サッカーボール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 13:56 UTC 版)
生産
生産国
世界で生産される手縫いのサッカーボールの70%から80%程度が、パキスタンで製造されている。パキスタンでの製造が多い理由として、1947年までイギリスの植民地であったこと、外部パネルの原料となる皮革と内部を膨らませる膀胱を供給する牛がたくさんいたこと、特にヒンドゥー教国である隣のインドと比較してイスラームがマジョリティであるパキスタンでは牛の屠殺に対して抵抗がなかったことが挙げられる。サッカーの黎明期となる19世紀末まではこれらの原料をイギリスに輸送したうえで生産が行われていたが、完成品をパキスタンで作る方がコストを省けることが分かったため20世紀に入るとパキスタン、特にスィアールコート(シアルコット)地域において製造が増大した。
児童労働の排除
こうした手縫いのサッカーボールの製造は長らく家内制手工業によって支えられてきた。スィアールコートで生産されるサッカーボールは有力スポーツメーカーに納められ、世界シェアの75%を占めるほどの生産高となった。しかし、1996年のILOの調査により、スィーアールコートの約7,000人の子供が、ほとんど学校に行かないまま児童労働に従事していることが判明。事態を憂慮したFIFAは、国連児童基金(UNICEF)と同意の上1998年のワールドカップフランス大会から児童の労働によって生産された手縫いのサッカーボールを使用しないことを決定。サッカーボールの生産の場から児童労働の排除が行われるきっかけとなった[6]。
公式試合球
FIFAワールドカップ
- 1970年: テルスター
- 1974年: テルスター・デュラスト
- 1978年: タンゴ
- 1982年: タンゴ・エスパーニャ
- 1986年: アステカ
- 1990年: エトルスコ・ユニコ
- 1994年: クエストラ
- 1998年: トリコロール
- 2002年: フィーバーノヴァ
- 2006年: チームガイスト
- 2010年: ジャブラニ
- 2014年: ブラズーカ
- 2018年: テルスター18
- 2022年: アル・リフラ
脚注
出典
- ^ a b c d e f g h “laws of the game 2022/23”. 日本サッカー協会. 2023年1月30日閲覧。
- ^ “メキシコ戦、霧発生で後半途中からカラーボール登場”. 日刊スポーツ. (2020年11月18日) 2020年11月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g “サッカーボールに秘められたアイデア”. 日本弁理士会. 2020年11月18日閲覧。
- ^ 白黒の亀甲型のボールが一般的になったのはいつから? - 日本サッカー協会
- ^ 読売新聞2014年2月1日夕刊8面「ふしぎ科学館」
- ^ “【アジアンスタイル】パキスタン・誇りのサッカーボール五輪へ”. SANKEI Express (産経新聞社). (2012年3月6日) 2012年4月29日閲覧。[リンク切れ]
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