コンパクトカセット 年表

コンパクトカセット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/23 06:40 UTC 版)

年表

  • 1962年 フィリップスによるテープ、レコーダの発売開始。
  • 1965年
    • 互換性厳守を条件に基本特許が無償公開される。
    • 三越、および松下電器産業(現・パナソニック)がフィリップス製コンパクトカセットレコーダー EL-3301 を輸入販売(27,000 円)。
  • 1966年
    • アイワ(初代法人)が日本初の国産コンパクトカセットレコーダTP-707P を発売。この機種は、既に発売していたアイワ独自規格のカートリッジ式テープレコーダTP-707を改良し、コンパクトカセット規格に仕様変更した商品で、末尾のPはPHILIPSのPと考えられる。
    • 日立マクセル(現・マクセルホールディングス)が日本初の国産コンパクトカセット "MAXELL C-60" 発売。(7月。東京電気化学工業(以下、現・ TDK)の "Synchro Cassette" は同年9月発売、ソニーの "MAGAZINE TAPE" は同年12月発売)[6][7][8][9]
  • 1967年
    • ステレオ録音・再生が可能なコンパクトカセットレコーダーを発売。フィリップス EL-3312 、アイワ TP-1004 、コロムビア TRC-160など。
    • 松下電器産業が 世界初の2バンド(FM/AM)受信対応ラジオカセットレコーダー "RQ-231" を発売。後にブームとなるラジカセ第1号機である。
  • 1968年
    • アイワ(初代法人)が日本初の3バンド(FM/AM/SW)受信対応ラジオカセットレコーダー "TPR-101" を発売。
    • TDKが世界初の音楽録音用ノーマルテープ "SD" を北米にて先行発売(日本向けは翌年より発売)。
    • ティアックが日本初の(本体にスピーカー接続用のパワーアンプを搭載しない)本格的な単品オーディオシステム用ステレオコンパクトカセットデッキ A-20 を発売。
  • 1969年 TDK の音楽録音用(ノーマルポジション)カセットテープ "SD" がアポロ11号と共に月面へ。
  • 1970年
    • BASF 、米メモレックス等より二酸化クロム磁性体採用の高性能タイプ発売(後のType II)。
    • ソニーが 2 ヘッド・クローズドループ・デュアルキャプスタン方式のコンパクトカセットデッキ TC-2200, TC-2300 を発売。
    • 松下電器産業がダイレクトドライブ方式のコンパクトカセットデッキ RS-275U を発売。
    • ドルビーラボラトリーズ、ドルビーBタイプ・ノイズリダクションを発表。日本では翌年、ティアック A-350 が先行採用して発売。
    • TDKが日本初の二酸化クロム磁性体を採用したクロムポジション (Type II) 用の "KR" を発売。
  • 1971年 ソニーが世界初の録音/再生兼用フェライトヘッド(F&F ヘッド)を搭載した TC-2130A を発売。
  • 1972年
    • 3M住友スリーエム、現・スリーエム ジャパン)、 Type I 音楽専用タイプにコバルトドープ酸化鉄を採用した "HE" を発売(後年 Type II に転用される)。
    • 松下電器産業が録再独立式3ヘッド搭載のコンパクトカセットデッキ RS-279 を発売。
    • 中道研究所(現・ナカミチ)が世界初の録再完全独立式3ヘッド、およびクローズドループ・デュアルキャプスタン搭載の超高級カセットデッキ Nakamichi 1000 を米国にて先行発売(その後1973年に日本でも Nakamichi 700 と共に発売)。
  • 1973年
    • ソニーより二酸化クロムと酸化鉄の二層塗布によるフェリクロムテープ "DUAD" を発売(後の Type III)。
    • ソニーがポータブルカセットデッキ TC-2850SD 「カセット・デンスケ」を発売。
    • 日立製作所が録再コンビネーション式3ヘッド、およびクローズドループ・デュアルキャプスタン搭載のコンパクトカセットデッキ D-4500 を発売。
    • 松下電器産業が前面操作のコンパクトカセットデッキ RS-676U を発売。
  • 1974年 日立マクセルよりコバルト被着酸化鉄採用の高性能タイプ "UD-XL" を発売。当初はノーマルバイアス (Type I) 、1976年にハイバイアス (Type II) タイプを追加。
  • 1975年 TDK よりコバルト被着酸化鉄 "アビリン" を採用したハイ(クロム)ポジション (Type II) 用の "SA" を発売(初代は C-60 のみ)。各社も追随し、後に二酸化クロムの代替として Type II の主流に。
  • 1976年
    • アイワがコンパクトカセットデッキ AD-7800 を発売。録音バイアス量調整 (FRTS) によりユーザーがテープごとに周波数特性を調整可能に。
    • 松下電器産業が 3 モーター 3 ヘッドのコンパクトカセットデッキ RS-690U を発売。
    • クラリオン(現・ フォルシアクラリオン・エレクトロニクス)が世界初の家庭用ダブルコンパクトカセットデッキ MD-8080A を発売。
  • 1978年
    • 米 3M (住友スリーエム)より鉄合金磁性体によるメタルテープ "Metafine" 発売(後の Type IV)。
    • 日本ビクター(現・JVCケンウッド)が世界初のメタルテープ対応カセットデッキ KD-A6、およびKD-A5 を発売(前者は同年11月発売、後者は同年12月発売)[10]
  • 1979年
    • ソニーより、HiFi再生用途に特化したポータブルカセットプレイヤーウォークマン1号機 (TPS-L2) を発売。
    • TDKより鉄合金磁性体 "ファイナビンクス" を採用した日本初のメタルテープ"MA-R"、および"MA"を発売。
    • パイオニア(現・オンキヨー&パイオニア)が世界初の録音/再生コンビネーションリボンセンダストヘッドを用いた高級カセットデッキ CT-A1 を発売。
  • 1980年 米ドルビーラボラトリーズ、ドルビーCタイプ・ノイズリダクションを発表。日本では翌年、アイワ AD-FF3 が先行採用して発売。
  • 1981年 ソニーが世界初の録音/再生兼用レーザーアモルファスヘッド(LA ヘッド)を搭載した TC-FX77 を発売。
  • 1983年
    • 太陽誘電、およびTDKより、鉄合金磁性体(いわゆるメタル磁性体)をTypeIIに転用した"EM"(前者)、および"HX"(後者)を発売。
    • 日立マクセルより、無空孔(ポアレス)酸化鉄のType I、"UDI"発売。
  • 1984年 松下電器産業より、コバルト蒸着式テープ"オングロームカセット"発売。当初はType IIのみで後にIとIVを追加。
  • 1989年 米3M(住友スリーエム)、日本ビクター、日立マクセルなどがマグネタイト核晶のコバルト被着酸化鉄をビデオテープに採用、日立マクセルや日本コロムビア(現・ディーアンドエムホールディングス)などがオーディオテープに採用する。
  • 1990年 米ドルビーラボラトリーズ、ドルビーSタイプ・ノイズリダクションを発表。日本では翌年、アイワ XK-S9000 が先行採用して発売。
  • 1996年 パイオニアが世界初のデッキ内部での信号処理のデジタル化(ただし、録音・再生自体は当然、デジタルではない)を実現したデジタル・プロセッシングシステムを搭載したツイン録再オートリバースタイプのコンパクトカセットデッキ T-WD5R を発売。
  • 2001年12月 TDKより1999年から製造されていた"MA-EX"が生産完了、これにより日本国内でのメタルテープ (Type IV) の製造・出荷が全て完了となり、2008年9月までに流通在庫分が全て完売となった。
  • 2011年12月 2008年にイメーション株式会社に吸収合併されたTDKマーケティングは、(当時)タイで製造し、日本国内で販売している一般録音用ノーマルポジション (Type I)である"AE"、および唯一の本格音楽録音用ノーマルポジション (Type I)である"CDing I"、唯一のハイポジション (Type II) である"CDing II"を出荷完了(実際はタイ洪水により同年7月中に生産打ち切り)、これにより日本国内でのハイポジションテープ (Type II) の出荷が全て完了となり、2015年12月までに流通在庫分が全て完売となった。
  • 2019年7月現在、日本における現行商品として発売されている一般ユーザー用カセットテープは、ほぼ低級LH(Low-class Low Noise High-Output)タイプのノーマルポジション (Type I) のみとなっている。

注釈

  1. ^ ソニーのカセットテープは1970年頃、厚みを工程上識別するためリーダーテープそのものにも色がついていた。
  2. ^ ただし近年ではオートリバースラジカセを利用したりSDメモリーカードUSBメモリ、CD等の各種代替メディアをリピート再生する場合が多くなった。
  3. ^ 10秒 - 6分程度(例:TDK「EC」など)。同社海外市場向けは12分の製品が存在する。
  4. ^ これはカセットの位置決めが見えない側を基準に行われるためである。
  5. ^ オープンリールテープレコーダーでは性能を優先してモノラル記録とステレオ記録でトラック配置が異なっており、一般には互換性がない。ただしコンパクトカセットのようなスペースの制約がないので、モノラル用とステレオ用に別々のヘッドを備えたり、あるいは多トラックのヘッドを備えて、モノラルでもステレオでも使えるようにしたレコーダーもある。
  6. ^ これは表記上の値で、正確な値は 15/8 in/s つまり 4.7625 cm/s だが、実際にはそれだけの精度はない。この速度は当初から変わっておらず、かつて 4.75 cm/s とか 4.8 cm/s と表記された製品があったが、表記だけの違いである。
  7. ^ 正確には 15/4 in/s つまり 9.525 cm/s。
  8. ^ 問題はテープ速度であってキャプスタンの回転速度ではなく、テープ速度にはキャプスタン径の精度やピンチローラーの変形具合などが影響するので、キャプスタンの回転速度を水晶制御してもテープ速度は水晶精度にはならない。
  9. ^ 当初の低域時定数は 1590 µs だったが、 1976年頃に 3180 µs に改正された。
  10. ^ この IEC キャリブレーションテープに高域の記録レベルが高すぎるという疑義が生じ、 1981 年の IEC プラハ会議において改正されたものが現在有効である。このキャリブレーションテープには "IEC (Prague) 1981" の表示がある。
  11. ^ あくまで学習方式の名称であり、テープや録音方式の名称ではない。
  12. ^ ソニー案としてType IVの検出孔(ハーフ中央部)1カ所のみが開口していれば他のTypeと独立して明確な検出が行える案を確認できる(Type Iは検出孔なし、Type IIの検出孔は外側1カ所、Type IIIの検出孔は中央1カ所、Type IVは外側と中央の合計2カ所に検出孔を開けた図示が見られる)[1]
  13. ^ ただしソニーの場合は自社製のK・HF・CHF・BHF・HF-S・CDixI等が、日本コロムビア(DENON)の場合は自社製のMS・1H・3H・DX1・DX3・RE・RD等がそれぞれ用いられた。
  14. ^ このことが契機となって、上級機種向けとして特別に耐摩耗性に優れたフェライトヘッドのほか、普及・廉価機種向けとして従来のパーマロイヘッドに対し耐摩耗性をより一層向上させたハードパーマロイヘッド、後述するメタルテープ登場直前にはセンダストヘッドなどが開発された。
  15. ^ ただし1990年代前半まではラジカセなどの取り扱い説明書や本体にはCrO2と記載されており2014年時点でもティアックのカセットデッキの説明書にはクローム(クロム)という名称が用いられている。
  16. ^ 実際、 IEC Type IV テープの登場によりレコーダーのヘッドや回路が一新されることになった。
  17. ^ 東芝(東芝エルイートレーディング)のCUTE BEAT、およびハイレゾ対応機種の「Aurex TY-AK1」などの各種CDラジカセのフルロジック機ではカセットテープ判別リーフスイッチをメタル孔に設置しているためメタルテープ再生は不可となる。理由としては録再ヘッド保護と思われる。やむをえず再生する場合自己責任にてセロハンテープなどでメタル孔を塞ぐことで再生できる。
  18. ^ ノーマル・ハイポジが100分、メタルが110分。メタルテープの方が録音時間が10分長いのは磁性層の厚さの違いによるもので、ベースの厚さはC-100もC-110も変わらない。
  19. ^ 主にキャプスタン、ピンチローラー、アイドラー、磁気ヘッドなどの各部の汚れや経年変化による摩耗、キャプスタン、リール駆動用の各種ベルトの経年変化による劣化から来るものが大部分を占める。
  20. ^ ただし、再生専用磁気ヘッドにDCCレコーダー用ヘッドの技術をそのまま応用した再生専用薄膜ヘッドを採用した松下電器産業(テクニクスブランド)が製造・販売したカセットデッキ「RS-AZ7」は例外的に湿式によるヘッドクリーニングは厳禁とされており、誤って湿式によるヘッドクリーニングやヘッド消磁を行うと最悪の場合、薄膜ヘッド内部の素子が破壊されて再生不可能となる場合がある。
  21. ^ 近年の日本の音楽消費形態は外国に比べて非常に稀である。2018年のCD・DVDの販売比率は日本は約75%であるが、米国はCD・LPなどの物理媒体は約12%で75%がストリーミングであった。
  22. ^ 日本製のカセットデッキの中にはパイオニア(現・オンキヨー&パイオニア)製の「T-1100S」(1992年9月発売、1996年8月販売終了)のようにメタルテープを使用した場合に限り、高域の周波数特性が最高で30kHzと、テープ速度が2トラック・38cm/s級のオープンリールテープデッキに匹敵する周波数特性を持った機種も存在した。
  23. ^ ヘッドの汚れのほか、長期的な経年変化によるヘッドの摩耗や僅かなヘッドのアジマスのずれとテープパスのずれに起因する。
  24. ^ テープカウンターは単純にリール軸と連動したものが多く、それも巻取り側のリール軸に連動したものと供給側のリール軸に連動したものとがあった。テープの巻き径が変わるため進む速さは一定でなく、早巻きすると巻きが乱れるためカウンターがずれてしまう。
  25. ^ 「UD デザイン復刻版」の実際の組み立ては日本国内で行われており、実質的に後述するナガオカ CT、およびその先代品となるCC同様、アイディーマグネテックのOEMだった。
  26. ^ 店舗によっては改良前(在庫分)と改良後が混在している場合があるので購入時には注意が必要。改良前の末期は、パッケージに「このテープは高密度磁性体を使用した高性能高音域 (10kHz) ハイグレード製品ですが、ノーマル用ケースを使用しておりオーディオデッキの機種によりノーマルポジションと認識されます。ご了承の上お買い求めください」と書かれた注意書きのシールが貼られている。

出典

  1. ^ 阿部美春 『カセットデッキ』日本放送協会出版、1980年、126頁。 
  2. ^ 福多利夫 (2018年11月14日). “【カセットテープの基礎知識】ノーマル・ハイポジの違いは?録音方法は?”. 特選街WEB. マキノ出版. 2021年3月21日閲覧。
  3. ^ 川村俊明 (2001年3月). “VTR産業技術史の考察と現存資料の状況 (PDF)”. 産業技術史資料情報センター. 国立科学博物館. p. 19. 2021年3月21日閲覧。
  4. ^ a b c d e カセットテープの取り扱いについて”. オンキヨー. オンキヨー&パイオニア. 2021年3月21日閲覧。
  5. ^ 音楽遺産~ネットワーク社会の音楽革命~ 太下義之 『Arts Policy & Management』No.20 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2003 p. 17 - ウェイバックマシン(2016年12月20日アーカイブ分)
  6. ^ マクセル - Within, the Future [@maxcellJP] (2013年3月17日). "【史】昭和41年7月「C-60(60分用)」の生産販売を開始。" (ツイート). Twitterより2021年3月10日閲覧
  7. ^ a b 音楽用カセットテープ「UD」デザイン復刻版を限定発売 カセットテープ発売50周年記念の数量限定品 (PDF)”. 日立マクセル (2016年10月6日). 2021年2月5日閲覧。
  8. ^ 懐かしのカセットテープ博物館. “人気が再燃中のカセットテープの歴史を振り返る”. ラジオライフ.com. 知っ得ネタ. ラジオライフ. 2021年3月21日閲覧。
  9. ^ テープ録音機物語 その63 カセット(1)阿部美春 JASジャーナル 2012 Vol. 52 No. 3 5月号 p. 21 日本オーディオ協会 - ウェイバックマシン(2016年3月27日アーカイブ分)
  10. ^ カセットデッキ KD-A6/KD-A5”. 産業技術史資料情報センター. 産業技術史資料データベース. 国立科学博物館. 2021年3月21日閲覧。
  11. ^ カセットテープ「UR」”. マクセル. 2021年3月21日閲覧。
  12. ^ カセットテープ50周年記念 マクセル、カセットテープ「UD」の復刻版を6万巻限定で販売”. Phile-web. 音元出版 (2016年10月6日). 2021年2月5日閲覧。
  13. ^ カセットテープノーマルポジション120分をリリース致します。 - ウェイバックマシン(2016年10月3日アーカイブ分)





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