サイリスタ 光トリガサイリスタ(光サイリスタ)

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > サイリスタの解説 > 光トリガサイリスタ(光サイリスタ) 

サイリスタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/13 04:19 UTC 版)

光トリガサイリスタ(光サイリスタ)

光トリガサイリスタ(光サイリスタ: LTT: Light-Triggered Thyristor)は、信号によって直接点弧させるサイリスタである。

制御回路と電力回路とを完全に絶縁でき、ノイズによる誤動作を少なくすることができるので、高電圧交流電源回路に用いられる。具体的な適用例として、周波数変換設備 (FC: Frequency Converter) や直流送電設備 (HVDC: High Voltage Direct Current) における交直変換装置、無効電力補償装置 (SVC: Static Var Compensator)、大容量回転機の始動装置 (SS: Static Starter) など比較的高電圧大電流の電力変換があげられる。

静電誘導サイリスタ

静電誘導サイリスタは、高速で大電流を制御可能な半導体素子である。

トリガ電圧が低く、ターンオフが速やかで自己制御型のGTOのようなON-OFF素子で東洋電機によって1988年に発売された。静電誘導素子の一種で高出力、高周波数の電力用半導体素子である。実質的にはp+の電極状のゲート構造を備えたp+nn+ダイオードである。素子の構造はアノード側に付加されたp+層以外は概ね静電誘導トランジスタと同じ。

通常は導通状態でOFFにするためには負の電圧を付加する必要がある。静電誘導サイリスタの導通状態はPINダイオードの挙動に似る。

双方向サイリスタ(トライアック:TRIAC)

トライアック構造
トライアック記号

双方向サイリスタ(そうほうこう さいりすた)は、相補的な2個のサイリスタを逆並列に接続する構成をとることで、双方向に電流を流すことを可能とし、直流だけでなく交流でも使えるようにしたものである。実際の素子は、2個の素子を接続したものではなく図に示すようなモノリシック構造となっている。TRIACとは、Triode AC Switchの略であり、1964年にゼネラル・エレクトリック社で初めて開発された。

ダイアックを点弧素子として交流の双方向スイッチング制御に用いられる。


  1. ^ a b 小項目事典,知恵蔵, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典. “サイリスタとは”. コトバンク. 2022年8月1日閲覧。
  2. ^ a b c 「宮崎研究所」の技術講座「電気と電子のお話」4.4.(1)”. 有限会社 宮崎技術研究所 宮崎誠一、宮崎仁. 2009年3月19日閲覧。
  3. ^ a b c トランジスタはすごい!”. FreeLab. 2010年3月31日閲覧。
  4. ^ 日本財団図書館(電子図書館) 平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(電気機器編、初級)”. 日本船舶電装協会. 2009年3月30日閲覧。
  5. ^ 車両用大容量半導体素子(富士時報1983年3月号)。
  6. ^ 八尾勉, 亀井達彌「逆導通サイリスタ」『電氣學會雜誌』第93巻第2号、電気学会、1973年、121-124頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.93.121 
  7. ^ a b 三菱電機『三菱電機技報』1982年11月号「半導体素子の省エネルギーへの役割」pp.90 - 91。
  8. ^ 多田 昭晴, 川上 明「高周波用GATT (Gate Assisted Turn-Off Thyristor)」『パワー・エレクトロニクス研究会講演論文集』第7巻、パワーエレクトロニクス学会、1981年、22-24頁、doi:10.14913/jipe1975.7.22 
  9. ^ 蒲生浩「第2章 高速スイッチングサイリスタ」『電氣學會雜誌』第98巻第5号、電気学会、1978年、385-389頁、doi:10.11526/ieejjournal1888.98.385 
  10. ^ 多田昭晴, 中川勉, 上田和男「Gate Assisted Turn-off Thyristor (GATT)構造によるサイリスタの高周波化について」『電気学会論文誌. C』第102巻第7号、電気学会、1982年、155-162頁、doi:10.11526/ieejeiss1972.102.155 
  11. ^ パワーデバイスの最近の進歩(日立評論1986年8月号)。
  12. ^ a b 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』1999年3月号特集「電機子チョッパ車の30年」pp.16 - 17。
  13. ^ 三菱電機技報 2001年6月号”. 三菱電機 (2001年6月). 2009年9月7日閲覧。
  14. ^ SiC技術によるインバータで、電力損失を半減”. EDN Japan (2006年3月). 2009年9月7日閲覧。
  15. ^ a b ゲート転流型ターンオフサイリスタモジュール|詳細 - j-platpat”. j-platpat (2008年2月8日). 2022年3月10日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サイリスタ」の関連用語

サイリスタのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サイリスタのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサイリスタ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS