シッティング・ブル カナダへの亡命

シッティング・ブル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 09:15 UTC 版)

カナダへの亡命

1877年5月、シッティング・ブルはあくまでも保留地に入らず、彼を慕う者たちとともに、自由を求めて「大いなる母[14]」(ビクトリア女王)の治めるカナダへと逃れた。10月にテリー将軍が和平委員長となり、シッティング・ブルが部族員を米国の保留地に連れ戻すなら「全面恩赦」で迎えると持ちかけた。しかしシッティング・ブルはこう答えた。

「この国は今や我々の国だ。我々はこの土地に留まり、スー族で溢れるようにするつもりだ。我々は我々の国をお前たちにやらなかった。お前たちは我々の国を盗んだのだ。お前たちは嘘をつくためにここへ来ている。いいからその嘘を持ってとっとと国へ帰れ。」

1877年10月23日、「ニューヨーク・ヘラルド」紙は、「シッティング・ブルの新しい故郷」と、国境の地図付きでこの有名な大戦士の「カナダ亡命」を書きたてた。彼らは国境の地で、4年間を過ごした。カナダの白人騎馬警官隊は手厚くはないが公平だった。しかし、スー族に狩猟のための広大な土地を割譲せよというシッティング・ブルの要求はその都度拒否された。合衆国側への遠征は、アメリカ軍によって阻止された。だが、カナダでもバッファローはほとんど白人によって絶滅させられており、カナダの激しい冬の寒さと飢餓が彼らを襲った。大戦士ピジ(ゴール)も合衆国に投降し、1881年にはカナダに留まるスー族は年寄りや彼の身内の185人となった。カナダ政府が彼らへの食糧供給を拒否したとき、ついにシッティング・ブルは飢えた同胞を救うため、合衆国への投降を決意した。彼はカナダの騎馬警官に「我々は見捨てられた」と述べている。

シッティング・ブルとその一団は、ダコタ準州にあるビューフォード砦への110キロメートルの旅路についた。シッティング・ブルは50歳になっていた。アメリカ軍のウィリアム・ボーエン中尉は彼を見て、こう同情の言を残している。

「耐え忍んできた心労と空腹は顕わで、彼は老いていた。憎むべき白人に降伏し、彼が望んだ独立を放棄することは彼の誇りをひどく傷つけた。彼はひどくやつれていた。」

1881年7月19日、ビューフォード砦で彼は8歳になる息子のクロウフットにライフルを渡し、部隊指揮官のデービット・ブラザトン少佐に渡してくれと頼んだ。彼はこのとき、こう述べた。

「私の踏まえている土地はまだ私のものだ。私はそれを売らなかったし、誰にも与えなかった。私は部族の中で、ライフルを引き渡した最後の男として記憶されることを望む。」

タタンカ・イヨタケはいつでもカナダに渡る権利を要求し、パハサパに近いリトルミズーリ川に近い保留地への移送を希望した。しかし合衆国は彼がまた反乱を起こすと考えて、保留地南端のランドル砦に送り、タタンカ・イヨタケの降伏合意条件に違反して、捕虜として二年間留置した[15]


  1. ^ 現在、ここはスー族のスタンディングロック・インディアン保留地となっている
  2. ^ フランス語で「叩く」という意味
  3. ^ スー族とは宿敵である
  4. ^ 大いなる神秘ワカンタンカ)」の使いである
  5. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』195~196頁
  6. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』196頁
  7. ^ Mcmurtry,Larry著『Crazy Horse』第3章
  8. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』197頁
  9. ^ Mcmurtry,Larry著『Crazy Horse』第3章
  10. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』199頁
  11. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』203頁
  12. ^ Capps,benjamin著『The Indians』213頁
  13. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』206~211頁
  14. ^ 白人たちはインディアンに、アメリカ大統領を「大いなる父」、イギリス女王を「大いなる母」と呼ばせていた
  15. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』211~212頁
  16. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』211~215頁
  17. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』210頁
  18. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』216~220頁
  19. ^ Capps,benjamin著『The Great Chiefs』220~222頁





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