シイラ 漁法

シイラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 15:55 UTC 版)

漁法

漂流物の陰に集まる性質に着目し、シイラを漁獲することに特化した「シイラ漬漁業」(単に「シイラ漬け」とも)と呼ばれる巻網漁の一種が行われる。また、俊敏かつ大型のうえに筋肉質で大変引きが強いことから、外洋での釣りや引き縄(トローリング)の対象として人気が高い。ゴミや流木、鳥山(海鳥が小魚を捕りに集まった状態)などは、シイラがいるポイントである。そのほか、延縄定置網などでも漁獲される。

日本の陸揚げ漁港

利用

シイラの肉

赤身魚であるが、色は薄い。は夏(7 - 9月頃)とされているが、秋は脂がのって旨味が増す。筋肉質で脂質が少ないことから、鮮度の保持が難しく傷みが早いため日本では全国的な流通はしておらず、特に北日本では馴染みがないが、関西や九州では一般的な食用魚として親しまれている。

産地以外では味の評価が低く、魚肉練り製品の原料に使われることが多いが、塩焼きフライムニエル、バター焼き、干物くさやなどでも食べられる。シイラ漬け漁による水揚げが多い高知県などでは、新鮮なものを刺身たたき寿司などの生食も行われる。また、卵巣も煮物などで食される。四万十市では、尾に近い部分の薄い身を熱風乾燥させたジャーキーも作られている。神奈川県平塚市では燻製が作られている。沖縄県国頭村では干物も作られている。

ハワイの料理店のマヒマヒのグリル

ハワイでは高級魚として扱われ、マヒマヒのフライやソテーは名物料理の一つである。サンドイッチなどにも用いられることがある。

台湾で「鬼頭刀」は、つみれスープ、鉄板焼き、蒸し物などにして食べられる。東海岸を中心によく捕獲され、特に蘭嶼タオ族の漁民にはアラヨと呼ばれ、神の魚と考えられており、重要な食用魚とされている。

フィリピンでは干物も作られている。

前述の通り、トローリングの獲物としても人気があり、様々な料理の食材として供される。英語圏でのDolphinfishを料理して食べた旨の文章が、「イルカを食べた」と誤訳されてしまうことがある。

同属種

エビスシイラ
エビスシイラ Coryphaena equiselis Linnaeus, 1758
全長は1メートルほど。シイラよりはやや小型で体高が高く、オスの額はシイラほど突出しない。背鰭の軟条数は48 - 59本でシイラより少ない。さらに、後部の軟条16 - 18本は先端が平たく「逆三角形」になることでシイラと区別できる。シイラと同じく全世界の暖海域に分布するが、エビスシイラはシイラよりも沖合いに生息し、漁獲も少ない。

  1. ^ 『難訓辞典 中山泰昌編』東京堂出版、1956年。 
  2. ^ 『難訓辞典 中山泰昌編』東京堂出版、1956年。 
  3. ^ マヒマヒ(シイラ)”. 全国漁業協同組合連合会. 2018年10月28日閲覧。
  4. ^ ONE勝浦水産プロジェクト 地域資源の有効活用”. ONE勝浦企業組合. 2018年10月28日閲覧。
  5. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2006). "Coryphaena hippurus" in FishBase. April 2006 version.
  6. ^ a b 秋の幸 準備着々 国頭・フーヌイユ天日干し」『琉球新報』、2015年11月20日。2015年11月21日閲覧。
  7. ^ a b 萩原義雄「魚名「しいら【鱪】」攷」『駒澤日本文化』第5巻、2011-2012、15-87頁。 






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