サブカルチャー サブカルチャーの概要

サブカルチャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 01:19 UTC 版)

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主流文化に対し、一部の集団を担い手とする文化を指す用語で、副次文化ないし下位文化とも訳される。用語の起源は1950年に社会学者のデイヴィッド・リースマン[2]が使用したのが最初である。意味は「主流文化に反する個人のグループ」というもの。アメリカではこの場合の「サブ」とは、社会的マジョリティの文化・価値観から逸脱した、エスニック・マイノリティLGBTといった「少数派集団」のことを指している。また、サブカルチャーは、「マス・メディアの商業主義文化」とは異なる文化財、アート、価値観、行動様式など、本来の「文化」に近いものを指す。

概要

ハイカルチャー[3]が受け手側にある程度の素養・教養を要求するのに対し、サブカルチャーは受け手を選別しない。サブカルチャーのサブは補う、第二のといった意味もある。つまり、漫画、アニメ、タレント、アイドル、声優、特撮、ライトノベルポップミュージック、商業主義に走ったロック[4]、娯楽映画などは大量生産・大量消費される商品だった。そのため、低く見られる傾向が強かった。しかし、1990年代以降か21世紀にはサブカルチャーは、ハイカルチャーやメインカルチャーと同程度の影響力を持つようになってきた。

日本では「ハイカルチャー対サブカルチャー」という文脈においてサブカルチャーという言説が用いられているが、欧米ではむしろ、社会の支配的な文化メインカルチャー)に対する、マイノリティの文化事象を指す言葉として使われている[5]

日本では特撮、アニメ、アイドルといった趣味を指す場合にサブカルチャーという用語が使用されることも多い。それらは1980年代に一般化しており、サブカルチャーとして定義するのは当初、拡大解釈だった。現在では大衆文化の一つとしてあげられる。「欧米の研究」では日本のサブカルチャーは、サブカルチャー研究の領域というよりも、むしろ「メディア文化研究」に含まれる。

詳細

かつて文化と考えられたものは、ハイカルチャー学問文学、伝統的美術クラシック音楽など)であり、ブルジョア階級や知識人、教養ある人々に支持されるものであった。文化を享受するには一定の教養が必要であり、少数者のものであった。

20世紀になって、大衆文化の時代になると、こうした文化観は次第に変化していった。大衆の一部はハイカルチャーを身に付けようと努力し、例えば文学全集を応接間に並べることが流行する、といった現象が見られた。第二次世界大戦後には知識人と呼ばれる人たちも次第に大衆文化(映画、マンガ)に注目するようになった。例えば映画のジャンルも分化し、大衆向けの娯楽に徹するものと、芸術性を主張し表現するものが並存するようになった。

1960年代には、アメリカのベトナム反戦運動や公民権運動、ヒッピー文化を始め、各国で既成の体制や文化に対する「異議申立て」が行われた(ヒッピームーヴメント)。これはカウンターカルチャーと呼ばれた。しかし社会の保守化にともない、文化の意味付けが変化してきた結果、カウンターカルチャーが衰退し、それに代わるサブカルチャーが注目されるようになった。

日本のサブカルチャー

上述のように日本におけるサブカルチャーと海外、特に英米におけるサブカルチャーはその意味する所が大きく異なった。これは80年代の保守化に対抗するためのカルチュラル・スタディーズが、重要な課題であったアメリカやイギリスとは異なり、日本では社会学や民俗学の分野で、国内のマイノリティが研究対象となることが少なかったことが大きい。

1980年代に入ると、ニュー・アカデミズムが流行し、専門家以外の人間が学問領域、特に社会学哲学、精神分析などの言葉を用い学際的に物事を語るようになった。サブカルチャーという言葉もこの頃日本に輸入され、既存の体制、価値観、伝統にあい対するものとして使われた。これらの流れは多くの若い知識人や学生を魅了し、「80年代サブカルチャーブーム」と呼ばれる流行を作り出した。この頃のサブカルチャーは現在よりも多くの領域を包含し、漫画、アニメ、オタク、コンピューター・ゲーム以外にも、声優、アイドル、芸能人サイバーパンクオカルト鉄道マニアなどもサブカルチャーと見なされることがあった。しかし、1980年代サブカルチャーに共通していえることはマイナーな趣味であったということであり、この段階で既に本来のサブカルチャーの持っていたエスニック・マイノリティという要素は失われていた。確かに幾つかの要素は公序良俗に反すると見なされたという点で既存の価値観に反抗していたが、それらは1960年代のカウンターカルチャーが持っていた公民権運動反戦運動などの政治的ベクトルとは無縁であった。もともと社会学におけるサブカルチャーという用語は若者文化をも含んでいたが、「エスニック・マイノリティ」という概念の無い1980年代の日本のカルチャーは保守化していった。この変化には、日本における民族問題意識の希薄さ以外にも、サブカルチャーという概念の輸入が社会学者ではなく、ニュー・アカデミズムの流行に乗ったディレッタント(英、伊: dilettante。好事家。学者や専門家よりも気楽に素人として興味を持つ者)によって行われたことも関連している。研究者ではない当時の若者たちにとっては学術的な正確さよりも、サブカルチャーという言葉の持つ、差異化における「自分たちはその他大勢とは違う」というニュアンスこそが重要であったともいえる。

この頃のサブカルチャーは複数の要素を内包しつつも、ジャンル間に横の繋がりは希薄で、場合によっては複数の分野を掛け持ちすることはあったものの、基本的に愛好者たちは別々の集団を形成していた。しかし1990年代に入ると転機が訪れる。メディアミックスの名の下に漫画、アニメといったジャンルの統合が進んだのである。漫画がアニメ化され、アニメが小説化されるという現象によってこれらのジャンルは急速に接近し、俗に「おたく文化」と呼ばれる、その他サブカルチャーから突出した同質性を持つ集団を形成するようになる[6]。現在では、この「おたく文化」が、過半数を占めるかはさておいて、サブカルチャーの最大与党であり、サブカルチャーそのものという見方すらされている[7][8]


  1. ^ "Contraculture and Subculture" by J. Milton Yinger, American Sociological Review, Vol. 25, No. 5 (Oct., 1960) https://www.jstor.org/stable/2090136
  2. ^ http://subculture.askdefine.com/
  3. ^ ハイカルチャーにはクラシック音楽やクラシック・バレエなどがある
  4. ^ Pop/Rock » Hard Rock » Arena Rock”. 2020年3月17日閲覧。
  5. ^ この用語としてはTheodore Roszakが1968年The Making of a Counter Cultureにおいて用いたのが早い用法である
  6. ^ ササキバラ・ゴウ 『<美少女>の現代史』 講談社、2004年、31-33頁。
  7. ^ 例えば評論家の大塚英志は特に定義を明言はしないが、(彼の言葉でいえば「キャラクター小説」)などに対してサブカルチャーと用いている。
  8. ^ ヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館カタログ『OTAKU:人格=空間=都市』所収の宣政佑「おたくの越境」(52頁)など。ただしこのヴェネツィア・ビエンナーレにおける展示自体はおたく文化の空間的特徴や文化的背景に言及したものであり、本来の意味でのサブカルチャーに近いニュアンスである。
  9. ^ 上野俊哉毛利嘉孝『実践カルチュラル・スタディーズ』ちくま書房、2002年。
  10. ^ 成実弘至 「サブカルチャー」吉見俊哉編 『カルチュラル・スタディーズ』 講談社、2001年。
  11. ^ 加野瀬未友・ばるぼら「オタク×サブカル15年戦争」『ユリイカ8月臨時増刊号 オタクvsサブカル』(青土社、2005年
  12. ^ 解説・川村湊は『日本の異端文学』(集英社、2001年)において「サブカルチャー文学」という語を用いている。ここではサブカルチャーという語はカルチュラル・スタディーズにおけるそれとほぼ同じ意味合いで使われている。大塚英志が『サブカルチャー反戦論』(角川書店、2003年)などで用いる場合はおたく文化のそれを意味している。
  13. ^ セックス・ピストルズ、ダムド、クラッシュなどが代表
  14. ^ 79年ごろ誕生し、初期はグランドマスター・フラッシュらが有名だった
  15. ^ ハウスなど、クラブ音楽を使用したダンス・イベント。イギリスでは反体制色が濃かったため、政府から警戒された
  16. ^ ボブ・マーリー、サード・ワールド、ジミー・クルフ、メイタルズらが有名
  17. ^ ドナ・サマー、グロリア・ゲイナー、ダイアナ・ロスらはLGBTのアイコンとなった
  18. ^ 「オズの魔法使い」の曲「オーバー・ザ・レインボウ」による



サブ・カルチャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/05 16:22 UTC 版)

サブ・カルチャー」(Sub-culture)は、イギリスのバンド、ニュー・オーダー1985年に発表したヒット曲である。






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