コミュニティ放送 コミュニティ放送の概要

コミュニティ放送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/13 04:54 UTC 版)

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エフエム椿台(秋田県)の旧局舎外観

定義

総務省令放送法施行規則別表第5号(注)10に「一の市町村特別区を含み、地方自治法第252条の19に規定する指定都市にあつては区とする。以下同じ。)の一部の区域(当該区域が他の市町村の一部の区域に隣接する場合は、その区域を併せた区域とし、当該区域が他の市町村の一部の区域に隣接し、かつ、当該隣接する区域が他の市町村の一部の区域に隣接し、住民のコミュニティとしての一体性が認められる場合には、その区域を併せた区域とする。)における需要に応えるための放送」と規定[1]している。この注は同表の「8 放送対象地域による基幹放送の区分(4)コミュニティ放送」に対するものである。

促音の表記は原文ママ

市区町村放送

政令総務省組織令第85条第1号は市区町村放送を「主として一の市町村(特別区を含む。)の区域の一部において受信されることを目的として行われる地上放送」と規定[2] し、政令上のコミュニティ放送の定義とされている。関連して電波法施行令第3条第2項第6号は、特定市区町村放送局を「総務省組織令(平成12年政令第246号)第85条第1号に規定する市区町村放送(放送法(昭和25年法律第132号)第2条第15号に規定する「地上基幹放送であるものに限り、受信障害対策中継放送であるもの及び同法第8条に規定する臨時かつ一時の目的のための放送であるものを除く。)をする無線局」と意義付け[3] ている。 本条文は無線局の無線従事者の操作及び監督の範囲に関わるものである。

概要

コミュニティ放送は電波法施行規則放送法に定義[4] する超短波放送FM放送)の周波数[5] を利用するFM放送の一種で、コミュニティFMとも称されてラジオ受信機で聴取できる。事業者は電波法に基づく地上基幹放送局の免許が必要で、地上基幹放送局の免許申請時の基幹放送の種類を表すコードは、無線局の目的コード及び通信事項コードを規定する告示[6] に、「超短波放送(コミュニティ放送)」をCFMと規定している。全て大文字頭字語「CFM」はFM放送の判別に難があることから「cFM」の俗称も散見される。

地上基幹放送の一種だが、放送対象地域が従来の広域放送県域放送より狭く、「地域密着」「市民参加」「防災および災害時の放送」がコミュニティ放送の特徴と言われる[7]。特に市町村防災行政無線に比して設立経費が1/10 - 1/100と低く、地方自治体第三セクターを設立して参入する例が多く見られる[8]。地域メディアのCATVとも比較される[8]

基幹放送用周波数使用計画第1項第10号により、原則として空中線電力は20W以下とされる。特例として空中線電力はFM久米島(FMくめじま)の80W、エフエムわっかない(FMわっぴ〜)の50Wがある。空中線電力の増力について総務省は、北海道の一部と沖縄県島しょ部については認めるが、その他の地域は中継局設置によるエリア拡大が適当であること及び新規開局機会確保のため認めない方針[9] としている[注 1]実効輻射電力(ERP:アンテナの利得によって強められ放射される実際の電力)は上限無し。

呼出符号(コールサイン)はJOZZ[注 2] で始まり、その後に1数字(0 - 9の地域番号)と2英字、最後に「-FM」がつく。無線局免許状の有効期間は5年だが、当初に限り有効期限は5年以内の一定の10月31日まで[注 3] となる。

地上基幹放送局は、第三級総合無線通信士又は第二級陸上特殊無線技士以上の無線従事者により管理されねばならないが、第二級・第三級総合無線通信士又は第一級・第二級陸上特殊無線技士は「外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさない技術操作」の管理に限定[10]される。

事業者は日本民間放送連盟とは別に日本コミュニティ放送協会 (JCBA) を結成している。

免許不要局微弱電波を使用する「ミニFM」との混同も散見される。

沿革

西ヨーロッパで、1970年代に放送事業の規制緩和でコミュニティ・ラジオ局が次々と誕生した[7]日本1980年代から「地方の時代」などのキャッチコピーが流行りはじめたが、実際のラジオにおける変化は1990年代に入ってからである。ラジオ工作の延長で微弱無線局であるミニFMがブームとなり、これを利用して店舗やイベント会場でも放送がおこなわれた。1988年昭和63年)に、期間限定ながら小出力かつ限定された地域を対象とする臨時目的放送が法制化[11] された。

1980年代後半に、基幹放送普及計画(現・放送普及基本計画)に従ってテレビジョン放送の分野で「民放テレビ全国四波化」が進み、ラジオは民放県域FM局の開局が進むなど地方ローカル局が次々現れた[7]1983年(昭和58年)に郵政省(現・総務省)が「テレトピア構想」を提唱し、1985年(昭和60年)の「ニューメディア時代における放送に関する懇談会」、1988年(昭和63年)から始まった「放送の公共性に関する調査研究会」でコミュニティ放送について言及した[7]1991年(平成3年)7月まは臨時行政改革推進審議会が多様で個性的な地域づくりを提唱した。 1992年(平成4年)1月25日[12] にコミュニティ放送が制度化され12月24日にFMいるか北海道函館市)が第1号として開局した。 当時の放送局(現・地上基幹放送局)の管理[13] は、広域放送や県域放送と同様に第一級・第二級陸上無線技術士又は第一級総合無線通信士を要した。

参入基準の変遷(太字は変更点)
年月日 基準 空中線電力 凡その可聴域
1992年1月10日 - [14] 1. 既存民放・外国籍・個人の参入不可
2. 市区町村政令指定都市では行政区)ごとに1局
3. 第三セクター型では地方公共団体出資比率30%以下
01W以下
半径02 - 03km[7]
1995年3月9日 - [14] 既存民放・外国籍・個人の参入不可
上記の2および3を削除。1のみ残存)
10W以下
半径05 – 10 km[7]
1999年3月30日 - [14]
20W以下
半径15 - 20 km[7]

1993年(平成5年)4月に電波利用料が制度化された。他の放送局と同額で、空中線電力などにより細分された後も広域放送や県域放送のものと同額に設定されている。

1994年(平成6年)に北海道帯広市おびひろ市民ラジオ (FM-WING) とエフエムおびひろ (FM-JAGA) が競願して両者とも一本化を拒否し、郵政省が両局に免許を交付した。1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災以後、地域における非常用伝達手段を確保することを理由に、市区町村単位の複数開局や空中線電力の増強など規制が緩和され、エフエム熱海湯河原など県境を越えて地域圏を放送区域とする局も現れた。1996年(平成8年)から1999年(平成11年)にかけて多く開局するも、経営難から1998年(平成10年)11月30日にFMこんぴらが閉局した。

21世紀初頭の「東京23区及びその周辺」や「大阪市及びその周辺並びに兵庫県南東部地域」では、周波数が逼迫し開設が困難になった [15] [16]。 しかし、アナログテレビ放送終了後は、85 - 90MHz(「ガードバンド」に指定されていた、つまり1チャンネルが使用されていた地域のみ)及び90 - 95MHzを割り当てることが可能となり[17]、両地区の逼迫状態は一応の解決をみた [18] [19]

2015年(平成27年)11月3日、栃木県栃木市FMくらら857[注 4]が開局し、コミュニティ放送局の空白都道府県がなくなった。

2019年(平成31年)1月30日、無線従事者の操作及び監督の範囲について「周波数及び空中線電力の安定度の向上及び調整の自動化が図られ、外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさない技術操作により操作可能」して要件が緩和[10]され、第二級・第三級総合無線通信士又は第一級・第二級陸上特殊無線技士による管理が可能[3]となった。なお、この緩和は受信障害対策中継放送(通称ギャップフィラー)についても適用された。

事業者数推移
年度末 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年
事業者数 1 6 15 27 64 88 118 131 139 152
年度末 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
事業者数 162 166 176 188 202 218 227 237 246 255
年度末 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年    
事業者数 268 281 287 299 304 317 325 332    
コミュニティ放送局の事業者数の推移[20]による。
電波利用料額
年月 料額 備考
1993年(平成5年)4月[21] 29,700円 他の地上波放送局と同額
1997年(平成9年)10月[22]
2006年(平成18年)4月[23] 25,700円
2008年(平成20年)4月[24] 36,500円 空中線電力200W以下のテレビジョン放送以外の地上波放送局が適用
2011年(平成23年)10月[25] 49,200円 空中線電力200W以下のテレビジョン放送以外の地上基幹放送局が適用
2014年(平成26年)10月[26] 59,000円
2017年(平成29年)10月[27] 16,700円
2019年(令和元年)10月[28] 3,400円

注釈

  1. ^ コミュニティ放送局を増力して臨時災害放送局とすることがあるが、基幹放送上の分類はコミュニティ放送ではなく臨時目的放送であり、市町村が免許人となってコミュニティ放送事業者はその運用を委託されるものである。
  2. ^ かつて「JO*Z」はNHKラジオ第2放送の県庁所在地以外の放送局(JOIZを除き支局へ降格する際に廃止)に指定されるものとされ、JOZZはNHK新居浜局に指定されていた。臨時目的放送が法制化されるとNHKに指定されていないものを指定されるものとされた。コミュニティ放送制度化の際、コミュニティ放送局にJOZZが、臨時目的放送局に「JOYZ」が指定されるものとなった。
  3. ^ 平成23年総務省告示第275号 電波法施行規則第8条第1項の規定に基づくコミュニティ放送を行う地上基幹放送局について同時に有効期限が満了するよう総務大臣が別に告示で定める日(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)に「平成27年11月1日及びその後5年ごとの11月1日とする。」とあることによる。
  4. ^ 免許人はケーブルテレビ株式会社。開局直前の9月9日から9月11日にかけて発生した平成27年9月関東・東北豪雨の被害が甚大であったことを受けて設立された臨時災害放送局「とちぎさいがいエフエム」が9月15日から10月29日まで放送をしていたが、同局と同じ周波数・送信所を使用してFMくらら857は開局した。ちなみに、1993年(平成5年)に「株式会社栃木コミュニティ放送」(栃木市)が設立されて予備免許も取得したが、開局には至らなかった過去がある。
  5. ^ 在京・在阪などの大手局では、プリントアウトしたメールやファクスが吐き出す受信紙を持って来るスタッフが別にいる。

出典

  1. ^ 平成4年郵政省令第2号による放送法施行規則改正により別表第1号(注)14に規定、平成23年総務省令第62号による放送法施行規則改正により別表第5号(注)10に規定
  2. ^ 総務省組織令制定時に第81条第1号に規定、平成20年政令第214号による総務省組織令改正により第85条第1号に規定
  3. ^ a b 平成31年政令第19号による電波法施行令改正
  4. ^ 電波法施行規則第2条第1項第25号および放送法第2条第17号
  5. ^ 基幹放送普及計画第1項第1号(1)ア(ウ)超短波放送
  6. ^ 平成16年総務省告示第860号 無線局免許手続規則別表第2号第1等の規定に基づく無線局免許申請書等に添付する無線局事項書の無線局の目的コードの欄及び通信事項コードの欄に記載するためのコード表 別表第1号「2 基幹放送の種類コード」(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  7. ^ a b c d e f g 日本におけるコミュニティFMの構造と市民化モデル (PDF) 創造都市研究e(大阪市立大学大学院創造都市研究科紀要)Vol.3, No.1(2008年)
  8. ^ a b 多様化するコミュニティFM放送 (PDF) 東京経済大学人文自然科学論集第119号 2005年3月20日
  9. ^ 構造改革特区に関する検討要請に対する各省庁からの回答について(内閣官房 地域活性化統合事務局 平成24年3月29日)の別紙「04 総務省構造改革特区第21次 検討要請回答」管理コード040010(2014年4月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  10. ^ a b 電波法施行令の一部を改正する政令案に対する意見募集(総務省 報道資料 平成30年11月8日)(2018年12月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  11. ^ 昭和63年法律第29号による放送法改正および昭和63年郵政省令第56号による放送法施行規則改正
  12. ^ 平成4年郵政省令第2号による放送法施行規則改正
  13. ^ 操作及びその監督の範囲は、平成2年政令第216号による無線従事者の操作の範囲等を定める政令改正施行の平成3年7月1日現在のもの
  14. ^ a b c d e 11. JCBA10年史 年表 (PDF) (日本コミュニティ放送協会「十年史」)
  15. ^ コミュニティ放送(ラジオ放送の概要(関東総合通信局 - 放送 - ラジオ放送)) - ウェイバックマシン(2005年11月18日アーカイブ分)
  16. ^ (3)コミュニティ放送局の現状(2-(2)コミュニティFM局(近畿総合通信局 - 放送サービス - 2.超短波放送局)) - ウェイバックマシン(2004年4月23日アーカイブ分)
  17. ^ V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針の公表及び意見募集の結果(V-Lowマルチメディア放送及び放送ネットワークの強靭化に係る周波数の割当て・制度整備に関する基本的方針の公表及び意見募集の結果の別紙(総務省報道資料 平成25年9月27日))(2013年10月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  18. ^ 関東総合通信局の「ラジオ放送の概要」のコミュニティ放送(2015年12月6日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Projectとコミュニティ放送(2016年2月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Projectの比較
  19. ^ 近畿総合通信局の「コミュニティFM局」の3.コミュニティ放送局の現状(2015年3月7日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Projectと3.コミュニティ放送局の現状(2015年4月4日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Projectの比較
  20. ^ 放送局数 総務省情報通信統計データベース - 放送
  21. ^ 平成4年法律第74号による電波法改正の施行
  22. ^ 平成9年法律第47号による電波法改正
  23. ^ 平成17年法律第107号による電波法改正の施行
  24. ^ 平成20年法律第50号による電波法改正
  25. ^ 平成23年法律第60号による電波法改正
  26. ^ 平成26年法律第26号による電波法改正
  27. ^ 平成29年法律第27号による電波法改正
  28. ^ 令和元年法律第6号による電波法改正
  29. ^ 地域FM、災害情報24時間生放送(南日本新聞 2010年10月24日
  30. ^ JCBAについて(日本コミュニティ放送協会)
  31. ^ 東北発「Cの力、Rの絆」


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