ケープタウン 政治

ケープタウン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/30 07:07 UTC 版)

政治

ケープタウン市役所
主要記事:City of Cape Town

ケープタウンが市制を施行したのはケープ植民地時代の1839年である。当時は現在の市の中心部に当たるシティ・ボウルと呼ばれる山に囲まれた円形の地区のみが市域であった。ケープ半島には10個の独立した自治体が存在していた。やがて市域の拡張などにより自治体は徐々にケープタウン市に併合されていったが、現在の市域が確定したのはアパルトヘイト廃止後の1994年のことだった。

ケープタウン市議会は定数221で、そのうち111議席は111選挙区からの小選挙区制で、残り110議席は比例代表制によって選出される。2006年から2009年までは民主同盟党首であるヘレン・ツィレが市長をつとめ、2009年総選挙でツィレが西ケープ州首相に転ずると、市長には同党のパトリシア・デ・リールが就任した。ケープタウンは最大野党民主同盟(DA)の牙城であり、市議会の過半数を占めるとともに、国政選挙においても民主同盟の最大の地盤となっている。これは、与党アフリカ民族会議が黒人主体の政党であり、ケープタウンの人口の多数を占めるカラードからの支持が弱いこと、および民主同盟がカラードから最も支持を受けている政党であることによる。2011年5月18日に行われた地方選挙においても、民主同盟は221議席中135議席を獲得して過半数を大きく超え、引き続き最大政党となった。国政の与党であるアフリカ民族会議(ANC)は73議席を獲得した[9]

人口統計

母語話者(ケープタウン大都市圏 2011年)
アフリカーンス語
  
35.69%
コーサ語
  
29.82%
英語
  
28.40%
その他
  
2.91%
ケープタウン大都市圏内の人口密度図
  <1 /km²
  1–3 /km²
  3–10 /km²
  10–30 /km²
  30–100 /km²
  100–300 /km²
  300–1000 /km²
  1000–3000 /km²
  >3000 /km²
ケープタウン大都市圏各地区の使用言語図(2001年)
  英語
  優勢言語なし

2001年南アフリカ国勢調査によれば、ケープタウンの人口は2,893,251人である。公式世帯数759,767のうち87.4%が水洗あるいは化学処理トイレを持ち、94.4%が週1回以上の自治体によるゴミ収集を受け、80.1%の世帯が主なエネルギー源として電気を用いている。16.1%の世帯が独身である。[10]

人口の48.13%をカラードが占めており、次いで黒人が31%、白人が18.75%、アジア系が1.43%である。24歳以下が46.6%で65歳以上が5%であり、中央値が26歳。100人の女性に対して男性は92.4人。市街地に住む19.4%が失業しており、失業者の58.3%が黒人、38.1%がカラード、3.1%が白人で、0.5%がアジア系である。ケープタウンに住む黒人の大半がコーサ人であるが、これは彼らがバントゥー系最南端に住む民族であり、もともとの居住域であるトランスカイシスカイなどのホームランドからケープタウンが近かったからである。

2011年の国勢調査によると、ケープタウン大都市圏居住者の35.69%の母語がアフリカーンス語であり、29.82%がコサ語、28.40%が英語、2.91%がその他の言語となっている。中心部にある旧ケープタウン市地域(人口433,688人)では英国植民地の歴史が長いことや、国際都市でもあるために英語を母語とする住民が67.68%と圧倒的に多く、アフリカーンス語は22.53%と少ない。また、喜望峰があるケープ半島地域なども英語が優勢な地域である。南アフリカ政府の英語一本化政策により、アフリカーンス語の公用語の地位が形骸化したことによってアフリカーンス語の看板や広告、標識などは減少傾向にあるために、印象では世界最大のアフリカーンス語人口を誇る都市という実態とは乖離しつつあるが、郊外ではアフリカーンス語が圧倒的に優勢であり、アフリカーナーとカラードを中心に大多数の人がアフリカーンス語を使って生活している。また、コサ語もコーサ人が多く住む地域で使われている。

居住者の76.6%がキリスト教徒であり、10.7%が無宗教、9.7%がムスリム、0.5%がユダヤ教徒、0.2%がヒンズー教徒、2.3%が他の宗教もしくは不特定な信仰をもっている。

20歳以上で4.2%の市民が教育をまったく受けていない。11.8%はなんらかの形で小学校に行ったことがあり、7.1%は小学校のみ卒業し、38.9%はなんらかの中等教育を受け、25.4%が高校までは卒業し、12.6%がそれ以上の教育を受けている。20歳から65歳の中央年収額は25774ランド、男性に限れば中央年収額は28406ランド、女性に限れば22265ランドである。

産業

ケープタウンはヨハネスブルグ=プレトリアについで南アフリカ第2の経済規模を持つ大都市圏であり、アフリカ全体でも3位の経済圏である。南アフリカ国会や西ケープ州政府などの行政機能の集積による経済面での効果も大きい。移住者が多いため不動産市場及び建設市場が活況を呈しており、2010年FIFAワールドカップの開催はそれをさらに促進した。

ケープタウンは世界の海上交通上の要衝であり、船舶が集まるため、多くの造船会社や海運業者がオフィスを構えている。船舶の修繕も主要産業の一つである。

ケープタウン周辺は温暖な気候と適度な降雨に恵まれ、果物や農産物の一大産地となっている。近郊のステレンボッシュを中心とするワイン生産地帯で生産されたケープ・ワインは、近年世界市場で高く評価されるようになり、輸出が増加している。こういった農産物や食料品の集散地・輸出港としてもケープタウンは重要である。

また、ケープタウン西の海は南方から流れてくる寒流のベンゲラ海流と、東から流れてくる暖流のモザンビーク海流とが合流する潮目であり、世界有数の好漁場となっている。そのため漁業も盛んであり、特に日本の遠洋漁業船団の一大拠点となっている。


  1. ^ Municipal Demarcation Board”. 2008年5月18日閲覧。
  2. ^ レナード・トンプソン著、宮本 正興・峯 陽一・吉国 恒雄訳、1995、『南アフリカの歴史』p92-104 明石書店 ISBN 4750306991
  3. ^ 「中国人船員と乱闘 日本人船員ら四人が死ぬ」『朝日新聞』昭和44年(1969年)9月18日朝刊、12版、15面
  4. ^ 峯陽一編著、2010年4月25日初版第1刷、『南アフリカを知るための60章』p241 明石書店
  5. ^ Cape Town Climate Data”. South African Weather Service. 2008年5月18日閲覧。[リンク切れ]
  6. ^ World Weather Information Service - Cape Town”. World Meteorological Organization. 2013年4月8日閲覧。
  7. ^ Cape Town/DF Malan Climate Normals 1961–1990”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2013年4月8日閲覧。
  8. ^ Climate data: Cape Town”. Old.weathersa.co.za (2003年10月28日). 2011年3月17日閲覧。
  9. ^ Seat Calculation Detail: City of Cape Town”. Independent Electoral Commission (2011年5月21日). 2011年5月23日閲覧。
  10. ^ Statistics South Africa: 2001 Census Results”. 2006年5月2日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ Cape Town International Airport (CPT)”. CAPE TOWN AIRPORT. 2020年9月25日閲覧。
  12. ^ Cape Town International Airport (PDF)”. Cape Town Routes Unlimited. 2007年1月19日閲覧。
  13. ^ Official Western Cape and Cape Town tourism guide”. 2008年5月18日閲覧。
  14. ^ Table Mountain Aerial Cableway”. 2008年5月18日閲覧。
  15. ^ Cape Point, South Africa”. 2008年5月18日閲覧。
  16. ^ Kirstenbosch National Botanical Garden”. 2020年9月25日閲覧。
  17. ^ Cape Town Beaches”. SafariNow.com. 2008年5月18日閲覧。
  18. ^ The African Penguin”. 2008年5月18日閲覧。
  19. ^ The Victoria & Alfred Waterfront”. 2008年5月18日閲覧。
  20. ^ The Two Oceans Aquarium”. 2008年5月18日閲覧。
  21. ^ Robben Island”. 2008年5月18日閲覧。
  22. ^ Township stays”. 2008年5月18日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ Cape Dutch Architecture”. Encounter South Africa. 2008年5月18日閲覧。
  24. ^ A Comparative Evaluation of Urbanism in Cape Town. University of Cape Town Press. (1977). pp. 20–98. ISBN 0-620-02535-2 
  25. ^ Time Out: Cape Town. Time Out Publishing. (2006). pp. 127–130: Sports. ISBN 1-904978-12-6 
  26. ^ South Africa Announces Bid For 2020 Summer Olympic Games, Gamesbids.com
  27. ^ Villes jumelées avec la Ville de Nice” (French). Ville de Nice. 2010年3月5日閲覧。
  28. ^ Cape Town”. Haifa City. 2010年3月5日閲覧。
  29. ^ Agenda 21 Partnership Cape Town – Aachen”. 2010年3月5日閲覧。
  30. ^ Saint Petersburg in figures – International and Interregional Ties”. Saint Petersburg City Government. 2008年3月23日閲覧。
  31. ^ Agreement on the Establishment of Relations of Friendship between the City of Hangzhou of the People's Republic of China and the City of Cape Town of the Republic of South Africa” (2005年4月18日). 2010年3月5日閲覧。






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