ゴッグ ゴッグの概要

ゴッグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/22 15:22 UTC 版)

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作中の敵側勢力である「ジオン公国軍」の量産機で、水中航行能力を有した水陸両用MSのひとつ。ずんぐりした巨体に、鋭い爪を持つ多関節構造の両腕が特徴で、両腕を収納して肩アーマーを閉じた巡航形態に変形する。

当記事では、各バリエーション機や関連機種についても記述する。

デザイン

監督の富野喜幸のラフデザインをもとに大河原邦男が参考用デザインを描き、安彦良和がクリーンアップしたものが決定稿となった[1]。参考用デザインは決定稿より細身であるが、デザインはほぼ完成している。この参考用デザインを「試作1号機」としたり[2]、「前期型ゴッグと推測される」とする資料もある[3]。なお、腕の伸縮・収納は富野のアイデアによる[1]

設定解説

諸元
ゴッグ
GOGG
型式番号 MSM-03
所属 ジオン公国軍
開発 ツィマット
生産形態 量産機
頭頂高 18.3m[4]/17.8m[5]
本体重量 82.4t[4]
全備重量 159.4t[4]/130t[5]
装甲材質 チタン・セラミック複合材[6][7]
超硬スチール合金(超高張力鋼)[7][8][注 1]
出力 1,740kW[4](94,000馬力[5]
推力 38,000kg×2、15,000kg×3[9]
総推力121,000kg[4]
最大速度 地上:50km/h[5]
水中:75kt[4]/19kt[5]
武装 メガ粒子砲×2
ミサイル発射管×2
アイアンネイル×2
フリージーヤード
搭乗者 コーカ・ラサ
マーシー
ジオン公国軍一般兵

概説

ジオン公国では地上用MSとしてMS-09ドムを開発していたが、同機の核反応炉ではメガ粒子砲を運用可能な出力を得ることはできなかった。反応炉の出力向上のためにはその冷却能力を高める必要があり、最も効率的な方法は冷却水を使用することであった。そのため、U.C.0078年11月には海水を冷却に使用可能な水陸両用MSの開発が、MIP社とツィマット社に発注された[10]。また、水陸両用MSはメガ粒子砲の運用のほか、独力で海中を進行して目的地に到達可能としており、前線基地の存在しない場所でも戦闘が可能な特性を有する。水の抵抗を考慮して頭部は丸い流線形となり、装備は内装式となった[10]

開発はMSM-02水中実験機との競作で行われた[11]。その開発の折には多くのアースノイド技術者が携わったほか、MSM-01(MS-06M) ザク・マリンタイプで得られた新素材のデータも反映されている[7]。その後ツィマット社においてプロトタイプ1号機が完成し、ジオン公国のリゾートコロニー「」でテストを行ったあと、地上へ降ろされてテストを継続した[10][注 2][注 3]。先行型とMSM-02はともに少数が生産され、その2か月後に生産ラインを後期型に集中した[12]。量産は3月から開始され、5月には地中海やメキシコ湾を中心に実戦配備された[10][注 4]

水中での活動時間は長く、推進には胴体結合部から吸入した水を反応炉の高熱で蒸発させて噴射する水流ジェットエンジンを採用している[10]

他のMSMシリーズと同様にフレキシブル・ベロウズ・リムという伸縮可能な蛇腹状の多重関節構造を採用し、これが水中での抵抗軽減やクローを使用した格闘性の向上などに一役買っている[13][14]。また、この機構によって両腕・両脚を格納し、水中での抵抗を低減できるように設計されている[12][15]

陸上での活動時には本体内のバラストタンクに冷却水を貯めて行動するため、1 - 2時間の活動が限度となる[15]。反応炉の冷却上の制限から、陸上での活動時間は長くない[11]。また、機体重量が影響して俊敏な動作は行えないが、耐圧用の設計が近接戦闘時に十分な防御力を発揮する[16]。行動範囲は海や河川地帯周辺に限定されるが、装甲・馬力ともにザクの比ではなく、連邦軍の拠点破壊[10]や重装甲を生かした上陸侵攻作戦で活躍した[11]

武装

キアM-23型メガ粒子砲[12][注 5]
腹部に2門搭載したメガ粒子砲[15][注 6]。総重量は38.7tにおよぶ[12]。出力は1門につき2.8MW[15]。エネルギーCAP技術を用いないビーム兵器であり、ゴッグは同装備を採用した初の機体である[15]。射程は1kmほど[16]、破壊力はザクの持つ120ミリライフルの2倍程度となる[10]。また、腹部2門の固定式であることから取り回しに難があったとされる[18]
アイアン・ネイル[注 7]
腕部に装備された、近接格闘用装備とマニピュレーターを兼ねる爪[18]。機体の運用上、オプションの携行が難しかったことから採用された。実戦においては防御用装備としても機能する[18]アクチュエーターの出力が高いため、超硬質合金製の爪によって厚い空母の艦底を裂くことも可能[15]
魚雷発射管[18]
本機は腹部に魚雷発射管を各2門搭載する[18][13]。ミサイルランチャーとした資料もみられる[21]
フリージーヤード
頭頂部のマルチプルランチャー[13]から発射されるカプセルに収納されている、ゲル状の物質。機体を覆うことで、機雷や爆雷を無効化できる[18]。これはソナーによる探知を低減する効果もあったが、ウォーターインテークが閉塞することから長時間は使用できず、絡め取った機雷も速やかに投棄排除する必要があった[13]
フォノンメーザー
頭部に装備する[17][22][23]
テレビ版第26話でマーシーとラサがベルファスト基地を急襲した際、連邦軍防衛部隊が発射した魚雷をゴッグが光線で迎撃する描写がある。この光線はゴッグの側頭部から発射されている。
その他
レーザー砲を2門内蔵するとした資料もみられるが[24]、装備個所は不明。

劇中での活躍

『機動戦士ガンダム』第26話で、初の水陸両用MSとして登場。

マッドアングラー隊所属のユーコン級潜水艦から2機が発進し、連邦軍ベルファスト基地を海から攻撃した。61式戦車大口径バルカン砲重装甲車を主力とする連邦軍守備隊を一蹴し、MSの通常兵器に対する優越性を改めて印象づけた。その際、機雷に触雷しても何ともなかったゴッグの機体を見て、操縦していたコーカ・ラサ曹長(漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、アニメ版でのズゴックパイロットであるカラハに変更)は装甲の強固さを高く評価している。パワーでもガンダムに引けをとっておらず、パワーアップしたハイパーハンマーをも素手で受け止め、チェーンを引き千切っている。

だが、その後はやられ役となり、ゴッグの重装甲でも防げないビーム兵器で撃破される描写が続いた(同一作画の流用)。主なパイロットはラサ、マーシーなど。ズゴックパイロットとして出撃したカラハも、ゴッグに乗っていたとうかがえる描写がある[注 8]ジャブロー戦では配備されていたゴッグをすべて失ったマッドアングラー隊に2機のゴッグが追加配備されたが、この2機もホワイトベース隊との交戦を経て撃破されている。

なお、アムロ・レイはゴッグ2機と交戦する前に本機名を発言している。第26話前半でレビルが提示した画面にも腕を格納したゴッグの正面図が表示されているため、連邦軍が本機名についても情報をすでに持っていたことがうかがえる。

機動戦士ガンダムΖΖ』第40話では、スタンパ・ハロイ所有の機体として登場。全天周囲モニター・リニアシートに換装されており、熱核ジェットによるホバー走行が可能。複数機が存在しており、ルナンは通常カラーのゴッグに搭乗して槍を武器にしている。ハマーン・カーンの操るアッガイに対してはクローで腕を切断されて戦闘不能になり、退散している。このほか、アジア風の装飾が施された赤い機体も存在する。

玉越博幸の漫画版『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では、サイクロプス隊の要人救出作戦「オペレーション・カノッサ」の際に、のちにハイゴッグに搭乗するミハイル・カミンスキー中尉が搭乗。左肩に部隊章が描かれている。アンディ・ストロース少尉のラムズゴックとともにコムサイに搭載されて地球に降下、直後にコア・ブースター2機の追撃を受けるも、コミサイの下部ハッチを開けてアイアン・ネイルで撃破する。その後海から連邦軍基地に上陸し、守備隊のジムや61式戦車を殲滅する。

呼称

機体名称は本来、ゴッではなくゴッであった。『機動戦士ガンダム』劇中でゴックと呼称されていること[25]、劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』パンフレット、富野由悠季のラフ[26]にゴックと表記されていること、ズゴック・ゾゴックとともに「ゴックシリーズ」としての富野ラフが存在することなどが、その裏付けとなっている(本放送当時、競作設定は存在しなかった)。

バリエーション


注釈

  1. ^ 本機を含む水陸両用MSの装甲材質は長らく設定されていなかった。1996年発行の書籍『データコレクション2 一年戦争編』で「超高張力鋼」とされ[8]、2000年の『MSVコレクションファイル[地球編]』では「チタン・セラミック複合材」も併記されるが、翌年の『GUNDAM OFFICIALS』では後者のみが記載され[6]、以降の資料では『OFFICIALS』を踏襲している。
  2. ^ ガンダムセンチュリー』では1号機の完成が0080年1月、地上に降ろされたのが2月とされるが、同書の時系列は現在の設定とは異なる。
  3. ^ プロトタイプゴッグの開発を経て、前期型が競作機である水中実験機と共に少数先行生産され、試験運用されたとする資料もみられる[3]
  4. ^ 後期型の生産は、キャリフォルニアベースのツィマット社工廠で行われた[13]
  5. ^ 「収束ビーム砲」[17]、「偏向メガ粒子砲」との記述がみられる[15][10]
  6. ^ 3門とする資料もみられる[15]
  7. ^ 鈎爪の「アイアン・ネイル」という名称はテレビ版放映終了直後の書籍で氷川竜介が創作したものであり[19]、同書を子供向けに「怪獣図鑑」として扱った結果であるという[20]
  8. ^ テレビ版第27話で、ズゴックとゴッグの乗り心地を比較している。
  9. ^ プラモデルキットによっては、説明書内用語辞典でフリージーヤードに言及されているものの、諸元表に記述がみられず装備の有無が不明なものもみられる[33]
  10. ^ ビーム・キャノンと記述した資料もみられる[36]

出典

  1. ^ a b 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、96-97頁。ISBN 978-4840212113
  2. ^ 『コミックボンボン』1982年6月号、講談社、209頁。
  3. ^ a b c 皆川ゆか『機動戦士ガンダム公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』講談社、2001年3月、292-293頁。ISBN 978-4063301106
  4. ^ a b c d e f 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、56-57頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  5. ^ a b c d e 『テレビマガジン』1981年2月号付録『機動戦士ガンダム大事典』上巻(講談社)
  6. ^ a b OFFICIALS 2001, p. 292-295.
  7. ^ a b c d e f g MSVコレクションファイル地球編 2000.
  8. ^ a b DC一年戦争編 1996, p. 28.
  9. ^ 『B-CLUB VISUAL COMIC 機動戦士0080 ポケットの中の戦争 VOL 2』(バンダイ、1989年)
  10. ^ a b c d e f g h ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、39頁。ISBN 4-87777-028-3
  11. ^ a b c 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、108-109頁。ISBN 978-4063721768
  12. ^ a b c d 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック2』バンダイ、1983年5月、10-11頁。
  13. ^ a b c d e 『MG 1/100 ゴッグ』バンダイ、2003年6月、組立説明書。
  14. ^ 『モビルスーツ全集2 水陸両用モビルスーツBOOK』 双葉社、2010年11月15日、32頁
  15. ^ a b c d e f g h 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、84-85頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  16. ^ a b 皆河有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、182頁、ISBN 978-4063757958
  17. ^ a b 『機動戦士ガンダム 記録全集 3』日本サンライズ、1980年7月1日、171頁。
  18. ^ a b c d e f 『1/144 HGUC ゴッグ』バンダイ、2000年3月、組立説明書。
  19. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ ロボット大全集1 機動戦士ガンダム』講談社、1981年4月、125頁。
  20. ^ 映画秘宝』関係者の中にいたガンダム野郎編「第3章 宿命の出会い ガンダムまんが大行進 「ポケット百科」に心を込めて 子どもたちに贈るガンダム」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年4月9日、ISBN 4-89691-379-5、188頁。
  21. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、122頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  22. ^ 『ロマンアルバム 機動戦士ガンダム』徳間書店、1980年7月、138頁。
  23. ^ 『ポケット百科シリーズロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』講談社、1981年4月、42、124頁。
  24. ^ 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、45頁。ISBN 4-87777-028-3
  25. ^ 株式会社日本サンライズ『機動戦士ガンダム台本全記録』375-388p,391p,421-427p。
  26. ^ 株式会社日本サンライズ『機動戦士ガンダム記録全集4』183p。なお、本書にはゴック、ゴッグの表記が混在している。
  27. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE.46 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.7 デラーズ紛争編〈下〉】』バンダイ、1992年6月、137頁。
  28. ^ a b c d e f g h i j k l 『SD CLUB』第13号、バンダイ、1990年6月、80頁。
  29. ^ a b c d 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック2』バンダイ、1983年5月、10-11頁。
  30. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE.25 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 MS開発競争編】』バンダイ、1991年2月、98-99頁。
  31. ^ a b c d e f g h i j k l 『SD CLUB』第9号(バンダイ、1990年2月)31頁。
  32. ^ 『大河原邦男アイアンワークス』(バンダイ、1989年11月)103頁。
  33. ^ a b c d e f g h i j k l 『1/144 ハイゴッグ』バンダイ、1989年5月、組立説明書。
  34. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、138-140頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  35. ^ a b 皆河有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、183頁、ISBN 978-4063757958
  36. ^ a b c d e f g 『HGUC 1/144 ハイゴッグ』バンダイ、2003年6月、組立説明書。
  37. ^ 『1/144 ズゴックE』バンダイ、1989年3月、組立説明書。
  38. ^ 『出渕裕メカニカルデザインワークス1』ムービック、2000年8月、26頁。ISBN 978-4896014907
  39. ^ 『出渕裕メカニカルデザインワークス1』ムービック、2000年8月、27頁。ISBN 978-4896014907
  40. ^ 『出渕裕メカニカルデザインワークス1』ムービック、2000年8月、96頁。ISBN 978-4896014907
  41. ^ MECHANICAL ゴッグ”. OVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』公式サイト. 創通・サンライズ. 2021年11月18日閲覧。






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