ケープタウン 治安

ケープタウン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/30 07:07 UTC 版)

治安

アパルトヘイト撤廃後、ケープタウンにも国内や周辺諸国から大量の住民が流入したが、彼らの多くは職を得られず、治安が急速に悪化した。ヨハネスブルグほどの治安悪化は見られず、昼間なら徒歩での外出も可能ではあるものの、犯罪は増加している。日本の外務省からは、市の中心部(シティ・ボウルおよび北西部)ならびに市東部の貧困層が多く住むケープ・フラッツ地区には注意喚起が発出されている。一方、ケープ半島や内陸部郊外の農村地帯の治安は比較的良好である。

交通

空路

ケープタウン国際空港は国際線と国内線が発着する南アフリカ第2の空港であり、ケープ地区への旅行者にとっての主要玄関口である。ほとんどの国内都市への直行便が出ており、多くの国際都市にも直行便が出ている。[11]

2010 FIFAワールドカップへの下準備として、増加が見込まれる観光客をさばくためにケープタウン国際空港は2006年6月に拡張されている。巨大な新駐車場、改造された国内線到着ターミナルと新しい国際線ターミナルがその改修内容である。手荷物関係の施設も拡張され、更地がオフィスやホテルに変貌している。

このケープタウン国際空港はアフリカの先進的空港として国際旅行大賞(en:World Travel Awards)を受賞した[12]

海路

地図帳には、ロンドンニューヨークリオデジャネイロブエノスアイレスメルボルンシンガポールコロンボムンバイアデンなどへの航路が記載されている。ケープタウン港はダーバンに次ぐこの国第2の港であり、アフリカ大陸最南端の港としての地理的な重要性は非常に高い拠点港である。また。遠洋漁業の中心ともなっており、ケープタウン港には日本のマグロ漁船が多く立ち寄る。

鉄道

観光に便利なメトロレールケープ半島にあるコーク・ベイ駅にて。
ケープタウン地域鉄道路線図

南アフリカ旅客鉄道公社のケープタウン駅があり、ブルートレインロボスレイルなどの超高級列車が発着する。

一方、メトロレールの運行する喜望峰への観光拠点であるサイモンズタウンや風光明媚なワインランド地域のステレンボッシュパールウェリントンなどを代表とする近郊都市への近距離列車も運行されており、ヨハネスブルクのメトロレールとは違いケープフラッツ線中央線などのタウンシップを走るような一部の路線を除けば比較的安全に利用でき、白人層も含めて多くの市民の通勤通学の足となっている他、ツアーバスに比べると料金もはるかに格安であることからケープ半島南部線やワインランド方面へ行く北部線などは外国人観光客の利用もごく一般的であり、政府としても積極的な利用を呼び掛けている。しかし、便利な交通機関として日本のガイドブックなどに掲載されることは、依然として無いか、あった場合でも利用を推奨しない旨の記述も見られる。

ケープタウン駅は、長距離バスやミニバスなどの発着場ともなっており、ケープタウンの交通のターミナルとなっている。また、テーブルマウンテンのふもとから頂上まではロープウェイが運行している。

バス

長距離バスは、インターケープ、トランスラックス、グレイハウンドの3社が運行しており、ケープタウン駅より全国各地に路線を運行している。市内バスはゴールデンアローバス社が運行しており、同社の路線のない地域にはミニバスが多数運行している。

道路

ケープタウンは3つのナショナルロードの基点となっている。N1国道はケープタウンからまっすぐ北東へと向かい、オレンジ自由州の州都ブルームフォンテーン、南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグ、首都プレトリアリンポポ州の州都ポロクワネを通り、国の北端に近いベートブリッジまで続いてジンバブエへと抜ける。N2国道はケープタウンから海岸沿いにまっすぐ東へと向かい、東ケープ州の州都ポートエリザベスグラハムズタウンビショイーストロンドン、ウムタタ、ダーバンを通ってムプマランガ州のエルメロまで伸びる。N7国道はケープタウンからまっすぐ北へと向かい、スプリングボックを通って北ケープ州のヴィオールズドリフからナミビアへと抜ける。

観光

気候の良さ、地理条件、比較的良く整ったインフラ、ヨハネスブルクほど劣悪ではない治安情勢などから、ケープタウンはおそらく南アフリカでもっとも人気のある観光地である。[13] この都市は観光客を引きつけるいくつかの良く知られた自然環境に恵まれている。もっとも著名なのがテーブルマウンテン[14] であり、テーブルマウンテン国立公園の一部をなしていると同時に市街地の背後に立っている。この山にはハイキングでもケーブルカーでも登ることができる。ケープ岬はケープ半島の見事な岬角である。[15] 多くの観光客はノードホークホウト湾を結ぶ狭いチャップマン・ピーク・ドライブをドライブして大西洋と山々の眺めを楽しむ。テーブルマウンテンと市街地を間近に見ることができるシグナルヒルは車でもハイキングでも登ることができる。[16]

多くの観光客はケープタウンのビーチもよく訪れるが、これらは地元民にも人気の場所である。一日のうちに異なる雰囲気を持つ様々なビーチに行くことができるのである。大西洋側のビーチの水は概して冷たいが、これは南極大陸の氷河の氷が解けて運ばれてくるからである。フォルス湾の海岸はしばしば10℃ほども暖かくなる。[17] どちらも人気があるが、裕福なCliftonや大西洋側のビーチは、レストランやカフェが多い。ことにキャンプス湾のビーチへの商店街はレストランやバーで活気が溢れている。サイモンズ・タウン近くのボルダー・ビーチケープペンギンのコロニーで有名。[18] サーフィンは人気があり、サーフィンの競技会en:Red Bull Big Wave Africaを市は毎年開催している。

いくつかの注目すべき文化施設もある。ケープタウン港の波止場の上にあるビクトリア&アルフレッド・ウォーター・フロントは市で一番の人気ショッピング街であり、数百の商店と海洋水族館がある。[19][20] このV&Aは現役の港に隣接し訪問者は船が出入りするのを眺めることができるのが魅力である。ここにはネルソン・マンデラ・ゲートウェイというのもあって、ここからロベン島へのフェリーが出ている。(ノーベル平和賞受賞者ネルソン・マンデラ政治犯としてこの島の監獄に長く収監されていた。)[21] また、ホウト湾サイモンズタウンケープ毛アザラシのコロニーなどへのフェリーも出ている。ケープ草原、カラードのタウンシップ英語版カヤリシャのタウンシップなどへのツアーは数社が出している。ケープタウンのタウンシップで一泊するというオプションもある。安全で本物のアフリカの夜を過ごせるB&B(朝食付き簡易宿泊所)も幾らかはある。[22]

ケープタウンは建築遺産でも見所があり、世界の中でもっともケープ・オランダスタイルの建物の密度が高い場所である。これはオランダフランスドイツ建築の混淆でありコンスタンシアのビジネス地区の古い政府関係の建物やロング・ストリートに沿って顕著に見られる。[23][24] The annual ケープタウン吟遊詩人カーニバル、アフリカーンス語ではKaapse Klopseは毎年行われる規模の大きな 吟遊詩人のフェスティバルであり、1月2日("Tweede Nuwe Jaar":アフリカーンス語で「2番目の新年」)に開かれる。参加チームは鮮やかな色のコスチュームに身を包み色の付いた傘を持つか楽器を演奏する。アートスケープ・シアター・センターがケープタウンにおけるこのパフォーマンス芸術のメイン会場である。

そのほか、ケープ地方は美しいワイン農園が多くあることでも知られており、近郊のステレンボッシュパールウェリントンウースター周辺はワインランドとも呼ばれている。この地域の観光拠点となるのもケープタウンであり、鉄道で容易にアクセスが可能である。

景観地
建造物
商業施設

  1. ^ Municipal Demarcation Board”. 2008年5月18日閲覧。
  2. ^ レナード・トンプソン著、宮本 正興・峯 陽一・吉国 恒雄訳、1995、『南アフリカの歴史』p92-104 明石書店 ISBN 4750306991
  3. ^ 「中国人船員と乱闘 日本人船員ら四人が死ぬ」『朝日新聞』昭和44年(1969年)9月18日朝刊、12版、15面
  4. ^ 峯陽一編著、2010年4月25日初版第1刷、『南アフリカを知るための60章』p241 明石書店
  5. ^ Cape Town Climate Data”. South African Weather Service. 2008年5月18日閲覧。[リンク切れ]
  6. ^ World Weather Information Service - Cape Town”. World Meteorological Organization. 2013年4月8日閲覧。
  7. ^ Cape Town/DF Malan Climate Normals 1961–1990”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2013年4月8日閲覧。
  8. ^ Climate data: Cape Town”. Old.weathersa.co.za (2003年10月28日). 2011年3月17日閲覧。
  9. ^ Seat Calculation Detail: City of Cape Town”. Independent Electoral Commission (2011年5月21日). 2011年5月23日閲覧。
  10. ^ Statistics South Africa: 2001 Census Results”. 2006年5月2日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ Cape Town International Airport (CPT)”. CAPE TOWN AIRPORT. 2020年9月25日閲覧。
  12. ^ Cape Town International Airport (PDF)”. Cape Town Routes Unlimited. 2007年1月19日閲覧。
  13. ^ Official Western Cape and Cape Town tourism guide”. 2008年5月18日閲覧。
  14. ^ Table Mountain Aerial Cableway”. 2008年5月18日閲覧。
  15. ^ Cape Point, South Africa”. 2008年5月18日閲覧。
  16. ^ Kirstenbosch National Botanical Garden”. 2020年9月25日閲覧。
  17. ^ Cape Town Beaches”. SafariNow.com. 2008年5月18日閲覧。
  18. ^ The African Penguin”. 2008年5月18日閲覧。
  19. ^ The Victoria & Alfred Waterfront”. 2008年5月18日閲覧。
  20. ^ The Two Oceans Aquarium”. 2008年5月18日閲覧。
  21. ^ Robben Island”. 2008年5月18日閲覧。
  22. ^ Township stays”. 2008年5月18日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ Cape Dutch Architecture”. Encounter South Africa. 2008年5月18日閲覧。
  24. ^ A Comparative Evaluation of Urbanism in Cape Town. University of Cape Town Press. (1977). pp. 20–98. ISBN 0-620-02535-2 
  25. ^ Time Out: Cape Town. Time Out Publishing. (2006). pp. 127–130: Sports. ISBN 1-904978-12-6 
  26. ^ South Africa Announces Bid For 2020 Summer Olympic Games, Gamesbids.com
  27. ^ Villes jumelées avec la Ville de Nice” (French). Ville de Nice. 2010年3月5日閲覧。
  28. ^ Cape Town”. Haifa City. 2010年3月5日閲覧。
  29. ^ Agenda 21 Partnership Cape Town – Aachen”. 2010年3月5日閲覧。
  30. ^ Saint Petersburg in figures – International and Interregional Ties”. Saint Petersburg City Government. 2008年3月23日閲覧。
  31. ^ Agreement on the Establishment of Relations of Friendship between the City of Hangzhou of the People's Republic of China and the City of Cape Town of the Republic of South Africa” (2005年4月18日). 2010年3月5日閲覧。






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