus
: シャチ O. orca
学名
Orcinus Fitzinger1860
Orcinus orca (Linnaeus1758)
和名
シャチ(鯱)
サカマタ(逆叉、逆戟)
オルカ
英名
Killer Whale
Orca
シャチの生息域

特徴

典型的な人間との大きさの比較
シャチの分類例
Type Cとされる個体。アイパッチが他と比べ小さい。

マイルカ科の仲間では最大の種であり、平均ではオスの体長は5.8 - 6.7メートル、メスの体長は4.9 - 5.8メートル、オスの体重は3,628 - 5,442キログラム、メスの体重は1,361 - 3,628キログラム。最大級のオスでは体長は9.8メートル、体重は10トンに達する[3]。背面は黒、腹面は白色で、両目の上方にアイパッチと呼ばれる白い模様がある。生後間もない個体では、白色部分が薄い茶色やオレンジ色を帯びている。この体色は、群れで行動するときに仲間同士で位置を確認したり、獲物に進行方向を誤認させたり、自身の体を小さく見せたりする効果があると言われている。大きな背びれを持ち、オスのものは最大で2メートルに達する。背びれの根元にサドルパッチと呼ばれる灰色の模様があり、個々の模様や背びれの形状は一頭ずつ異なるため、これを個体識別の材料とすることができる。長さ8 - 13センチメートル[4]の円錐状の鋭い歯が上下のに計44 - 48本並んでいる。歯の形状は全体的にほぼ均一であり、獲物を咀嚼することよりも噛みちぎることに特化したものになっている。

現時点では一種として扱われているものの、少なくとも南極海だけで1万年ほど前から混血のない3タイプに分化しており、食性、サイズが異なる。南極海海域のシャチについて区別の必要がある場合、以下のような分類がなされることがある。

タイプA
最近の論文などではwhale eater killer whaleと記述されることが多い。一般的にイメージされるシャチであり、クロミンククジラ等を主食とする。アイパッチの大きさは中間的。流氷の少ない沖合に棲む。
タイプB
最近の論文などではmammal eater killer whaleと記述されることが多い。タイプAよりやや小型であり、海生哺乳類を主食とする。クロミンククジラ、ナガスクジラペンギンアザラシ等も捕食する。アイパッチがAの2倍ほど大きく、白色部がやや黄色い。流氷のある沿岸近くに棲む。食性や体長などの違いから、ラージタイプBとスモールタイプBに分ける説もある[5]
タイプC
最近の論文などではfish eater killer whaleと記述されることが多い。Orcinus glacialisという学名が新たに提案されている。最も小さいタイプであり、タイプAと比較してオスで100センチメートル、メスで60センチメートルほど小さいと思われる。タラを中心とした魚食性。最も大きな群れを作る。アイパッチが他と比べ小さく、体の中心部の黒白の境界面に対して大きな角度を持つ。白色部がやや黄色い。流氷のある沿岸近くに棲む。
タイプD
2004年以降、提唱されるようになった種。通常よりも小さい目、短い背びれ、ゴンドウクジラに似る丸みを帯びた頭部によって認識される。活動範囲は南緯40度 - 60度の間の亜南極海域で、地球を回るように周回していると考えられている。主な食事については知られていないが、魚類を捕食することが報告されている。

現在タイプB・Cは別種とすべきという研究が提出されつつある[6][7]

北太平洋付近の観測もある。研究の進んでいるカナダブリティッシュ・コロンビア州で、定住型(レジデント)、回遊型(トランジェント)、沖合型(オフショア)の3タイプの個体群が知られている。定住型は主に魚を餌とし、大抵は十数頭の家族群を形成して生活する。魚の豊富な季節になると、特定の海域に定住し、餌を追うことから定住型と呼ばれる。それに比べ、回遊型は小さな群れまたは1頭のみで生活し、決まった行動区域を持たず、餌も海に住む哺乳類に限られる。沖合型は文字通り沖合に生息し、何十頭もの巨大な群れを形成する。3タイプの中で最もデータが少なく、餌についてもほとんど分かっていないが、傷が多かったり歯がすり減ったりしているという特徴があるため、手強い獲物(サメなど)を食しているとも考えられている。

上に挙げた3タイプのシャチ間での交配は報告されておらず、遺伝子も異なることがわかっている。

分布

一般的に冷水を好むが世界中の海に生息し、クジラ目としては珍しく地中海アラビア海にも生息する。餌になる動物が多いことなどから、特に極地付近の沿岸に多く住む。主にカナダのブリティッシュコロンビア州、ノルウェーティスフィヨルドアルゼンチンパタゴニアインド洋クローゼット諸島などに住む個体群の研究が進んでいる。地球上で最も広く分布する哺乳類の一種と言われる。時には餌を求めて、数百キロメートルも川を遡上することも報告されている。日本では北海道根室海峡から北方四島にかけてや、和歌山県太地町にて度々目撃されている。


  1. ^ Taylor, B.L., Baird, R., Barlow, J., Dawson, S.M., Ford, J., Mead, J.G., Notarbartolo di Sciara, G., Wade, P. & Pitman, R.L. (2008年). "Orcinus orca". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2008. International Union for Conservation of Nature. 2008年12月14日閲覧
  2. ^ a b c 広辞苑』第3版「さか-また【逆叉・逆戟】」九四四頁
  3. ^ Animals explore discover.connect SeaWorld/Busch Gardens ANIMALS
  4. ^ 笠松不二男「1.5 現生のクジラ類とその特性」『クジラの生態』恒星社厚生閣、2000年、26頁。
  5. ^ Killer Whale Northwest Fisheries Science Center、2015年4月28日閲覧。
  6. ^ Pitman, Robert L. and Ensor, Paul. "Three forms of killer whales (Orcinus orca) in Antarctic waters" Journal of Cetacean Research and Management 5(2):131–139, 2003
  7. ^ Newsletter of the Puget Sound Chapter of the American Cetacean Society Spring 2004
  8. ^ 水口博也編集『シャチ生体ビジュアル百科』、2015年、77頁。
  9. ^ The moment a whale delivers a deadly 'karate chop' blow to a killer shark
  10. ^ 水口博也編集『シャチ生体ビジュアル百科』、2015年、79頁。
  11. ^ 観客の目の前、シャチが女性調教係死なす-米の水族館」『朝日新聞』2010年2月25日
  12. ^ Ker Than (2010年2月26日). “調教師の溺死、通常と違うシャチの行動”. ナショナル・ジオグラフィック. 2015年7月2日閲覧。
  13. ^ a b 「シャチ漁業被害の瞬間 昆布森漁協漁師が動画 網ごと魚食いちぎる」北海道新聞』朝刊2020年6月11日(社会面)2020年6月24日閲覧
  14. ^ “死んだ子どもに寄り添い続ける母親、シャチの窮状物語る カナダ”. CNN.co.jp. (2018年7月30日). https://www.cnn.co.jp/fringe/35123252.html 2018年8月2日閲覧。 
  15. ^ May‐Collado, Laura; Agnarsson, Ingi (2006), “Cytochrome b and Bayesian inference of whale phylogeny”, Molecular Phylogenetics and Evolution 38 (2): 344–354, http://theridiidae.com/pdf/MayColladoandAgnarsson2006.pdf 
  16. ^ 祖一誠「題2章 シャチとの出会い」『海獣水族館』東海大学出版会、2010年、28頁。ISBN 978-4-486-01857-5(1970年の『東京新聞』からの引用)
  17. ^ 知里真志保『分類アイヌ語辞典』日本常民文化研究所、1953年。ASIN B000JB3WQ4
  18. ^ a b “シャチのラビーおめでた 鴨川シーワールド”. 房日新聞. (2008年6月5日). オリジナルの2013-4-23 23:11時点におけるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2013-0423-2311-58/www.bonichi.com/News/item.htm?iid=1351 2013年4月23日閲覧。 
  19. ^ 祖一誠「題2章 シャチとの出会い」『海獣水族館』東海大学出版会、2010年、37頁。ISBN 978-4-486-01857-5


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