ケーブルカー 歴史

ケーブルカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/30 05:45 UTC 版)

歴史

16世紀初頭には既にオーストリアザルツブルクライスツークで木製のレールを利用したケーブルカーが運行されていた記録がある[3][4][5]

19世紀前半にはイギリスの各地の鉱山では既に定置式蒸気機関を使用して鉱石や石炭の搬出に使用されており、1825年に開業したストックトン・アンド・ダーリントン鉄道でも路線の大部分は定置式蒸気機関でロープを巻き上げていた[6]。 1869年7月2日にニューオーリンズP・G・T・ボーリガードによって発明された頭上の循環するロープを掴んだり離したりすることで推進するケーブルカーが実演された[7]。彼は1869年11月30日に特許を取得した[8]1880年、イタリア・ヴェスヴィオ山の登山鉄道「ヴェズヴィアナ鋼索線」が開通(1984年に廃線)。

現存する世界最古のケーブルカーは、サンフランシスコで1873年に建設されたケーブルカーである[1]。急坂の多いサンフランシスコにおいて、技術者アンドリュー・スミス・ハレディーが馬車に代わる輸送機関として考案し、建設した[1]。その後、急坂のある地域以外でも路面電車に相当する公共交通機関として全米、さらには米国外の主要都市に建設された[1]。また、山岳における公共交通機関としても建設が進められていった。

日本

東武日光鋼索鉄道線馬返駅(1966年)

日本では1918年に開業した生駒鋼索鉄道(現在の近鉄生駒鋼索線)が最初のものである[注釈 1]大正時代末期から昭和時代初期にかけてロープウェイとともに全国各地に建設された。しかし昭和恐慌による観光需要の激減により新規建設は途絶え、さらに第二次世界大戦末期の戦局悪化により、もともと観光を目的としたものであったケーブルカー路線は大半が不要不急線に指定され、休止に追い込まれた。生き残ったものは山上にも町があり、観光以外の需要があるものだけだった。

戦後、1950年代頃から生活水準の回復・向上に伴い、観光需要が増加してきたため、不要不急線として休止されていた路線が復活したり、新規に路線が建設されたりした。しかし1970年代以降は、どのような地形でも建設できるうえに、土地買収が少なくて済み、環境破壊も少ないロープウェイが、新しく建設される登山用交通機関の主役となり、かつ国内観光需要が頭打ちとなったこともあり、ケーブルカーの新規建設は止まった。平成に入ると、モータリゼーションの進行(多くのケーブルカー路線は並行する観光登山道路がある)や国内観光需要の低下・観光スタイルが変化してきたこと(以前多かった寺社観光が減少したため、山上の寺社参拝のための路線が影響を受けている例など)などから利用客が減少するようになった。また、ロープウェイと異なり、現在は日本ではケーブルカーの量産や新規設計は行われていないために、古い設備の更新には多大の資金が必要であることもあり、外国から設備を輸入して更新した例もあるが、逆に資金負担に耐えられずに路線が廃止されたところもある。

かつては、旅館内に敷設されたケーブルカーの一部にも地方鉄道法に基づく正式な鉄道扱いのものがあったが、現在では長大なエレベーターエスカレーターが設置可能になったこともあり、すべて廃止されている。鉄道扱いでないものは今でも各地に現存しているが、それも次第に傾斜地用のモノレールスロープカー)で置換される傾向にある。


注釈

  1. ^ 但し、自家用ケーブルカーも含めると西本願寺別邸の二楽荘に設置されていたものが日本初とされている[9][10]
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 第二次世界大戦中の不要不急線指定
  3. ^ 関東大震災による被災
  4. ^ 阪神・淡路大震災による被災
  5. ^ a b c d e f 利用客の減少のため
  6. ^ 周辺の宅地化に伴う道路整備の支障化のため
  7. ^ 東京急行電鉄京浜急行電鉄相模鉄道日揮の共同出資で設立。1988年2月、第一種鉄道事業免許取得。

出典

  1. ^ a b c d e f g 電気鉄道以前
  2. ^ a b 大賀寿郎 『戎光祥レイルウェイリブレット1 路面電車発達史 ―世界を制覇したPCCカーとタトラカー』 P.28-29、戎光祥出版、2016年3月、ISBN 978-4-86403-196-7
  3. ^ Der Reiszug - Part 1 - Presentation”. Funimag. 2009年4月22日閲覧。
  4. ^ Der Reiszug”. Funiculars.net. 2009年4月22日閲覧。
  5. ^ Kriechbaum, Reinhard (2004年5月15日). “Die große Reise auf den Berg” (German). der Tagespost. http://www.die-tagespost.de/Archiv/titel_anzeige.asp?ID=8916 2009年4月22日閲覧。 
  6. ^ William L. Garrison; David M. Levinson (2014). The Transportation Experience: Policy, Planning, and Deployment. OUP USA. p. 33. ISBN 9780199862719 
  7. ^ James Guilbeau (2011). St. Charles Streetcar, The: Or, the New Orleans & Carrollton Railroad. Pelican Publishing Company. p. 48-49. ISBN 9781879714021 
  8. ^ アメリカ合衆国特許第 97,343号
  9. ^ 白土貞夫「絵葉書に描かれた鉄道―ステーション(5)」『RAIL FAN』第49巻第9号、鉄道友の会、2002年9月号、17頁。 
  10. ^ “影響残した幻の建物 阪神間モダニズムの記憶(2)”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2014年12月10日). オリジナルの2016年2月23日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2016-0223-2357-05/www.nikkei.com/article/DGXLASHD03H0F_T01C14A2960E00/ 2016年2月23日閲覧。 
  11. ^ Street Railways Construction Operation and Maintenance. Street Railway Publishing Company. (1892). p. 111. 
  12. ^ ドッペルマイヤー・ケーブル・カー (DCC)
  13. ^ a b 新交通システム. 保育社. (1990). p. 88. ISBN 9784586508037 
  14. ^ 日本経済新聞、共同. “成田空港に新連絡通路が完成”. 2015年1月19日閲覧。
  15. ^ 札幌もいわ山ロープウェイウェブサイトより、2018年10月6日閲覧。
  16. ^ もーりすカー(ケーブルカーに乗ろう!)「藻岩(もいわ)山 ミニケーブルカー」より、2018年10月6日閲覧。
  17. ^ 小川功「日本三景天橋立の最高の展望を追い求めた“観光デザイナー”石間金造」『跡見学園女子大学マネジメント学部紀要』第18号、跡見学園女子大学、2014年7月25日、1-22頁。 
  18. ^ a b c d e 宮脇俊三『鉄道廃線跡を歩くVIII』JTB、2001年、160-164頁。ISBN 9784533039072 
  19. ^ ホテル浦島山上館ウェブサイトより、2020年10月26日閲覧。
  20. ^ 妙見山で展開する「妙見の森関連事業」の営業終了の繰上げ および 鋼索線(ケーブル)の廃止繰上届の提出について (PDF) - 能勢電鉄 2023年9月22日
  21. ^ 横浜博覧会・会場計画と建設の記録. 横浜博覧会協会. (1990年3月). p. 276-280 
  22. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1922年4月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  23. ^ 「起業廃止許可」『官報』1926年5月24日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  24. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1927年6月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  25. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1929年6月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  26. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』年月日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  27. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1930年12月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  28. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1933年12月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  29. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1935年7月23日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  30. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1928年8月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  31. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1931年11月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  32. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1934年3月1日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  33. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1935年7月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  34. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1933年8月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  35. ^ 「鉄道免許失効」『官報』193年9月16日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  36. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1927年12月28日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  37. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1930年9月22日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  38. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1928年10月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  39. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1930年8月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  40. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1926年2月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  41. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1928年8月31日(国立国会図書館デジタルコレクション)






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