サディスティックパーソナリティ障害 サディスティックパーソナリティ障害の概要

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > サディスティックパーソナリティ障害の解説 > サディスティックパーソナリティ障害の概要 

サディスティックパーソナリティ障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/21 07:25 UTC 版)

サディズムの定義

サディズムは、苦痛や不快をこうむる他者を見ることで快楽を得ることを意味する。相反過程理論では、誇示するだけでなくサディスティックな振る舞いの実行を楽しむことの様態も説明している[3]。サディスティックパーソナリティ障害を持つ人々は再発性の残酷行為と攻撃を示す。サディズムは、感情的残酷さの行使、恐怖の活用を通しての他人に対する意図的な操作、暴力への没頭、をも意味しうる[4]。ある種のサディスティックな人々が痛みや苦しみを他者に与えることで快楽を得るのではあるのだが、サディズムというものは必ずしも肉体的な攻撃や暴力の行使を必要としない。よりしばしば、サディスティックな人々は攻撃的な社会的振る舞いを示し、他者に優越しているという感覚を成就させるために公衆の面前で彼らに恥をかかせるのを楽しむ[5]

診断基準

DSM-III-R

A. 成人早期までに現れ、全般的に残酷で、品位がなく、攻撃的な行動パターンで、以下のうち少なくとも4つがくり返し起こることで示される。
  1. 人間関係における優越感を得るために、身体的虐待または暴力を用いたことがある(単に、何らかの非人間関係的目的を達成するためではない、例:強奪するために誰かをなぐる)
  2. 他人の目の前で人を辱め、けなす
  3. 自己の支配下で、誰かを非常にきびしく扱いきたえたことがある(例:子供、学生、囚人、患者)
  4. 他者に精神的または身体的苦しみを与えること(動物を含む)を楽しみ、喜ぶ
  5. 他者を傷つけたり、苦痛を与える目的で嘘をついたことがある
  6. 他の人達をおどかして、自分のしたいことをやらせる
  7. 親しい人間関係にある人々の自律性を制限する(例:連れなしでは配偶者に外出させない、または10代の娘に人の集まる所に出ることを許さない)
  8. 暴力、武器、軍事、傷害、または拷問に魅せられる
B. Aの衝動は1人の人物だけ(例:配偶者、1人の子供)に向けられてもいないし、単に性的興奮のためだけのものでもない。

アメリカ精神医学会DSM-III-R 精神障害の診断・統計マニュアル[6]

DSM-IV からの除外

多くの理論家や治療者が1987年のDSMに対してサディスティックパーソナリティ障害を提出し、更なるシステマティックな臨床研究や調査を促進するためにDSM-III-Rの中に置かれた。彼らの被害者が自己敗北性パーソナリティ障害としてラベルを付けられているのにもかかわらず、サディスティック人格の特徴を持つ大人たちがラベル付けされていないので、追加するよう提案されたのだ[7]。臨床業務に対してどの診断が承認されるのかまたされないのかをめぐる混乱への多くの懸念があった。SPDは、治療を求める人が多くなくごくわずかの研究しかなかったので、 DSM-IVからは除外された。大体において、SPDは性犯罪者やシリアルキラーのような人々の特定グループの中に見出されるのだが、これが利用価値のある診断であるとは考えられないのだ。テオドール・ミロンのような理論家たちは、SPDに関する更なる研究を生起させたかったのでDSM-IVパーソナリティ障害ワークグループにこれを提案したが、これは拒絶された[8]。これがDSM-IVに含まれなかったことにより、サディズムの次元モデルがSPDよりも適正なものになった可能性があると言われている。『社会的、職業的、その他重要な領域の職務に関する、臨床的に有意な苦悩や障害を原因とした』性的サディズムはいまなおDSM-IVの中にある。

他のパーソナリティ障害との並存

サディスティックパーソナリティ障害は、他のパーソナリティ障害と調和した形で現れているのをしばしば発見される。事実、諸研究は、サディスティック障害が他のタイプの精神病理学的障害と最高次の並存性を持つパーソナリティ障害であることを発見している[5]。また一方、サディズムは他の精神病理学的障害を示さない患者の中に見受けられることもある。たびたびサディスティックパーソナリティ障害と平行して起こるパーソナリティ障害は行為障害である[5]。加えて、反社会性パーソナリティ障害自己愛性パーソナリティ障害がサディスティックパーソナリティ障害と診断された人々の中に時々見受けられる。サディスティックパーソナリティ障害とともに存在することがしばしば見い出される他の障害には、双極性障害パニック障害うつ病境界性パーソナリティ障害演技性パーソナリティ障害強迫性障害自己敗北性パーソナリティ障害受動的攻撃行動が含まれる。諸研究は、サディスティックパーソナリティ障害と高確率の並存をもつ、アルコール依存症のような、他のタイプの疾病を発見している[9]

他の障害との高レベルの並存によって、研究者は、サディスティックパーソナリティ障害と他の形式のパーソナリティ障害の区別にある程度の困難性を抱えている[5] 。サディスティックパーソナリティ障害はそれ自体もはやDSMには含まれていないけれど、性的サディズムのような、サディズムを含む他のタイプの障害はいまなおDSMの中に見い出される。




  1. ^ Hucker, Stephen J. Sadistic Personality Disorder
  2. ^ W.C. Myers, R.C. Burket & D.S. Husted. "Sadistic personality disorder and comorbid mental illness in adolescent psychiatric inpatients", Journal of the American Academy of Psychiatry and the Law 34 (2006): 61-71.
  3. ^ Reidy, D.E., Zeichner, A., & Seibert, L.A. (2011). Unprovoked aggression: Effects of psychopathic traits and sadism. Journal of Personality, 79(1), 75-100. Retrieved from brary.wiley.com.proxy.bc.edu/doi/10.1111/j.1467-6494.2010.00691.x/full
  4. ^ http://www.sciencedirect.com.proxy.bc.edu/science/article/pii/S019188690911275X
  5. ^ a b c d Sadistic Personality Disorder and Comorbid Mental Illness in Adolescent Psychiatric Inpatients”. Jaapl.org (2006年1月1日). 2012年12月30日閲覧。
  6. ^ アメリカ精神医学会 DSM-III-R (1988) pp. 331 - 332.
  7. ^ Oxford Textbook of Psychopathology
  8. ^ a b c d e f g Disorders of Personality: DSM-IV and Beyond
  9. ^ http://www.sciencedirect.com.proxy.bc.edu/science/article/pii/016517819390077T
  10. ^ Prevalence and characteristics of sadistic personality disorder in an outpatient veterans population.
  11. ^ a b c Personality Disorders in Modern Life


「サディスティックパーソナリティ障害」の続きの解説一覧


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サディスティックパーソナリティ障害」の関連用語

サディスティックパーソナリティ障害のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



サディスティックパーソナリティ障害のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサディスティックパーソナリティ障害 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2019 Weblio RSS